見出し画像

読書人間📚『暗幕のゲルニカ』原田マハ


『暗幕のゲルニカ』原田マハ

2016年 新潮社刊行
2018年 文庫


原田マハ著書、ゴッホシリーズは心を持っていかれるが、ピカソとなると盛り上がりにかけてしまう。何故か。
反戦、平和を願うピカソは素晴らしい。世の中を、世界を広くみている大物。
「芸術は、飾りではない。 敵に立ち向かうための武器なのだ。」 痺れる。かっこいい。
なのに、その影には女性が付き物。... 素晴らしいしカッコいいのに感情移入しにくい。史実に基づく作家であるマハさんのせいでは全くない。ごめんなさい。どの角度から見ても、女たちは大変な思いをしたのだろうと気が滅入ってしまう。
わたしは、どちらかと言うとムッツリ悶々と絵に向かっているゴッホに狂おしくさせられます... 。


本作はピカソの愛人、カメラマンのドラ•マールと、MoMAのキュレーター八神遙子の視点から描かれた作品ですが、美術小説であり、歴史的な部分を多く含む反戦、平和を願う小説です(忘れちゃいけない大事な事!)

__戦争をやめない一方で、戦争に苦しみ続けるのもまた人類なのです。苦しみから逃れるためには、戦争をやめるほかないのです。__
__いったいアートは何ができるか__ピカソいわく、芸術は、決して飾りではない。それは、戦争やテロリズムや暴力と闘う武器なのだ、と。その言葉を発展的にとらえれば、アートとは、人間が自ら愚かな過ちを自省し、平和への願いを記録する装置であると言えるのではないか。__


そして、女心、ドラの目線に視線を外せない。痛く問答します。偉大であり愛しいピカソのミューズになりたい気持ちが溢れている。ドラも表現者である事から、創造すること、愛することを同位置に置かないように葛藤する様がいじらしく、苦しい。妻子とまた他に存在を感じる女たちと、カメラマンである自分がピカソの側でどの様に在るか。創作の理解者として存在するか、愛人として存在するか。体を開け放したドラが、拒否できない事に甘えるピカソが憎らしく思えてきます。

本書の感想はここまで。なんだかこれ以上、筆が進まない。
今、ピカソ展やってますね。聞くところによると、ピカソ周りの女性たちについての展示がおもしろいとか。ひらめきの原点か... まぁ、人を好きになる、焦がれるのは何も悪いことではないですよ。本妻も、愛人たちも本人たちが良ければね。所詮、他人事なので。そんな訳で、この展示見たいかも(・_・ ...  

解説に池上彰さんが念をおされています。
国連安保理の会議場内の壁画は、ノルウェーの画家、ペール・クロフによる『灰から飛び立つ不死鳥』。未来への希望を表す明るい色が使われた作品です。それに対し、戦争の悲惨さを描いた会議場外の『ゲルニカ』。
因みに、最大の武器供給国は米、英、露、仏、中。この5カ国は国連安保理の常任理事国です。


カバー装画  パブロ・ピカソ〈ゲルニカ〉1937年

ピカソの、反戦と抵抗の絵画『ゲルニカ』

「芸術は、飾りではない。 敵に立ち向かうための武器なのだ。」 痺れる。
もう一度間違いのないように、本書は翻訳され海外でも読まれています。痛ましい戦争の歴史を綴った反戦と平和を願う作品です。


🌝声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都 
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。

この記事が参加している募集

いつもありがとうございます☺️。 あなたの気持ちに支えられています♡ ▶︎ https://www.instagram.com/chisa_murata/ ▶︎ https://www.instagram.com/chisa_favorite/?hl=ja