アマガエルセラピー　08

人気を左右する目鼻ライン

　アマガエルは鼻の穴と目の間に、黒い装飾的なラインがあります。まるで歌舞伎の隈取りのように描かれた感じです。正面からはわかりませんが、そのラインは目を通り越して、むき出しになった円盤状の鼓膜まで続いています。ごくたまに見かける、一見よく似たシュレーゲルアオガエルにはこのようなラインはありません。

　それぞれ太さや模様が違う目鼻ラインは、アマガエルの顔立ちを特徴づける最大のポイントです。季節の移ろいとともに体色が変化したり、全身に柄が浮き出てきても、ラインはそのままなので、個体の判別にも一役買っています。ただし体色や大きさが似ている場合、肉眼での瞬時の判断が難しく、同じ子に続けて餌をあげてしまったり、あとで写真を確認して間違いに気づくこともあります。

　目鼻ラインはくっきりと主張しているよりも、地味で目立たないほうが映えるようです。いいねの数を間違いなく稼ぎます。ぱっと見のインパクトなのでしょう。ラインが強いと相対的に目の印象が弱くなってしまうからだと思います。やはり、なんといっても目に惹きつけられるものですから。

　ちなみに投稿を重ねるうちに、高評価をもらえる写真の傾向、すなわち被写体の容姿がだいたいわかってきました。もちろん、評価が高ければ高いほどうれしいものですが、あくまでも直感で自分がかわいいと思った写真を選んでいます。

　日本のアマガエルが世界一かわいいのは、和食が世界一おいしいのと同様、グローバルな常識です。そのかわいさを世界中のカエル愛好家とシェアしたいと思ってインスタを始めました。うちのベランダで撮った写真を投稿すれば、全世界に8千人以上いるフォロワーの端末と瞬時につながることができるのです。テクノロジーの進歩はすごいなあと、ネットも携帯もない青春時代を送った私はつくづく思います。