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【選挙ウォッチャー】 沖縄県知事選2018・玉城デニーさんが当選しても中国に侵略されない話。

まさか、こんなことをレポートに書かなければならない日がやってくるとは思いませんでした。これまでのレポートでお届けしたように、沖縄の若者たちは「玉城デニーさんが当選すると中国に侵略される」というデマを聞かされており、若さゆえなのか、政治に対する無関心が浸透しているせいなのか、ともかく信じている人もたくさんいましたので、今日は「玉城デニーさんが当選しても沖縄は中国に侵略されることはない」という当たり前すぎる話をしたいと思います。

僕の記事ぐらいで、沖縄の若者たちの洗脳が解けるほど甘い世界ではないと思いますが、僕は佐喜眞淳さんに投票する人たちが、佐喜眞淳さんの実現性の高い公約に共感し、「やっぱりこの人だ!」ということで投票するのであれば、それは素晴らしいことだと思います。しかし、「中国に侵略される」とか「携帯電話を4割引にする」とか、はっきりとデマだと分かるような内容に騙されて投票するのは、良いことではありません。できるだけ正確な情報を手に入れるようにしていただき、しっかりと判断していただきたいと思うのです。


■ 沖縄を占領しているのは中国ではなく、ネトウヨカルトである

今、沖縄を占領しようとしているのは、中国ではなく「ネトウヨカルト」です。日頃から「中国が日本に攻めてくる」とか「北朝鮮が日本にミサイルを撃ってくる」とか言っているオジサンたちは、人々を洗脳するために日頃から「朝日新聞は反日新聞だ」とか「沖縄タイムスと琉球新報、NHKは嘘ばっかり流しているからテレビを見たり、新聞を読んではいけない」と言い続け、なるべく他の情報に触れさせないための努力を惜しみません。自分の話だけを聞いてくれれば、それが嘘やハッタリであることに気付かなくなるからです。考えてもみてください。中国が沖縄を占領したい理由は何でしょうか。中国が日本を狙うための足掛かりとして沖縄を侵略しようとしていると言っている人がいますが、最初から東京を狙った方がよっぽど日本の経済的損失は大きいわけですし、軍事的に攻めるなら東京の防衛省を真っ先に破壊して中枢を混乱させた方が効果的です。人を殺すのに足を狙うバカはいないわけで、狙うなら脳か心臓です。だいたい、中国は既に日本を取り込まなくても、日本を超えて世界第2位の経済大国になっているのです。日本の技術力を手に入れたいと言う人もいますが、悲しいことに日本より中国の方が技術的に優れている時代になってしまいました。日本にも優れた技術はたくさん残っていますが、中国は日本の低賃金に悩まされる日本の技術者を高額で雇い入れることで急成長し、戦争なんかしなくても中国は日本の技術を簡単に手に入れているのです。どうしてこうなってしまったのかと言えば、日本の政治家がどいつもこいつも無能だから、日本の技術者を守る政策をまったくせず、先日の「高度プロフェッショナル制度」のように、働けど働けど給料が上がらないシステムを導入し、日本のブラック企業で働くぐらいなら、お金をたくさんもらえる中国の企業で働いた方がよっぽどマシという環境を作り出し、日本の優秀な技術者や技術者の卵たちを大量に海外に流出させているからです。だけど、中国や北朝鮮が攻めてこなかったら、基地の存在意義がなくなってしまうので、基地の存在意義を認めるためにも、本当は中国が日本に攻めてくるリスクがなくても「中国が攻めてくるかもしれない」と言い続けることは大切なのです。そして、この情報操作を担っているのが「日本会議」「幸福の科学」といったネトウヨカルトな人たちです。佐喜眞淳さんは「日本会議」というネトウヨカルト団体に所属しているオジサンなので、今回の沖縄県知事選では「基地推進」とは言わないようにしていますが、基本的に基地を推進する立場にあるのです。基地を中心とした経済基盤を築いていこうというのです。


■ 善良な沖縄県民は宗教やマルチ商法に騙されやすい

首都圏ではすっかり見かけなくなった「水素水」「ナントカ還元水」といった類いの商品が、沖縄では当たり前のように売られています。もしここで「水素水は体に良い!」なんてことを言い出したら、それこそネトウヨが大量発生して「水素水に科学的な根拠はない!」と言い出すと思いますが、沖縄県では今も「水素水」を販売するお店が経営されています。よくわからないスピリチュアルな数珠を販売するお店も見かけますが、これだけネトウヨカルトのオジサンやオバサンたちに騙されているので、実は、マルチ商法に手をつける人が多いことも沖縄の特徴です。例えば、東京ではどんな人が立候補しても「幸福実現党」というだけで最下位で落選するレベルですが、沖縄県石垣市では定数22に対して30人が立候補する激戦になりましたが、幸福実現党推薦のオジサンが普通に当選を果たしている。こんな場所は沖縄にしかありません。だから、他の地域に住んでいる人たちから見れば、明らかにデマだろうと思うような話でも信じてしまう「心のピュアな人」が多いと言えます。そのピュアな心がカルトめいた人たちに利用されていますけど、大丈夫でしょうか。


