久保カエル

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久保カエル

アマガエル広報担当 https://www.instagram.com/kubokaeru/

最近の記事

アマガエルセラピー 17

カエルとネコの類似点  実家に住み着いた野良の子ネコを、渋る親を妹と必死に説得して――結局、両親も溺愛することになるのですが――飼っていたことがあり、私はネコも大好きです。社会人になって都内で独り暮らしを始めてからも、毎週会いに帰省していたほどかわいがっていました。その経験からカエルとネコは似ていると思わずにいられません。  まずリラックスしているときの座り方がそっくりです。ネコがよくやる前足を折りたたんで身体の下にしまいこんだ、いわゆる香箱座りはアマガエルの基本姿勢でも

    • アマガエルセラピー 16

      幸せなベランダ  愛妻と暮らす15階建てのプール付きリゾートマンションはビーチから徒歩5分の海岸沿いに建ち、津波避難ビルにも指定されています。なんにも邪魔されず広大な太平洋が望め、青い空と青い海を分ける水平線が視界いっぱいに広がります。ただし、その地球が丸いことがわかるオーシャンビューを享受できる特権は7階以上のベランダ限定です。うちは4階なので、砂防のための松林が邪魔して海はまったく見えません。  海のそばに住みたい人は一定数いると思いますが、実際に住んでみると予想だに

      • アマガエルセラピー 15

        いい子でお留守番  パンデミックもようやく落ち着き、ワクチン接種から逃げていた私も、3年ぶりに夏のバカンスに行けることになりました。妻の夏休みに合わせて年に一度、不自由な日本から脱出して英気を養うのが夫婦の一番の楽しみです。ただし1週間も家を空けることになるため、やはりカエルたちのことが気がかりなのは言うまでもありません。  餌をもらえなくなるのは、餌付けに慣れたカエルには一大事です。できるだけのことをやっておきます。水が蒸発しても問題ないように水場の数を増やしておく。羽

        • アマガエルセラピー 14

          カエルっぽい  ヒトよりもカエルと過ごす時間が長いせいでしょうか、何事につけてもカエルにたとえてしまう癖があります。毎日のように通っている農産物直売所のレジでバーコードを読み取る店員のおばさんに、こういうタイプのカエルいるいると、にやにやしそうになるのを我慢したり、プールのあとに身体を温める低温サウナで時間帯がかぶる羽振りのいい網元のでっぷりした体格が太ったカエルを連想させて、かわいいからって餌をやりすぎてはいけないなと自戒したりします。  自動車の後ろ姿にも意外とそそら

        アマガエルセラピー 17

          アマガエルセラピー 13

          変わり者のサポーター  基本、野生のアマガエルは生餌しか食べません。基本と書いたのは釣りと同様、生きているように見せかければ食いつく場合もあるからです。クモとハエが大好物なので、まずは糸にぶら下がったクモを視界に垂らして餌付けを始めます。次に羽根を外したハエを目の前に落として、ほぼ自力では狩れないご馳走の味を覚えさせます。そして羽根をつまんだハエを手渡しで口元にやれるようになれば餌付け完了です。  栄養的には天然のクモを必要なだけ確保できればいいのですが、近所に巣を張るク

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          アマガエルセラピー 12

          馴れるけれど懐かない  アマガエルは馴れるけれど懐かないのが通説となっています。餌付けとは餌を与えて馴れさせることなので、手の平に乗せた野生のカエルに羽根をつまんだハエをあげて悦に入っている私は馴れるのはよく知っています。その次の段階に進んだ関係性を自分なりに解釈すると、好意を感じられれば懐いているといっていいのではないでしょうか。それなら毎年、かならず1匹か2匹はいます。  愛情表現はだいたい同じです。窓にぴたっと張りついて、ずっとガン見される。ベランダに出たとたん、カ

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          アマガエルセラピー 11

          鳴き始めと衣替え  春に生まれたチビたちがすくすくと育ち、夏の終わりには一人前になります。成長の記録を追った写真を見返し、こんなにちっちゃかったのに立派なカエルになったもんだと、食事の世話をしながら毎日見守っている私は、なんだか育ての親にでもなったような気分でうれしくなります。  大人になった証として、オスはあごの下にある鳴き袋を風船のようにふくらませて鳴き始めます。最初はか細い声で、いかにも自信なさげですが、練習を重ねるうちに、夜中に起こされることもあるくらい、けたたま

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          アマガエルセラピー 10

          3つのタイプ  田んぼからマンションを目指してくるアマガエルは大きく3つのタイプに分かれます。まるで天敵のごとくヒトを拒絶するAタイプ、同じ世界のよき隣人としてヒトを受け入れているっぽいBタイプ、そしてその中間のビビりなCタイプです。カメラを向ければ、そのタイプが判明します。  静かに休んでいる被写体にマクロレンズをスローモーションで近づけていきます。Aタイプはこちらに気づいた瞬間、たたんでいた後ろ足をさっと横に広げて踏ん張り、いつでも逃げられるように身構えます。どこまで

