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アマガエルセラピー 12

馴れるけれど懐かない

 アマガエルは馴れるけれど懐かないのが通説となっています。餌付けとは餌を与えて馴れさせることなので、手の平に乗せた野生のカエルに羽根をつまんだハエをあげて悦に入っている私は馴れるのはよく知っています。その次の段階に進んだ関係性を自分なりに解釈すると、好意を感じられれば懐いているといっていいのではないでしょうか。それなら毎年、かならず1匹か2匹はいます。

 愛情表現はだいたい同じです。窓にぴたっと張りついて、ずっとガン見される。ベランダに出たとたん、カメラに跳びついてくる。自分のあとを追いかけて跳びまわる。餌をあげるとき、素直に食べずに逃げたり葉っぱの下に隠れたり、ひとしきり遊ぶような仕草をしてから口にする。結局のところ、餌をくれる者に対してのアピールなのはわかっていますが、好意をひしひしと感じることができるのです。

 沖縄の言葉で「美しい」を意味するチュラと名づけた美形のメスがいました。誰よりも早く餌を手渡しで食べるようになり、目を合わせるごとにもっと寄越せという態度を見せる過去一の食いしん坊でした。ヨガの真似をする私の動きを窓越しに追いかけたり、撮影にも協力的で、カメラを向けるとちゃんと画角に入るように葉陰から顔を出してポーズをとってくれたり、とても賢い子でした。だから、かわいくて仕方ありません。溺愛といっていいほど大好きになりました。

 チュラも私のことを大好きなので、まさに相思相愛と言える関係でした。チュラとずっと一緒にいられたら幸せだなと心底願い、だったら飼っちゃえばいいじゃんという悪魔のささやきに惑わされそうにもなりました。冬眠から目覚めていなくなったときは、しばらく涙が止まりませんでした。相思相愛だと本気で思わせるほどのバイブスを感じさせてくれたチュラ。懐くアマガエルもいるのは間違いありません。

チュラ

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