見出し画像

❦さぁ、オマエの心臓を見せて? 〜 Murmures d'Anubis ミュルミュール ダヌビス 〜

♢♢テーマイメージ♢♢
やぁいらっしゃい、よく来たな!
んん、どうしたんだ?
なんだか不安そうだな。大丈夫か?

……此処が何処か分からない?
なんだ、それなら心配いらないさ!
ちょっと見覚えはないかもしれないけど、
此処は怪しい場所なんかじゃないぞ。

たまに近くまで迷ってくる人間もいるけど
もし前に来ていても覚えていないんだよ。
初めて来るっていうやつが多いから、
そういう人間への対応は慣れているんだ。
大丈夫、オレに任せてくれ!

……オレが誰か分からない?
あぁゴメンよ、そうだった!
まだ自己紹介もしていなかったな。

オレはアヌビス。特技はミイラ作りだ!
死者の安らかな眠りを守りながら、
この冥界でオシリスの審判を助ける者さ。

これからオマエに死後の裁きが下される。
まずはオマエの罪の重さを計らないとな。

──さぁ、オマエの心臓を見せて?

❦さぁ、オマエの心臓を見せて?
〜 Murmures d'Anubis ミュルミュール ダヌビス 〜
(minneリンク画像)

皆様ご機嫌よう、ちょっとお久しぶりになりました。(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)⁠✧⁠*⁠。

今回はエジプト神話の “死者の守護者” たるアヌビスがテーマの作品です。

アヌビスは様々な物語やゲームに登場するので、エジプト神話の中でも有名なキャラクターとして知られていると思います。

「犬ではなくジャッカルだ」との説明がなされることもあるアヌビスは、長年ジャッカルがモチーフにされたと考えられていました。
ですが近年の研究により、かつて実際に生息していた動物は、実は狼に近いことが判明したそうです。2015年に新種としてアフリカンゴールデンウルフ(アフリカキンイロオオカミ)の名前が付けられました。

由来となる動物が変わってしまうとは……。
同じイヌ科とはいえ、アヌビスさんのアイデンティティが大きく揺らぐ衝撃的な研究成果だったに違いありません。

さて、神話の中ではミイラ作りの第一人者(神の数え方に合わせると……第一神か第一柱?)であるアヌビスさんは、冥界の審判のお手伝いもしています。
アヌビスが大きな天秤と共に描かれた絵を知っている方も多いのではないでしょうか?あの絵こそ、死者の書の125章に描かれた死者の裁判の景色です。

アヌビスが太陽神ラーの天秤の計量を行う

冥界神オシリスの法定では、太陽神ラーの天秤を使い、死者の心臓(イブ)と、真理神マアトの「真実の羽根」を秤にかけてアヌビスが計量します。

生前の罪により天秤が釣り合わず心臓が羽根より重い場合は、幻獣アメミットにより死者の心臓は食べられてしまいます。そうするとその死者は、楽園へ辿り着くことなく破滅を迎えてしまうのです。
ちなみに魂の審判の前には、自己申告で己の罪を否定する「否定告白」も行われます。
悪いことはしないに限りますね。

この記事を書いている8月中旬は、暦の上では立秋を過ぎて秋になっています。とはいえ、まだまだ猛暑・酷暑が続く暑い時期。
ストーリーでは最後に薄っすらホラー感(病み?闇?)が出たので、気持ち涼しさを感じた方もいるかもしれませんね。

またこの時期は「死者の魂が戻ってくる」とされる夏のお盆の季節でもあります。(人によっては7月にお盆があるという場合もありますが)

死者を守るアヌビスがいるエジプトに対して日本はまたちょっと死生観が違います。
ですが国は違えど、死者の安寧を祈る気持ちはきっと変わらないのだろうと思っています。(⁠*⁠˘⁠︶⁠˘⁠*⁠)⁠.⁠。⁠*⁠♡

※minne の掲載はこちら

※Creema の掲載はこちら