アマガエルセラピー 04
一期一会の付き合い
アマガエルの寿命は6年くらいと聞くので、1ヵ月はヒトの1年に相当します。試行錯誤を重ねて住み心地を向上させた結果、楽園に居場所を見つけた子は、ほぼ冬眠明けまでいてくれるようになりました。6~9ヵ月は一緒に生活するわけで、カエルにとってはけっこう長い期間になります。
最長記録の持ち主は、6月中旬から翌年の5月末まで、ほぼ1年いてくれた、明るい緑の体色と艶のある金色の手足が縁起よさそうなキンミヤです。すぐ飛び乗ってきてどの子よりも慣れていたし、もうずっといてくれるんじゃないかと思ったほどで、さすがにいなくなったときはかなり落ち込みました。
そもそもカエルとは一期一会の付き合いです。冬眠から目覚めると繁殖期を迎えます。本能に従い、さかりがついた順に田んぼを目指します。いい相手を見つけてDNAをしっかり残せよと応援しつつも、別れは本当に辛いです。朝起きて見当たらないと、涙目でベランダじゅうを探します。繁殖が終わったら戻ってきて欲しいといつも願いますが、まだかなったことはありません。
それにしても、ラッキーだなとつくづく思います。羽虫を追って現れた野生のチビガエルが、一人前のカエルに成長していく姿をつぶさに観察して写真におさめる。どこかに出かける面倒もなく、自宅のベランダでそれができちゃうのですから。しかも無職、もとい内向的な専業主夫なので、食材の買い出しと、海辺の散歩と、週3日のプールと、たまに釣りと図書館に行く以外ずっと家にいます。必然的にヒトよりもカエルと濃厚な時間を過ごすことになります。
というわけで、気がつくとカエルにばかり構っています。常に頭から離れない一抹の寂しさは、どれだけ慣れても繁殖が始まればいなくなってしまう必然です。何事も永遠には続かないことを、毎年カエルに教えてもらっています。
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