■ 玉城デニーさんが1期4年で止められるのは辺野古基地だけ

将来的には沖縄の基地を可能な限り減らしていくことが理想だと思うのですが、おそらく玉城デニーさんが当選しても、1期4年で止められるのは新しく建設される辺野古基地だけだと思います。引き続き、普天間基地の返還は求めていくことになると思いますし、基地を減らしていく方向性がブレるとは思いませんが、4年間でできることには限界があり、できることは何かと言えば、新しい基地を作らない、基地を減らすための下準備をするというだけで、実際に減らすのはもっと先です。つまり、「日本から米軍を追い出したら誰が守るんだ!」みたいなことを心配する人がいますが、辺野古基地を止めたところで米軍を追い出すことにはなりません。沖縄県民の方々はよく分かっていると思いますが、他にどれだけの基地があると思っているのでしょうか。いきなりすべての基地をなくすことはできないので、段階的に一つずつ減らしていくということになると思いますが、まずは新しく作ろうとしている辺野古基地を止めて、その次に普天間基地の返還を求める。辺野古基地を作ってしまうと、普天間基地より新しい基地ができてしまうことになり、返還にはさらに時間を費やすことになり、減らすどころか増やすことになってしまうからです。駐留する米軍の数が一気に減るのではないかと心配する人もいるかもしれませんが、ほとんど減ることはないので、玉城デニーさんが知事になったところで中国が沖縄を攻めてくることは現実的に不可能です。「玉城デニーさんが知事になったら中国が攻めてくる」というのはデマです。それとも、辺野古基地ができないぐらいで沖縄が侵略されるほど米軍がザコであるとでも言いたいのでしょうか。実は、米軍を一番ナメているのは「辺野古基地ができなかったら中国に侵略される」とかホザいているネトウヨカルトのオジサンやオバサンたちなのです。


■ 中国は既に戦争できない国になってしまっている

「中国が沖縄を侵略する」というデマが広がっていますが、中国は沖縄を狙っていません。尖閣諸島を自分たちの領土だと主張することはあっても、沖縄を侵略しようとは考えていないからです。どうしてそんなことが言えるのかと言うと、いまや中国は世界第2位の経済大国になってしまい、えげつないくらいの金持ちがたくさん生まれてしまっているからです。経済力を持ってしまうと、国は経済を守らなければならなくなってしまいます。例えば、日本は誰も住んでいない田舎にミサイルを撃たれても屁でもありませんが、新宿や渋谷にミサイルを撃たれては困るのです。一方、中国にも同じことが言えて、誰も住んでいない中国の山奥にミサイルを撃たれても屁でもありませんが、北京や上海にミサイルを撃たれたら困るのです。もし、あなたがネトウヨだったら、きっと北京や上海にミサイルを撃って、中国人を困らせてやりたくなることでしょう。実は、日本も中国も戦争なんて望んでいないし、なるべく戦争になるリスクは避けたいというのが正直なところなのです。でも、「尖閣諸島が中国の領土になったら困るでしょ?」という人も多いことでしょう。確かに、尖閣諸島は日本の領土であり、中国のものではありません。ただ、尖閣諸島が日本の領土であることを主張するために必要なのは「武力」ではないのです。仮に、中国の軍艦が尖閣諸島に攻めてきたとして、それに日本の自衛隊が対抗して、見事に奪還に成功し、尖閣諸島を守れたとしましょう。これを世界の国々はどう見るでしょうか。きっと中国は「自分の領土に船をつけようとしたら、日本の自衛隊が攻撃してきて、自分たちの島を占領してしまった」と主張することでしょう。世界の国々は、そんな他国の小さな島のことなど知ったこっちゃないので、今度は日本が「これは自分たちの島で、それを取り返しただけだ」と主張したとしても、「武力で島を取るなんて卑怯だぞ」とか言われてしまうのです。本当に尖閣諸島を守りたいなら、尖閣諸島が日本の領土であるということを世界の国々に知ってもらうことが何より大事なのですが、しっかりとしたPR活動はできておらず、ネトウヨカルトの政治団体や宗教団体のオジサンやオバサンたちが、それこそネトウヨの皆さんが軽蔑している基地反対派のオジサンやオバサンと同じように騒いでいるだけなのです。どうして知恵を使わないのでしょうか。バカだからでしょうか。


