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夜中のワルごっこと、焼きそばのかやくは麺の上に入れるか?下に入れるか?

彼が飲み会から遅く帰宅した。
いい感じに酔っぱらっていて、会うなりニコニコしながら思い切り抱きしめにきてくれるので、甘えられることが嬉しい私はニヤニヤしながらおかえりと抱きしめ返す。

酔っぱらいのフィルターは毎度ながらご機嫌で、お風呂上りにすっぴんでダル着の私を見ても可愛い可愛いとほめてくれる。
私はとっても簡単な人間なので、そんな嬉しい事言われたらますます甘やかしたくなってしまうのだから、彼は本当に私の心のツボを押さえていると思う。
彼から言わせると「ほんとちひろは俺の事甘やかし上手!」とのことだけど、そっちのほうがよっぽど甘やかし上手だと思う事が日々たくさんある。

冷たいお茶を出してあげると「お腹がすいてきた」と切なそうに言われた。
ビール党の彼は飲み始めたらシメはあまり食べないタイプなので、聞いたら今回もやはりご飯ものは食べていないという。
冷凍ご飯と昆布茶があるので、かつお出汁とお麩も入れて出汁茶漬けを作ろうかと提案したところ「むしょうにカップ麺の塩焼きそばが食べたい」とのこと。

……なぜ塩焼きそばなのか心当たりは分かっている。
昨日見たテレビで、カップ麺の塩焼きそばを美味しそうに食べるシーンを見たからだ。

夜中にカップ麺とは感心しないけれども、ほとんどお腹にたまるものを食べていなくて、それで夜眠るのは私だったらしんどいな~。
……甘やかし上手?
いいえ、自分に甘いだけですね!
(ちなみに仕事では自分にも他人にも厳しい嫌われるタイプなの自覚しています)

「じゃあ、カップ麺買いに行く?」

ニヤリ笑いした私の一言に、期待していたと言わんばかりの表情しながらも「これ以上俺を甘やかしたらダメ!」「女の子がこんな時間に買い物だなんて危ないよ!」と返してくるも、めちゃくちゃ嬉しそうである。
なんなら「ほんとは待ってました!」とヘソ天にして嬉しそうにしているワンちゃんのよう。

「女の子つってもアラフォーだし、車で行くから危なくないし。お腹すいたまま眠りにつくのはよくないから、買いに行ってくるね。
……ところで、一緒にいく?」
「行く!!」

即答やないかい!分かってたけど!!

とまぁ、そんなこんなで23時のドライブ。
行先は真夜中まで営業している某薬局。

酔っぱらいながら彼は「俺、こんな寝間着みたいな部屋着で外でちゃうの初めて!大丈夫かな!?変じゃないかな??」とそわそわしていて、もう何をしていもこちらは面白い。
かくいう私も部屋着すっぴん姿で夜中に買い物なんてほぼしないので、ちょっとだけテンションが上がっていた。
普段からだらしない事が割と苦手な二人だからかもしれない。
ましてや夜中にカップ麺を買いに行くという背徳も合わさって「夜中のワル行動だね!」と車を走らせる楽しさ。

2人そろって夜中のワルごっこにソワソワしている。
それがまるで子供みたいで、妙に面白くなってくる。

薬局に着くと日用食品コーナーへ向かい、お目当てのものを買う。
あっちふらふらコッチフラフラ行きそうな酔っぱらいを引っ張りながら車に戻りすぐに帰宅したなんて、
「余計なものを買い物する」といった夜中のワルごっこの醍醐味に欠けるが仕方がない。
だって自分のお財布開けたら、ものすごく現実的な乏しい金額しか入れてなかったから!(白目)

そんなわけで早々に帰宅しすぐにお湯を沸かす。
焼きそばが食べたくてウズウズしているけれど酔っぱらいに任せられないので代わりに作ろうとすると、それだけで「何でそんなに優しいの??どうしてそんなに優しくしてくれるの??」としきりに聞くのだから本当に可愛い酔っ払いで助かる。

ちなみにカップ焼きそばのかやくを入れる時、麺の上にそのまま入れるか、麵の下に無理やり入れるかに分かれませんか?
私はそりゃあ麺の下派です。だってお湯を捨てる時にふやけたキャベツが全部お湯切りの蓋の裏につくのが嫌だから。これ分かってくれる人絶対いるはず。

なので今回もそんな風にしたら、彼が「あーーー!!!!」と、突然私の手元を指さし始めたから驚いてしまった。
そして……

「俺もーー!!!俺も麺の下派!!!!蓋につくの嫌だから!!!
一緒~~~!!超嬉しい~~~!!!💕💕」

もうさ!!ほんとどこまで私達似てるんだろうね!!??
さすがの私も涙が出るほど笑いました。

カップ焼きそばのかやくを麺の上か下かに入れるか問題なんて他人からしたら本当にどうでもいいし、
なんなら麺の下とか細かくて面倒なやつみたいなイメージなのも自覚してますけど、
でもそういうのが「同じ」ってことに、妙な嬉しさを感じる私も相当に恋人バカですね。

そして塩焼きそばを完成させ彼の前に出してから、夜中のワル行動の仕上げをかますかのごとくトドメを刺す。

「これにさぁ、ブラックペッパーをガリガリ挽いたら、確実に美味しいと思うんだよね😊……どうする?😊」

「ばか!!!そんなの絶対に美味しいに決まってんじゃん!やっちゃうに決まってんじゃん!!!この甘やかし上手!!!」

すぐさまブラックペッパーをガリガリ挽きまくり、麺を混ぜる手さばきの速さに私の方が爆笑しすぎてくずおれかけました。

夜中にどうでもよい見た目で、体に悪いジャンクフードを買いに行ったり、カップ麺にかやくを入れる場所を熱く語ったり、あえて体によろしくなさそうなトッピングを満喫してしまったり、
この先何年経っても、こういう夜が笑い話になっていたらいいな。

たまには、夜中のワルごっこもいいもんですね。