【臨床と宗教】 第10回 学びの架橋
マクロで考える死生観
井口:
社会のなかでの「死」のあり方は時代の変遷で少しずつ変わってきています.トニー・ウォルター 1) という死別の社会学をやっている研究者がいて,その人の議論が参考になるのでちょっと紹介しますね.
中世とか近代に入る前は,そもそも医療がそんなに発展していなかったこともあり,死は基本的には宗教の問題として扱われ,医療者はすごく宗教者に近い存在でした.これは「伝統的な死」と言われます.
近代になると科学的価値観がどんどん主流になっていって,死は病