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おうちで中華 - 醋溜木須(牛肉と卵の黒酢炒め)

北京の清真菜(ムスリム料理)が好きだ。北京の南西部には牛街というムスリム街があり、清真菜のレストランが軒を並べている。僕は北京出張のたびに旧友と牛街で待ち合わせては、清真菜を食べ歩くのを楽しみにしていた。

単に「肉」と言えば豚肉を意味する中国において、決して豚肉を食べない人々が作り上げてきた独特の食文化だ。肉と言えば、羊か牛。派手な食材はあまり使わず、見た目は至って無骨だが、メリハリの効いたシンプルな味付けが魅力だ。不思議なことに、とっても酒を呼ぶ(笑)。

今回は、その中から醋溜木須(牛肉と卵の黒酢炒め)をご紹介する。


醋溜木須 醋溜木须
cùliū mùxū

醋溜木須(牛肉と卵の黒酢炒め)

ご覧の通り、ふわふわ卵と牛肉の炒めものだ。特徴は、結構びっくりするくらいの勢いで黒酢の酸味が効いていること。攻めた酸味が不思議と卵と肉の仲を取り持って、クセになる美味しさが生まれるのだ。

我が家は、こういう飾り気のない料理が大好き。家族三人、夢中で食べた。

因みに、醋溜とは「酢のとろみ炒め」で、木須とは「金木犀」。黄色い卵を金木犀に見立てているわけだ。日本でもメジャーな木須肉(ムーシューロウ)と同じである。

まあ、金木犀に似せるなら、もっと卵を細かくした方がよさそうだが、北京では必ずこれくらいふわふわで出てくるので、それにならった。

牛肉は、サシのない赤身が向いている。今回はステーキ用の牛モモ肉を薄切りした。また、羊肉で作っても大変旨いので、好きな方で作って欲しい。

尚、清真菜としては豚肉はご法度だけど、漢族は豚肉でも作るみたい。僕は初めて食べたのが北京の牛街だったので、その出会いを大切にしている。

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