就活の帰り道に食べたものたち
ー 脳内でひとり反省会をしたりしなかったり ー
コロナ禍の就活生だった私は結局5回くらいしかスーツを着て外に出かけなかった。
(自分の部屋でパソコンを前にしてスーツを着ていたことならその倍はあるけれど。)
だから履き慣れないヒールを履いてどこか遠くに出かけるとなると、何だかわくわくした。
「せっかく来たんだからついでにその土地のおいしいものを食べておかないともったいない」という気もしていた。
面接前日は緊張しながらも、終わった後に何を食べるかということを考えていた。
・・・
最初に行ったのは永田町にある「ホーカスポーカス」というドーナツ屋さんだった。
お店の周りには政治家を乗せるかもしれない黒塗りの車がたくさん停まっていた。
ボディを磨いている運転手さんもいた。
私はお店に入り、ドーナツを注文して席に座った。
その瞬間、ひとりフィードバック大会が始まる。
ドーナツを食べながら。
おしぼりは木の香りがした。
注文していたオレンジ味の蒸しドーナツは、オレンジピールと上のしゃりしゃりがおいしくて、生地のカスタードっぽい優しい甘みもおいしかった。
この生地の部分、なんかどこかで食べたことある味だな〜〜と思っていたら、仙台銘菓「萩の月」だった。
以前どこかで食べた味の記憶を思い出せる力は私の特殊能力でもある。
「なんであの時あんな返答しちゃったんだよーー」とか考えながら食べるドーナツは、ほんのちょっとだけほろ苦かった。
(私が悪いんです。)
・・・
そのあとも何度かいろんなところに面接をしに行っては帰りにごはんを食べた。
最近のnoteの記事に出てくるグルメのほとんどは就活帰りグルメだ。
一度面接会場の近くにスシローがあることを知った時は、「一人で行っちゃおうかな!」と思って前日からメニューを調べたりしていたが、めちゃくちゃ疲れ果ててしまい断念した。
そして最後に食べたのは、八王子にある「奥芝商店」のスープカレーだった。
お店の名前に「城」と入っているだけあってそこはちょっとしたお城みたいだった。
まず入り口で履物を脱ぐ仕組みになっている。
履き慣れないヒールで足がクタクタになっていた就活生には優しすぎた。
スリッパが異様に気持ちいい。
トイレも何だか不思議だった。
ドアがふすまになっていた。
しかも鍵はあの小学校のうさぎ小屋についているようなやつ。
中には石が敷かれていたりして、お化け屋敷みたいなトイレだった。
(城ではないな。)
私の注文していた「八角と胡麻香るコクうま豚角煮カレー」が到着した。
えびせんは近くで見ても何なのかわからなかった。
ライスにレモンが乗っていてテンション上がった。
搾ったらレモンの香りが漂った。
この日は疲れて何も考えたくない気分だったから何も考えずに無心で食べた。
(そのため恐ろしく記憶がない。)
でも帰り道は束の間の幸せを手に入れられたことに何だか嬉しくなって、無心でヘイ!ってつぶやいていた。
(アキラ100%か?)
・・・
就活中は気分も沈むし、それならいっそ沈みっぱなしの方が楽だなと思ったりもしたけど、ほんのちょっと気持ちに余裕が生まれたらそのタイミングですかさず楽しいことをするようにしていた。
疲れ果てて直帰することも多かったけど。
「就活はなんだかんだいい経験だった」なんて偉そうにいうつもりはないし、なんなら就活のことは今までもこれからも嫌いでい続けると思う。
それくらい、就活は腹立たしさやアンフェア感の連続だったりする。
でも、だからこそ、これから就活をする方のことは応援してます。
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