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【女性の就活・キャリア】いつか鎧を着たオスカルではなくありのままのエルサが活躍できる社会になるように🏰🇫🇷❄※2014年冬の日記


ベルサイユのばらを知っていますか?

池田理代子さんによる少女漫画で、革命前から革命初期のフランスを描いた作品。作品の中でフランス王妃マリーアントワネットの近衛連隊長を務める男装の麗人オスカルというキャラクターがいる。

https://dokusho-ojikan.jp/topic/detail/10714

中学でベルばらに心酔し、オスカルになりたいと思った時期があった。高校では武道と勉学に励んだ。武道や勉強の中では男女に差はなかった。同じぶつかり稽古をして、同じマラソンや強化合宿をこなして、いつだって男子に負けたくなかった。

大学に入っても、女性になりきれないまま、大人になっていった。おしゃれな洋服は好きだったので、人並みに可愛らしい格好や髪型はしていたが、それは見かけの話。中身はずっとオスカルだった。女の子扱いされるのは嫌だった。

そんな自分のまま、就職活動を始めた。
しかし何とまあ「女子学生の就活」「女性の働きやすい会社」「女性社員のキャリア」「女性が生き生き働ける環境」·····と、女性を意識させるワードの多いことか。
人生の大きな選択肢として、転勤のある会社に勤めるかどうか。私も迷っていたので、1度は銀行や商社の「地域限定職」の説明会にもいってみた。

そこには一糸乱れぬリクルートスーツに黒髪姿の数百人の女性が肩を並べて説明を受け頷いていた。
初めて見る光景に、卒倒しそうになった。
「ここは女子校か?バレリーナのクラスか?」
いや、私は銀行の地域限定職の説明を受けに来たはずだ。そんな就活の世界に悲しくなった。

男女で職種が分かれる会社で働きたくないと思った。それが1つの軸となり、なるべく「一般職」なるものの採用数が少ない会社、そして転勤があっても総合職の仕事を探した。たとえ大企業で転勤もなく給料が良くても、実質女性だけが採用される仕事で働くのは自分を見失う気がして絶対に嫌だった。

そして総合職で企業の面接を受けた。
必ず聞かれるのは、「家庭との両立は?」「転勤になったら家族はどうする?」。
そんな質問は男性にもしているのだろうか?
女性というだけで採用のハードルがあがる。
本当に腹が立った。

採用試験で、女性が男性より不利なのは、女性には結婚出産してやめてしまうリスクがあるからだと聞いた。(全部の企業で本当に不利かはわからないけど当時の傾向として)

それ自体、男性を基準にした考え方だと思う。女性が結婚出産した時に、退職を考えるような社会を作ったのは誰か。

出産がキャリアの邪魔にならないような環境を作れば、出産で迷惑をかけるリスクよりも、価値観の多様化や、単純に、優秀な人を探す母体を2倍にできるメリットの方が上回るはずだ。
理屈で考えれば分かることが掻き消されてしまうのは、長年積み重ねてきた暗黙の文化やバイアスの影響だろう。

現状に不満をおぼえるなら、自分がかえなきゃ。本気で何とかしたいと思った。
男女問わず、本気で競争し活躍できるように。

そのような目論見のもと、就活生の私は、完璧にオスカルを演じていた。実は彼氏もいて、女性としての人生も悩んでいた頃だったが、本当のことを言っても理解してもらえない。潔く全部鎧で身を包み、オスカルとして面接に望んだ。

面接官「転勤あるけど大丈夫?家族はもちたい?」
自分「はい!海外含め色々な場所で幅広い経験を積みたいと思っています。転勤にネガティブな思いはありません。家族のことは今はまだ考えられません。他にもっとやりたいことが沢山あるので!」

面接官「男性が多い職場だし、体力勝負だけど大丈夫?色眼鏡で見られることもあるかもしれない。」
自分「問題ないです!これまで部活やサークルでも男女関係なく、練習に励み、目標に向かって頑張り、結果を出してきました。たまたまですが男性の方が多い環境にも慣れています。体力にも自信があります。」

こうして志望していたメーカーの総合職の席を得た。入社してからも周りの目は「女性性」に対して厳しい。ひらひらのスカートを履いたら説教されるほどに。結局、オスカルでいないと、仲間にも入れてもらえない。

しかし、就活当時から本気でこう思っている。嘘をついてでも会社に潜り込み、偏見にも激務に負けず、家族を持っても辞めずに、実績を残して周囲の信頼を得て、管理職や役員になることができれば、労働環境、社風、そして社会をも変える力ができて、未来の女性の働き方を変えることに貢献できると。

今まで勉強でもスポーツでも全部全力で戦ってきたから、社会に出た途端、半端者扱いされることに耐えられなかった。
結局、ビジネスの世界では、未だに一部の男性に、「男だけの方が楽」という礼賛意識が残っているのだろう。

入社6年目、まだまだ道半ばだが、たった5年の間にも少しは改善できたと思う。自分自身も死にものぐるいで頑張ったし、社会的にも働き方改革など全ての人が働きやすい方向に向かっている。

この思いは絶対に忘れたくない。
いつか、女性が男社会のオスカルを演じなくても、エルサのように、ありのままで力を発揮できる日がくるように。

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