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私の手術なのに説明聞いた夫が青ざめる


夫婦で会社しつつ歌ったりもしている住職が、肺の難病にかかったので闘病記というか忘備録を書くことにしました。できるだけ明るく笑い飛ばしながら書いています!

第1話 LAM(リンパ脈管筋腫症)って何!
第2話 その日は意外にとりあえず寝れた
第3話 やっちまった
第4話 娘よ、ありがとう
第5話 私にとっては、あなたがこの病気の初めての患者です

2023年5月31日

2回目の総合病院での診察。
今回は、呼吸器内科だけでなく、呼吸器外科の先生にも診てもらい、
LAM(リンパ脈管筋腫症)かどうかを調べるため、肺の検体検査手術・入院の日程を決める。

「こんにちは!」
明るめな声と笑顔で挨拶してくれた初めて会うその外科の先生は、眼鏡をかけた男性で40代前半かな?くらいの方だった。

病院で働いている人たちを見ると、だいたいもう自分より下の年齢の人が多くなっている。いつのまにか。

「私も、肺のCT見させてもらいましたが、確かにLAMっぽい気がしますね。私は呼吸器外科なので、これまでいくつかLAMの方の生体検査はしたことがあるので、とても似ているなと感じました」

私は、仕事と子供の予定を照らし合わせつつ、できるだけ早く調べてほしい旨を伝た。
私は仕事を3つかけもちしている。Googleカレンダーと睨めっこをする。
決まっているコンサート活動と、夫と経営している会社の総会、寺の行事と法事…。一番影響が少ないところを見つけて、
入院は6月29日、手術は翌30日となった。術後の様子次第だけれど、入院は1週間前後になることが多いとのことだった。

うちの寺は毎年8月1日から、お盆参りが始まる。各門徒さんのお宅をまわって一緒にお経をあげるのだ。術後ひと月あれば、きっと元気になっていおるだろう。よし、ちょうどいい。先生お願いしまっす!

「はい、じゃあそうしましょう。では、手術の説明に入りますね。あ、ご主人も一緒に聞いてくださいね」

先生は隣に座っていた夫にも声をかけてくれた。

「まず、生体検査ですから、当然ですがこれは病気を治す手術ではなく、肺の細胞を一部切り取って染色体の検査をするための手術です。あなたの場合、もう肺のどこをとっても病気にかかっている細胞が採取できそうなので(言い方…!+_+)、可能なら右側の肺でもいいですか?私が右利きなので、その方がやりやすいんです」

もちろんです!先生の一番やりやすいとこで!!

「手術台では左側を下にして横向きに寝てもらい、右手は頭の上の方にあげておいて、脇の下数センチのところに、そうだなあ…3センチくらいは切らせてもらうと思います。傷はね、糸で縫ったりしないんですよ、一瞬で塞ぐことができるんですよ!最近はすごいよね。私もビックリ。術前に何なら詳しく説明しますからね」

そうなんだ…。なんで一瞬で3センチの傷口が塞がるんだろうか。きっと説明してもらっても凡人には理解できない気がするが。とにかく一つ言わせてくれ。ありがとう、世の中の賢い人たち。

「前日入院して検査とか多少やって、夜もね、夕飯食べれるから。まあその後はもう食べられないけどね。あと麻酔科の先生が説明にきてくれるから、聞きたいことはなんでも聞いてね。まあ手術台に乗って点滴始まったらすぐ記憶なくなるけどね」

ですね。子宮全摘手術の時も、目覚めたら全部終わって部屋のベットの上でした。

「術後って、、、子宮全摘した時は当日はさすがに辛かったけど、翌日以降はそこまででもなかった気がするんです。肺って、どうなんでしょうか?」

私はおそるおそる聞いた。なんとなく、肺の方が痛くないよって言ってくれるような気がしていた。願望だけど。

「あー。それはね、、、肺っていうかさ、脇下の傷の方が痛いね。だって、息するだけで肋骨周り動くでしょ?お腹はさほど動かないから」

う。そっか。

「それに、術後しばらくはドレーンっていう細いホースみたいなものが、肺から外へ出てるんだよ。傷口から外へね。空気漏れてないかどうか見るために。だからちょっとね、やっぱ痛いかな」

ん?どゆことかな?でもまあ今日はもういいや、これ以上聞かなくて。おなかいっぱいだわ。

「はい、分かりました。どうぞよろしくお願いいたします」

その後、手術の手続きやら、肺機能検査とかリハビリの先生から呼吸の仕方についての指導があったりした。

そして、ようやく車に乗って帰り始めた、

途端に夫が呟いた。

「ああ、俺もう倒れるかと思った・・・」

え?なんでアンタが?

と、驚いて夫の方を見ると、確かに何だか顔色が悪い。なんか、血色悪いよ?

「なんかさ、先生俺の方ばっか見て説明してなかった?!俺ああいう話ホンっと苦手なのに!ああああ、思い出しただけで鳥肌立つ!!こわすぎた!!!途中で何回も目え逸らしたりしたのに、見つめてくるんよ、こっちを!」
夫は半笑い気味のキレ気味で言った。

「いや、それは私もちょっと思った。先生、私のことなのにパパ(夫のこと)の方ばっか見て喋るなー、何でかなあー?(夫がタイプなのかな?!)とは思った。やっぱ、家族の人にちゃんと説明しなきゃいけないものなのかな」
私は考察して言った。

そうだった、この人、血も怖いから血液検査も横になって採決してもらう人だった。手術とかしたことないし、話聞くのもダメなんだった。忘れてた~。私も結構自分のことで精一杯だったんだな。

「パパ…、これからもし自分が手術するようなことがあったら、どうするん?」
私は心配なフリして脅かした。

「俺が手術しなきゃいけなくなった時は、説明はお前が聞いてくれ。俺は聞かないでいい。なんでもいいから眠ってるうちにやってくれ。具体的な話聞かされたらそれでもう倒れるから!」

・・・子供か。たぶん、本人聞かないとか無理なのでは?!と思ったが、本気で青ざめてたので、これ以上はイジメないであげた。


いやまあ、なんつーか、手術するの私なわけで。とりあえず、頑張る。



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