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丁寧さに必要なもの、それは○○と○○だ

僕の弁当、君のお弁当

突然ですが質問です。
まず、下の写真を見てください。

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これは我が家のある日のお弁当です。いずれも僕が作ったものですが、手前はパートナーのもの、奥の二つが自分のためのものです。

さて、お弁当としての見栄えがより良いのはどちらだと思いますか?(どっちもよくねーよ大して変わんねーわ、という辛口回答も可です。いやだけど。)

僕自身としては、明らかに手前のお弁当のほうが見栄えよく、そしておいしそうに見えます。

これはその日に限ったことではなく、たいがいいつもそうです。僕の弁当よりもパートナーに持っていってもらうお弁当のほうが、見栄えよく、良い感じに仕上がる。
いったいなぜでしょう。おおよそ注目して考える人がいなさそうなこの疑問について、今日は考えてみます。
いわゆる丁寧な暮らしを実現していくためのヒントも、いくつかご提示できるかもしれません。よろしければどうぞ。

小宇宙という言葉

俳句、庭、盆栽……日本人は小さなものの中に大きな世界観を表すのが大好きな民族です。
この大宇宙の体系を、わずか17音に、あるいはこの狭い箱庭に、あるいはこの一鉢において再現し、観た者聴いた者に感じさせる。
あんまり日本の伝統的アートについて詳しいことはわかりませんが、みんな大好き「プレバト!」の俳句コーナーでの夏井いつき先生の解説を聞いていても、死生観や自然の姿といった宇宙の理の一端がほの匂う作品が高く評価されるのはなんとなくわかります。

小さな枠の中で、大きなものをいかに表現するか。
この工夫は、まさにその枠があるからこそモチベートされるものです。

表現において制約は内容に劣らず重要です。そしてこのことは、たぶん日本のアートに限らず色々なことに当てはまります。
あるジャンルの音楽ーー教会音楽でも、パソコンが生まれてまもない頃に作られた電子音楽でもなんでもーーの固有の良さは、演奏される環境や作曲において使える道具、守らざるを得ないルールといった制約の範囲内で作られるからこそ生まれたものといえます。
制約を逸脱しない範囲で素材を組み立てていくというプロセスそのものが、体系だった思考を促し、作品をおのずと洗練されたものへと方向づけていくという側面があるのだと思います。

少し堅苦しい話になりましたが、要は弁当箱が小さいほうが、レイアウトにも気合が入るってことです。
箱が小さいという制約があるからこそ、どう詰めてやろうかという工夫をはたらかせる必要も生じ、その工夫がおのずと、より洗練された見映えにつながったのだと思います。
逆にいえば、生活の中で使うものにおいてあえて制約を設けることによって、工夫をモチベートし、丁寧な暮らしを促していける、とも考えうるかもしれません。

あなたが食べるものだから

パートナーのお弁当のほうがより見栄えのするものに仕上がっている(と僕が思う)、その理由の二つ目はまさしく、「パートナーのために作っているから」です。

「自分一人で食べるために自炊するのマジ無理だわー」と投げやりにこぼす一人暮らしの若者は少なくありません(数年前の僕とか)。
そのことが十分証立てているように、人は自分だけのために頑張るのがたいてい苦手です。
よほど興味や関心のあることがら以外の物事を、自分一人のためにせっせと頑張るというのは結構きついものです。

それが、思いやるべき相手がいるとなると、途端に工夫するモチベーションが生まれます(人によるかもしれないですけど)。
他人の気持ちなんかわからないからこそ、その人を思いがけない形でがっかりさせたりすることのないよう、あれこれと配慮をこらし、自分一人のときよりは多少いいものを作ってやろうという気概も湧いてくるのです。

思うに、丁寧な暮らしにおいては、他人とのつながりが欠かせないのだと思います。
むろん、こだわることそのものに心地よさを感じていて、自分自身の満足に尽くせればそれで十分、という人もいるでしょうし、それはそれで素敵なことです。
ただ、どうしても一人だと何をやっても雑になるという人もいるのは確かで(僕とか)、そんな人たちが少しでも丁寧に物事に取り組もうと思ったとき、配慮すべき他人という存在が近くにあることは、いい影響をもたらしてくれると、僕はそう思うのです。

おわりに

そんなわけで、丁寧さに必要なのは制約と他人の存在だと、日々のつたないお弁当づくりの中で気づいた僕でした。
思えば、「丁寧な暮らし」というフレーズそのものにしたって、生活に一定の方向性を持たせる一つの枠組みとして機能しているように思います。
何か作ってみたいけど何から始めたらいいかわからない、なんて人は、「とりあえず作るうえでの制約から決めてみる」というやり方をしてみるのもいいのではないでしょうか。

それでは、今回はこの辺で!


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