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別に考えは煮詰まってないけど、夜自転車で湖に行く【デンマーク交換留学🇩🇰】

デンマークの夜は早い。駅に掲示されている"公式"のラッシュアワーは「15:30-17:30」。日本ではテスト期間の私立の中学生しか乗っていない時間帯に、最も電車が混雑します。

1.早朝と深夜

そんなこんなで遅くとも18時に家に帰るデンマーク人は、その後も外に姿を現すことはありません。22時には学生以外全員寝ているんじゃないかと錯覚するほど寮の前の道から人は消え、車は走らず、静寂に包まれます。ちなみに最寄駅の終電は0:30過ぎなので、からっぽの電車は走り続けています。その終電、日本に分けてもらえませんか。

きっとこれも逆張りの一種ですが、「早朝」と「深夜」が好きです。人があまり活動していない時間に街を歩き回るのが本当に楽しい。じゃあ人なんかいない田舎に行けよとも思いますが、多分それは違います。「昼間は人がたくさんいるのにこの時間帯は空いている場所」を体験するのが好きなんだと思うんです。感覚としては廃墟マニアに近い気がします。お化けは怖いので廃墟には行きませんが。

ただ、日本で人のいない「深夜」を体験しようとすると深夜2時3時まで待つ必要があります。日付が変わる前だと、日能研帰りのお受験小学生、残業後のサラリーマン、サイゼリアからぞろぞろ登場する小学生など、しっかり他人の生活に遭遇してしまうから。

でも、デンマークなら。22時以降の世界は完全に「深夜」です。自分が夜更かししなくても、静寂の道を存分に楽しめます。

2.池の畔でぼんやりと

大多数の本や映画において登場人物が「夜にふらっと外出する」とき、その目的は頭のリフレッシュにあります。きっと。

推理に行き詰まった探偵がヒントを探しに散歩してみたり、失恋から立ち直れない男がギター片手に星を見上げてみたり、殺人犯を追う刑事が現場の写真を月明かりにかざしながら「お前は誰だ」と呟いてみたり。

そして、だいたいの場合において思いがけない物や人との出会いから物語が進展するキー場面となることが多い。気がします。あくまで気がするだけ。

ただ、僕には解き明かさなければいけない謎もないし、直近で特段大きな心の傷も負っていないし、もちろん捕まえなければならない犯人に心当たりもありません。

そんな状態でどんな顔をして夜風を切っていいかわからなくなった結果、自分が映画の登場人物にもなったかのような表情で、暇な日はほぼ毎晩自転車に乗っています。BGMはflumpool「星に願いを」やSEKAI NO OWARI「スターライトパレード -CAN'T SLEEP FANTASY NIGHT ver.-」などで。世代がバレますね。

寮から15分ほど漕いだ先にある広い池の畔のベンチで、何か思慮を巡らせていそうな顔をしながらただぼんやりと座る時間が、今デンマークで一番好きな時間です。

きっと来月には寒さが許してくれなくなってしまいそうなので、劇場版「深夜サイクリング」はきっと10月いっぱいで打ち切りになります。

ほら、このあまりにも薄い締めから、池の畔で何も思案していないことがおわかりでしょう。

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