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【広報つの2020年10月号掲載】都農をめぐる冒険 Vol.2 ~「ウイルス」と「スポーツ」をめぐる冒険

新型コロナウイルスは都農にも影を落としていました。町制施行100周年記念式典は大幅に縮小、夏祭りも中止、飲食店は休業や短縮営業を余儀なくされ、観光産業等も大きな打撃を受けました。スポーツイベントも軒並み中止、日常生活に制限されています。このコラムが掲載される頃がどのような状況か想像がつきません。
さて、都農町は10年前もウイルスと戦いました。口蹄疫です。
2010年当時、まだ岐阜にいた私は連日流れる口蹄疫のニュースを、まるでどこか遠くの国の出来事のように見聞きしていました。そんな私が都農に移住して、口蹄疫の惨状を知るきっかけとなったのは、蹴-1GP(サッカーのPK大会)というスポーツイベントでした。
被害の拡大を防ぐために家畜を殺処分することになり、その数は県内で約30万頭、児湯郡内の家畜はすべて埋却されたそうです。経済的にも精神的にも大きな傷跡を残し、人生を大きく変えられた人もいると聞きます。そんな悲惨な状況下、町全体が暗く落ち込む中、町に活気を取り戻そうと地元の有志が立ち上がり開催されたのが蹴-1GPだったそうです。今では聖地都農として全国から大勢の人が集まるイベントへと成長し、近年では肉のグルメフェスタも同時開催され、口蹄疫により落ち込んだ畜産業界の復興のシンボルとしても盛り上がりを見せています。
地獄のようだったと形容される出来事も、時が経つにつれて風化してしまいます。蹴-1GPは口蹄疫の語り部となり歴史を伝える役割を担いながら、明るい未来に向けてにぎわいを生み出しています。地域のためにスポーツを活用する類まれな実践例です。
私はツノスポーツコミッションとJ.FC MIYAZAKIという都農を拠点とする二つのスポーツ団体に携わっていますが、蹴-1GPが積み上げてきた活動を道標として、新型コロナウイルスを乗り越えた先に、地域の重要な資源となれるよう日々取り組んでいこうと心に誓いました。


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自分の真意を相手にベラベラと伝えるだけが友情の行為ではないということさ。それがわたしの提唱する真・友情パワーだ…(キン肉アタル)