■ 東京都は知事の公約に騙されてどうなったのか

まず、東京都は2016年に小池百合子さんを知事に選びました。自民党から増田寛也さん、オール野党からは鳥越俊太郎さんが立候補したのですが、最終的には圧倒的な大差で小池百合子さんが当選を果たしました。あの時、どうして都民は小池百合子さんを選んだのかと言うと、「築地市場の豊洲移転を見直す」という公約を掲げていたからです。当時、多くの人は小池百合子さんが知事になって、「やっとみんなの願いを叶えてくれる理想の知事が誕生した」と喜びました。小池百合子さんの人気は非常に高く、その後の東京都議選では「都民ファーストの会」が圧勝し、議会でも豊洲移転を見直すことに反対する人はいなくなりました。ところが、小池百合子さんが本当にやりたかったことは、豊洲移転を見直すことではなく、国政で自民党を駆逐し、自分が総理大臣になって、これまで自分を押しつけてきた臭いジジィたちに復讐をすることでした。だから、2017年の衆院選では「希望の党」を立ち上げ、政権交代を狙うクーデターを起こしたのです。しかし、このクーデターは自らの「排除します」発言によって失敗に終わり、小池百合子さんの政界でのポジションは非常に危ういものになりました。さまざまな後ろ盾を失うと政治家としての生命も失うことになる。だから、今度は臭いジジィたちの言いなりになって、豊洲移転を進めることにしたのです。ただ、この豊洲新市場というのが、これまた実に欠陥だらけの非常に頭の悪い構造をしていて、プロの仲卸業者たちがどうやったら使いやすいかを考えることもなく、無能に無能を重ねた建物になっているので、今年10月にオープンする予定なのですが、非常に多くの問題が発生することは確実です。これから年末にかけて、豊洲市場がどれだけアホなのかが話題になっていくことでしょう。そして、僕が何よりも驚いたことは、その小池百合子さんが今回の沖縄県知事選に佐喜眞淳さんの応援のために駆けつけたことです。街頭に立って何を言うかと思ったら「佐喜眞淳さんは沖縄ファーストだ」と言って、今回は「希望の党」が正式に佐喜眞淳さんの推薦を表明しているのです。


■ 今も残っている「希望の党」ってどんな政党なのか?

旧民進党だった「希望の党」の人たちは、その多くが「国民民主党」に入り、一部の人が「立憲民主党」に入ったり、無所属になったりしています。しかし、実は今も「希望の党」は存在しており、ごくわずかな国会議員が「希望の党」として生きているのです。そのメンバーは松沢成文、行田邦子、井上一徳、中山成彬、中山恭子といった方々で、一言で言うと「次世代の党」「日本のこころを大切にする党」といったゴリゴリの極右思想を持った人たちです。実は、佐喜眞淳さんも「日本会議」という極右思想を持った人たちの団体に属しているため、思想としては「希望の党」の人たちと考えが近く、「中国共産党が大嫌い」という考えは同じなので、このたびの推薦に至ったと考えられます。


■ 選挙ウォッチャーの分析&考察

今回の沖縄県知事選が、日本の命運を大きく左右する非常に重要な選挙であることは間違いないのですが、あまりに荒唐無稽なデマが横行しており、それらの発信源がネトウヨカルトの政治団体や宗教団体であることを考えると、やはり沖縄県はかなり特殊な場所だと思います。しかも、こうしたデマを利用して、目指しているのは東京にある大企業のビジネスです。お金儲けしたい東京の大企業が善人面で乗り込み、沖縄で働く人たちから搾取をして低賃金と貧困を作り出しているのですが、その構図が表に見えてしまうと感じ悪いので、「中国が攻めてくる」というデマに便乗し、隠れているのです。「おもろまち」などの沖縄新都心を見てもらえば分かるように、返還された土地の発展は著しく、基地経済に頼るよりも基地に頼らない方が経済的に発展しています。ところが、それでは沖縄の企業ばかりが儲かってしまい、東京の企業にとってはあんまりおいしくないので、基地を作って東京の大手ゼネコンがお金を儲けたい。これは沖縄県が自立した経済を目指すか、それとも、東京の企業と米軍基地に経済を支配されながら生きるのかが問われている選挙なのです。[了]

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