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梅田界隈そぞろ歩き

先日、8月最後の日曜日の28日はレキジョークルの「夏のお食事会」でした。

行動制限が出ることもなかったので、各自の自己責任での参加という事にして、場所は梅田(大阪)駅という超都会の店を選びました。
たとえ注意して自宅に籠っていても発病する人もいる中、考えても仕方ないと腹を括っての企画です。

参加者は、
・道中ナビ奉行 チコ
・食いもん奉行 ミコ
・行動型寄合衆 ロコ
・快活型寄合衆 トーコ
・千世
以上5名の参加です。


マルビルよ、青春をありがとう!

解体予定のビル

どの店にするか検索していると、アジアン・エスニック料理のバリラックス・ザ・ガーデンに目が留まり、さらにそれがマルビル内にあるらしい。

マルビル。

そう言えば解体されるというニュースを読んだのを思い出し、
まだあるのだとホッとしたと同時に、これは是非とも今のうちに行っておかないという気持ちに駆られてしまいました。

大阪マルビルは、人目を惹く円筒形の地上30階・高さ約123mの高層ビルで、1976年の竣工以来、梅田のシンボル的な存在として親しまれ、今年で46年目を迎えます。

当時はまだ現在ほど高僧ビルはなかったので、かなり目立つビルであり、大阪駅ホームから、最上にある電光掲示板のニュースを読んでいた記憶があります。

今や開発が進み、他にたくさんのおしゃれなビルや複合施設が立ち並び、当初はユニークだったマルビルも、すっかり影を潜めてしまいました。

もうすぐ半世紀が経つ現在は、建物の老朽化が進み、来年'23年夏の解体が決まっています。
7年後の'30年春の完成予定で、さらに高層化すると言います。


青春のシンボルでもあった

マルビルの思い出と言えば、私達世代は何と言っても2Fにあったディスコ「MAHARAJA MARUBIRUマハラジャ マルビルです。

しかし、このMAHARAJAマハラジャは、私の中では比較的新しい1980年代後半に出来たので、「ディスコ」が「クラブ」と呼ばれるようになった頃で、私はそろそろディスコを卒業し始めた時期でもありました。

やがて「ジュリアナ東京」の影響で、羽根扇子をひるがえし、お立ち台で踊るというスタイルが一世を風靡しますが、私はその時代を体験していません。

もう一段階”大人”になっていましたから。

バブリーな時代を知る私たちは、ディスコ時代の初期~中期を体験していますが、梅田ではここ、南では、「ziziqueジジック」や「Jubilationジュビレーション」と使い分けていました。

マルビルを思うと、青春時代が蘇り、いろんなシーンが浮かびます。
この姿を見るのもあとわずかだと思って見上げると、何だか胸が熱くなりました。

マルビル正面玄関にあったパネル



BARI RAX THE GARDENバリ・ラックス・ザ・ガーデン

さて、ランチにやって来たのは、そのマルビルの3階にあるエスニック料理・バリ・ラックス・ザ・ガーデンです。

入り口入ってすぐの部屋に通され、完全ではないですが個室のような席に案内され、とても思う存分お喋りできたのですが、ずっと奥にテラスと繋がる気持ちの良い席がありました。

噴水の音や光と風が感じられる、まさにリゾート的な空間だったので、断然こちらの方が良かったかも。。。

いやしかし、おばちゃんはうるさいので、やっぱり奥まったところで正解だと、あらためて思い直しました。

お料理はというと、タイとインドのミックスっぽいピリ辛のアジアンテイストで、唯一、辛いのが苦手なロコさんは、ちょっと辛そうでしたが…

7品3,300円の「クタコース」

最初に出された生春巻きにツナが入っていて、ここはやはり海老にしてほしかった!
決してツナが嫌いなわけではないですが、あっさりした野菜の中にツナばかりが主張していました。

鶏カラは見事にパリッと揚がってジューシー。ちょっと甘めのソースがちょど良い味覚バランスを保っていて、触感も味もナイスでした。


いろんな話が出ましたが、食いもん奉行のミコさんはやっぱり今回も食いもんの話に収まりました。
「最近、プリンが流行ってるねん。
昭和っぽい固めでキャラメルに苦みがあって、生クリームが載ってるやつ。」

嬉しそうに、ただのプリンを力説していたので、思わず私は、
「プリンが流行ってるってどういう事や。」
とツッコんでもニヤけるばかりで、たかがプリンに流行り廃りがあるなんて意味がわかりません。

しかしこれが、この後の展開に繋がるネタ振りだったとは、この時は知る由もありませんでした。



お初天神

残念ながらチコさんは午後に仕事があり、先に帰ってしまいますが、残り4人で大阪駅に向かう途中、これからどっか行こうかという話しが持ち上がります。

「東梅田にオシャレなカフェがあるねん。歩いて8分のお初天神の近く。どう?」
と、ミコさんがスマホを素早く取り出します。
そう言えば、その辺りの居酒屋はよく行きましたので、「お初天神」がある事は知っていましたが、実際に訪れた事はありません。

がぜん興味が湧いてきました。
行きましょう!