          アマガエルセラピー 10

          アマガエルセラピー 09

          アマガエルセラピー  ここ10年くらい、ずっと家にいるのが大好きな私は、気立てがいい働き者の妻に扶養されている身です。エッセンシャルな家事さえきちんとこなせば、あとは自分の時間を好き勝手に使えます。だからオンシーズンの夏場には、気がつくと朝夕2時間ずつくらいカエルたちと遊んでいることもざらです。いい大人が何やってんだと客観的に思うこともなくはありません。  下手を打って会社をクビになり、仕方なくフリーになっても思うようにはいかず、少々くすぶっていた時期に心機一転、海と里山

          アマガエルセラピー 09

          アマガエルセラピー 08

          人気を左右する目鼻ライン  アマガエルは鼻の穴と目の間に、黒い装飾的なラインがあります。まるで歌舞伎の隈取りのように描かれた感じです。正面からはわかりませんが、そのラインは目を通り越して、むき出しになった円盤状の鼓膜まで続いています。ごくたまに見かける、一見よく似たシュレーゲルアオガエルにはこのようなラインはありません。  それぞれ太さや模様が違う目鼻ラインは、アマガエルの顔立ちを特徴づける最大のポイントです。季節の移ろいとともに体色が変化したり、全身に柄が浮き出てきても

          アマガエルセラピー 08

          アマガエルセラピー 07

          怒りのヘッドバット  普段はほのぼのとしているカエルも、ときたま怒ることがあります。先に手が出るタイプみたいで、カッとなる相手にいきなりヘッドバットを食らわせたりします。  初めて見たときは反射的に「仲よくしなきゃダメでしょ!」と注意しましたが、それから何度も出くわすことになり、もう慣れっこです。実は何を隠そう、修羅場の原因を作る張本人なので。しかも、わざとそうして一連の流れを面白がる悪趣味な私です。  よく一緒にいるカップルもどきのDV的なドラマ。たいてい気性が激しい

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          アマガエルセラピー 06

          縄張りと寅さんカエル  保護したカエルがそのまま楽園にいつく定着率は半分程度です。すぐにいなくなってしまうのが3割。いなくなっても餌をもらいにときどき帰ってくる、放浪者のようなタイプが2割います。ほぼオスなので、たぶん縄張りが関係しているのでしょう。寅さんカエルと呼んでいます。  チビガエルの時期を過ぎると、オス同士でつるむことがなくなり、最低1メートル以上離れて決まった居場所を確保します。日中はそこでのんびり休んでいますが、自分の縄張りに侵入者がいないか目を光らせている

          アマガエルセラピー 06

          アマガエルセラピー 05

          ケロケロレスキュー隊  東日本大震災の翌年、四半世紀暮らした都内から房総半島に疎開しました。賃貸契約した海辺に建つリゾートマンションの裏手には住宅地と田んぼが混在し、すぐ向こうに見える丘陵まで広がっています。  毎年春分の日前後、早稲の田んぼに水が張られると、春の風物詩といえるアマガエルの求愛の合唱が始まります。まるで地鳴りのように響いてきますが、4つ打ち好きの私には規則的なループ感が心地よく、寝入りばなのチルアウトにぴったりです。  夜ごとの合唱もいつしか終わり、梅雨

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          アマガエルセラピー 04

          一期一会の付き合い  アマガエルの寿命は6年くらいと聞くので、1ヵ月はヒトの1年に相当します。試行錯誤を重ねて住み心地を向上させた結果、楽園に居場所を見つけた子は、ほぼ冬眠明けまでいてくれるようになりました。6~9ヵ月は一緒に生活するわけで、カエルにとってはけっこう長い期間になります。  最長記録の持ち主は、6月中旬から翌年の5月末まで、ほぼ1年いてくれた、明るい緑の体色と艶のある金色の手足が縁起よさそうなキンミヤです。すぐ飛び乗ってきてどの子よりも慣れていたし、もうずっ

          アマガエルセラピー 04

          アマガエルセラピー 03

          水は生命線  アマガエルは繁殖期以外、田んぼから離れて生活します。樹上性なので乾燥には強いようですが、水分補給は必要不可欠です。うちにいる子たちはちょくちょく肥料差しに乗っかり、溜めた水に下腹部を浸けています。いろいろ試した結果、上部が平らで丸い穴の開いたプラスチック製の肥料差しがベスト水場に落ち着きました。  腰湯状態で気持ちよくお風呂に入っているように見えても、リラックスが目的ではありません。カエルは口からではなく、お腹の皮膚から水分を吸収するのです。それも大量に。し

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          アマガエルセラピー 02

          カエルと仲よしになる  餌付けしてカエルと仲を深めていきます。腹ペコを満たしてくれる相手に好意を持つのは本能で、次第に手から直接食べるようになります。キラキラした瞳でガン見しておねだりしたり、目が合うと口をぱくっと開けてアピールする子もいます。  自分が与える餌をおいしそうに食べる姿を見ると、脳内に愛情ホルモンのオキシトシンが分泌され最高に癒されます。ただし、餌付けは一筋縄ではいきません。野生のカエルは生きた餌しか食べないからです。  なかでも活クモが大好物。日が落ちた

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