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キーワードは共感・情報・発見!心理学でみる「役に立ったレビュー」 とは #ちるちる

突然ですが、皆さんはBLに何を求めていますか?

何かをきっかけに手に取ったBL作品。その作品は、様々な感情を読者に与えてくれます。そして、その受け取った感情を言葉にして発散するのが、レビューです。

ちるちるは、たくさんの読者によるレビューによって支えられています。(ユーザの皆さまいつもレビューありがとうございます!)皆さんのレビューを読みながら、ふと思い立ちました。「役に立ったボタンを押されるレビューは、腐女子のニーズや本音が詰まっているのでは…!?」と。

というわけで今回は、ちるちるに寄せられた作品評価やレビューへの「役に立ったボタン」について考えてみます!

「役に立ったボタン」って知ってる?

レビュー

BL作品ごとにレビューを投稿できる「ちるちる」。投稿できる最大文字数はなんと2400字!BLコミックス以外にも小説、CD、雑誌、はたまた同人誌もレビューページを掲載しています!そして、各作品に寄せられたレビューごとに、ちるちる会員が押せる「役に立ったボタン」が用意されています。(以下:ボタンと表記)

早速ですが、どんな作品・どんなレビューにボタンが押されているのかを見てみましょう!

「役に立った」レビューTOP3

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①『すすきのはら』(小説)
②『にいちゃん(コミックス)
③『イエスかノーか半分か』(小説)

TOP3のうち2作品がBL小説!第一位は2006年と、2020年現在から10年以上前に刊行された作品でした!

「役に立った」レビューTOP50作品のカテゴリー内訳

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さらに、漫画と小説の年間販売作品数の割合を踏まえて考えると、BL小説は非常に役に立ったボタンを押されやすい傾向にあるようです。

レビューが投稿された年と刊行数のギャップがあるのであくまでも例ですが、2019年に刊行(ちるちるへの作品登録数)されたBL小説は838作品、そしてBL漫画は4166作品でした。

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ちるちるにはBL小説愛好家ユーザが多いことを踏まえても、小説は漫画より「役に立った」割合が大きいですね。小説は漫画と比較して読書時間が長くなる分、レビュー書ける程度読む時間コストの観点から、BL小説は「情報」としてレビュー価値が高く、レビューを読みたいファンのニーズへ繋がっているのかもしれません。

マズローで読み解く「レビューを書く」心理

レビュアーとしては、役に立ったボタンを押されるとちょっと嬉しい気持ちになりますよね。では、何故BL作品を読むだけで終わらず、長文のレビューを投稿するのでしょうか?

この時のレビュアー心理を「マズローの欲求5段階説」の人間心理学に当てはめて考えてみましょう。

マズローの欲求5段階説とは、

①生理的欲求(生命維持の欲求)
安全の欲求(身の安全を守りたい)
所属と愛の欲求(他者と関わり合いたい、集団に属したい)
承認の欲求(自分を認めたい、他者から価値を認められたい)
自己実現の欲求(能力を発揮して創造的活動をしたい)
1-5番の優先順に並んだ欲求は、低いものから順番に現れ、その欲求がある程度満たされると、次の欲求が現れます。

というものです。レビューをすることで、③④⑤が満たされます。そして、③④の満足感を促進する仕組みが「役に立ったボタン」です。ボタンを押されることで他者からの承認、そして次なる創造的活動であるレビューへと繋がります。

一方で、どのようなレビューだとユーザは「役に立ったボタン」を押したくなるのでしょうか。TwitterやFacebookの「いいね」にも通じることですが、そのアクションはコンテンツへか、人へかという議論もあります。しかしちるちるではユーザ同士の交流は基本匿名であることから、コンテンツ評価を前提に考えます。その上でボタンを押す心理を一言でまとめるとレビューへの「満足」ですが、さらに分解すると大まかに以下の3パターンに分類できます。

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・同じ感想を持ち代弁してくれた「共感」
・知りたい内容を提供してくれた「情報」
・これまでの自分にない視点等の「発見」