ミコさんのボケに一同撃沈

ミコさんがスマホのGoogleマップを立ち上げて、そのナビ通りに進みます。
涼しい地下街を通るためにいったん降りて、再度確認します。

若い頃は地下も地上もスイスイとどこでも行けましたが、現在は様子が激変し、おばちゃんたちは一瞬方向すらわからなくなるのです。

たとえ地元の大阪であっても、ナビは必須です。

いち早くナビをセッティングしていたミコさんを頼りについて行きますが、すぐに「あれ?わからへん。」とミコさんは立ち止まってしまいました。

ミコ:「どっちに進むかわからんねん。」
と言いながら、スマホをぐるりと回します。
ロコ:「回したらあかんやん。余計わからんようなる。」
ミコ:「あ、そうか。」
ロコ:スマホをのぞき込みながら、「ここ(現在地)はどこ?」

次の瞬間、ミコさんは自分の足元を指さして、
ミコ:「ここ。」

一瞬、間が空きましたが、すぐにみんなでお腹を押さえて大爆笑ですwww www

違うわ!地図上の現在地の事を聞いてるねん!!!
下を指さしてどないするねん!

同じマップでもミコさんのスマホの現在地表示はではなく○なので、いったいどちらを向けばよいのか、確かにわかりにくいのです。
ちなみに私のスマホだと△表示なので、どちらに進むべきか一目でわかります。
同じアプリであってもスマホの種類によって違うのか?
端末の更新頻度の問題なのか??

以後、方向だけ確認して地上に出ると、すぐにお初天神は見つかりました。


「曽根崎心中」のリアル舞台

「お初天神」は通称名で、正式には露天神社つゆのてんじんしゃといいます。
元禄16年(1703)、近松門左衛門が書いた物語「曽根崎心中はこの境内で実際にあった心中事件が元ネタで、そのヒロインの名前の「お初」から「お初天神」とよばれているのです。

大阪の人間でも正式名はあまり知られておらず、「お初天神」でないと通じないかもしれません。

「曽根崎心中」は歌舞伎や人形浄瑠璃、文楽などの演目として有名です。

拙書「奥の枝道 其の二 大阪編」でも書かせていただきましたが、
ちなみに人形浄瑠璃の一種である「文楽」は、重要無形文化財にも指定された大阪発祥の大切な伝統文化なのです。


実は由緒ある古社

大阪ではよくある光景なのですが、ビルに取り囲まれるようにあるため、繁華街に突然現れます。

入り口から境内を眺めると、拝殿の後ろに高層ビルが並び、なんとも不思議な景色を作り出しています。(写真中央上)

ここはその昔、大阪湾に浮ぶ孤島で曾根洲そねすといわれる土地でした。現在の地名の曽根崎そねざきはここからのものだそうです。

創建は定かではなく、6世紀の欽明天皇の頃には形として存在していたようなので西暦700年頃とみられています。

当初は「住吉住地曾根神」だけを祀っていたようですが、現在の御祭神は以下の5柱です。
大己貴大神(大国主神おおくにぬしのかみ)
・|少彦名大神《すくなびこなのかみ》
・|天照皇大神《あまてらすおおかみ》
・|豊受姫大神《とようけびめおおかみ》
菅原道真

近松門左衛門の生きた時代、境内の敷地は約560坪の広さを有し、「天神の森」と書き残されている事から、うっそうと豊かな木々が茂っていたようです。

その後、太平洋戦争の戦火に遭い、戦後の復興のために氏地を切り売りしたため、現在のようになりました。

「曽根崎心中」にゆかりがあるとはいえ、「恋人の聖地」「恋のおまいり」というキャッチコピーもあり、チャラけているのかとおもいきや、
なんと、1300年もの歴史ある古社なのですね。


顔はめパネルがあったので、シッカリ撮りました。
恋人同士の設定なので、おばちゃん同士でも見つめ合います。

写真を撮ろうとするところを、そのまた後ろから撮った一枚😆


御朱印はあらかじめ日付も入れて書かれていたもの。
この日は御朱印帖を忘れたのでちょうど良かった!




Lemystereルミステール

「へぇ~蔵やん。」
ここは「お初天神」から一本東側の路地裏です。
見るからに蔵をリノベーションしたオシャレな外観です。

立ち止まってミコさんが「どうする?」と聞くので、トーコがドアを少し開けて中を覗き、「メッチャ、おしゃれやでぇ」

入ろう!

蔵は蔵なのでしょうが、いったいどこの蔵だったのか?
調べても出てきませんでした。
この辺りの商家の蔵の一つだったのでしょう。

Lemystereルミステールの意味は「神秘」「不思議」「秘密」などの意味らしく、その名の通り知る人ぞ知る隠家的なカフェなのです。

隠家のわりには、2階席まで満席で、私たち4人は1階のカウンター席しか空いていなかったぐらい人気があり、もはや隠家とは言い難いのかもしれません。

レトロ&アンティークで統一された店内は、とても懐かしい雰囲気で落ち着いています。

ここでメニューを見て思いました。
レトロでハードなプリンはここの一番のウリのようで、
先ほどのランチの会話や、帰り際に「お初天神」へと誘ったのも、
全てはミコさんの思惑通りの誘導だったのかと気づかされたのです。

完全にハメられた感はあるものの、「さすが!」と讃えずにはいられませんでした。

やはり、ただのランチだけでは終わらないレキジョークルのお食事会でした。

コーヒーもいいけど、紅茶やハーブティにも気合が入っています。


マルビルから駅へ行かずに、直で言った方が早かった💧
(画像クリックでGooglemapが立ち上がります)






【参考文献】
The list of DISCO
InpressWatch
露天神社
ルミステール




【関連記事】

近松門左衛門についての記事はコチラ⇩


前回のレキジョークルお食事会⇩





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