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アマガエルセラピー 13

変わり者のサポーター

 基本、野生のアマガエルは生餌しか食べません。基本と書いたのは釣りと同様、生きているように見せかければ食いつく場合もあるからです。クモとハエが大好物なので、まずは糸にぶら下がったクモを視界に垂らして餌付けを始めます。次に羽根を外したハエを目の前に落として、ほぼ自力では狩れないご馳走の味を覚えさせます。そして羽根をつまんだハエを手渡しで口元にやれるようになれば餌付け完了です。

 栄養的には天然のクモを必要なだけ確保できればいいのですが、近所に巣を張るクモたちの最大の天敵と化し、申し訳ないとは思いつつ生態系を壊しまくっても、それは無理な話です。よって、ハエをメインの餌にしなければいけません。釣具店で手に入れたサシを孵化させ、飼育する必要があります。ハエにやる餌は市販のフルーツゼリーなので、糖分や添加物がカエルの健康に悪影響を与えるんじゃないかと思ったりもしますが、深く考えないようにしています。

 忌み嫌われるハエをわざわざ飼育するなんて、間違いなく変わり者の仕業でしょう。もともと変わり者だしと納得しながら、毎週サシを買いに行っています。海のそばに住んでいるため、近くに淡水魚用のサシを扱っている釣具店は1軒しかありません。前に入荷が滞って困ったことがあったので、需要があることを忘れてもらわないようコンスタントに顔を出します。

 イソメやジャリメのパック詰めをしている餌担当の店員さんに「どうもこんにちは。サシ売れますか」と笑顔で尋ねると、「お客さんしか買わないよ」と、いつもぶっきらぼうに答えてくれます。正直、愛想はよくありませんが、ちゃんとストックを切らさずにサシを用意しておいてくれます。サシは海釣り用の餌とともに都内の業者から仕入れているようです。いろんな人たちに支えられているのだなと感謝しきりです。

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