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読書人間📚『嘘』百年文庫62 /宮沢賢治.与謝野晶子.エロシェンコ


『嘘』百年文庫62 /宮沢賢治.与謝野晶子.エロシェンコ


2011年1月13日  第一刷発行 / ポプラ社


宮沢賢治(1896〜1933)

▶︎『皮のトランク』
嘘と言いますか、「こんな事は実に稀です。」と言いながら、随分ハッタリで生きてこれた平太。父...寂しいね。宮沢賢治、その人はハッタリではありませんよ。時代が遅かっただけなのです。
平太と賢治、重なるふたり。

▶︎『ガドルフの百合』
自分を誤魔化して生きなければならないという理由付けを"嘘"というテーマに嵌めたのか? 
宮沢賢治らしい視覚的感度の高い作品。ずっと薄暗いもやの中。失恋も幻なら美しいものです。
詩的で一節が長い文章が特徴的ですが、5分、10分で読める程度。一瞬ちょっとたじろぎますが、曇りや雨の日の午後にいい作品です。
「 __そしてガドルフは自分の熱って痛む頭の、青黝い斜面の上に、すこしも動かずかがやいて立つ、もう一むれの回細工の百合を、もっとはっきり見て居りました。__ 」

与謝野晶子(1878〜1942)二作品とも1915年雑誌「新少女」に竹久夢二の挿絵で掲載。

▶︎『嘘』
世の中、好き好んでその状況に生きている訳ではない人を、人はなんやかんやと色をつけて井戸端で口にする。耳を塞ぎたいが聞き捨てならないと思ったとき、皆の口を塞ぐ為に使う嘘。嘘なのに言葉にする程に泣けてくる。

▶︎『狐の子ども』
そもそもその子は何故そんな悪知恵を持っているのか、いつから何がきっかけでその様に育ったのか。"私"は素直で優し過ぎるだけか、違和感を正さないままなので、狐の子がたくさん集まってしまうのでしょう。狐の子に騙されないようにぼやっとしていてはいけません。


ワシーリイ・エロシェンコ(1890〜1952)ロシア生まれ。4歳時に麻疹による高熱で失明。オーケストラで生計を立てようとしたり、エスペラントを身につける。日本では1921年、思想的危険人物と疑われ国外追放を受ける。
訳者:高杉一郎

エロシェンコは下記、noteに掲載しています。


百年文庫は以前、『心』を取り寄せました。今回は『嘘』。
目的の作家は、エロシェンコです。エロシェンコの存在は新宿中村屋に紐付いて薄っすらというのみで、きちんと手に取って読んだ事がありませんでした。百年文庫で迷わず取り寄せ。んん〜とっても素敵な本。こんな本作りができるなんて羨ましいです。

パンフレットのダウンロードもできます。

装画(木版画)       安井寿磨子
装丁・題字   緒方修一

カバーを取っても、素敵。スピンは爽やかな水色。上品なこだわりにときめいちゃいます。



♟声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都 
音楽療法(医療行為は行わない)の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。

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