レビューがこの3点を満たしていると、ボタンを押されやすいようです。ちるちるサイト自体、この3つの思想を軸に運営しています。

もちろんこの点以外にも、①作品の知名度②発行年③電子書籍サイトをはじめとした広告費の投下による認知度拡大等も、作品を知っている人数母数、ひいては「役に立った数」を大きく左右します。(風呂敷を広げすぎるため、この場では議題にしません。)

レビューはポジティブもネガティブも混在

ネガポジ

お役立ちポイント数の高いレビューは、明るいレビューとは限りません。将来の作品に期待を寄せつつも、中にはネガティブなレビューもあります。ちるちるにおいては、ネガティブ:ポジティブの割合が約4:6。

そもそもレビューは、ちるちるに限らず「良い」より「悪い」を表現されやすい場です。良いと思った読者は読了した時点で満足しますが、悪いと評価した人はその感情を言葉にのせて満足を感じることができるためです。

ネガティブレビューの差は「性癖」の差

ネガティブレビューをさらに分類すると、次のように分けられます。

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・次回への期待
・満足していない
・他の人に読んで欲しくない(有益な情報貢献)
・自分は正直でいたい
・自分の存在をアピールしたい
・共感したい

特に、「最高」と「最悪」は紙一重。どちらも強い感情を読者に与え、受け取った読者はそれらを発散せずにはいられなくなります。

ちるちるでも例外ではなく、BL作品を絶賛するレビューが多い一方で、ネガティブな批評も投稿されています。冒頭で「BLに何を求めていますか?」と切り出しましたが、求めてる内容つまり自分の性癖との一致または不一致がレビューの正負を左右します。「萌え」と一言で言っても、その中には世界観・キャラクターの見た目や内面・ストーリー展開それぞれの萌えがあります。例えば、F1層読者はBLへ刺激を求めている傾向、F2層はBLへ癒しを求めている傾向があります。性癖カテゴリーの緻密さは一般紙以上ですが、この点がBLの面白いポイントでもありますよね。

【例】レビューでみる性癖の差比較

「BLに求めてる内容の一致・不一致」が如実に現れているレビューが、役に立ったTOP50の中にもありました。同一作品に対して、2件の両極端なレビューがどちらも役に立ったポイントが高く、まさに好みの隔たりが現れています。(本記事は、レビューのネガポジの是非を問うものではないため、レビュアーを名指しにするような表現を避けるため作品名は挙げません。しかし、非常に著名な作家の人気作品です。)

ポジティブなレビューは、リアリティさを絶賛するものでレビュワーは男性BLファンでした。一方、ネガティブなレビューは、ちるちる利用歴が長く3桁ほど評価しているユーザで、作家に個性がないことを指摘する内容です。立場、視点ともに二人それぞれ異なっており、その人らしいレビューと言えるのではないでしょうか。

まとめ

ヘルシーなレビューサイトは、ネガティブもポジティブもどちらもあってこそ。人それぞれ好みは違いますからね。ポジティブだけで溢れたら、宗教に近くなってしまいます。

共感が一つの軸である「ちるちる」。負も正も混在していて、天国でも地獄でもなく"人間界"だなあとしみじみ思いました!

レビューができる場は、一人一人が言葉を気にかけなければ容易に地獄になる場所なのかもしれません。それなのに10年以上もちるちるに熱量の高いレビューが集まっているのは、ひとえにレビュー内容のネガポジに関わらず、ユーザの皆様が作品の作り手や他ユーザの尊重、リスペクトの気持ちがあるからだと思っています。

ネガティブな感想を公に発信するか否かは別として、「なぜ私はこの作品に惹かれなかったのか」を通して自分と向き合ってみませんか?もしかしたら、新しい自分を発見できるかもしれません。

edited by むきゃ(@kahonyun)

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サンディアスでは、豊富なBL業界の知見を元に腐女子向けサービス・コンテンツのアドバイスを行っています。

また、取材やインタビューも積極的に取り組む予定ですので、お気軽にTwitterのDMなどからご連絡ください。

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