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選手の時に読みたかった!ワインバーグ博士の「テニスのメンタルトレーニング」

「選手の時にこの本読んでおけば、もっと強くなれたはず!!!」と読み終わった後、後悔の嵐が吹き荒れました。この本には選手のときに悩んでいたことの、解決策が書かれている!!!

 ロバート・ワインバーグ博士の著書「テニスのメンタルトレーニング(The Mental Advantage: Developing Your Psychological Skills in Tennis )」。33年前に出版されているんです。そして、テニスはもちろん、他の個人競技、チームスポーツにも通じる心理強化の基本中の基本がまとめられているんです。

 ワインバーグ博士は、テニス選手→テニス指導者→スポーツ心理学者となり、これまでに論文200本以上、全米テニス協会顧問、北米スポーツ心理学者のトップ10にも選出された国際的に超超超有名なスポーツ心理学の研究者です。

 1冊まるごと読んだ方が絶対良いのですが、今日は私がこの本から、いま現場で頑張っている選手や指導者のみなさんに伝えたいことを、厳選してまとめてみました!

心理面のトレーニングしてますか?

まずみなさんに質問です。

①テニスにおいて、パフォーマンス(成功・失敗)には、身体的能力と心理的能力はどれくらいの割合で関わると思いますか?

②実際1週間の内、身体面の練習・トレーニングと心理面のトレーニングに割いている時間はどれくらいですか?

この質問は、ワインバーグ博士が様々な選手やコーチ何百人に質問してきた内容です。回答の傾向としては①の質問には、「心理的能力」の方が重要度の割合が高いと答えた人が80~90%。しかし、②では身体面の練習は10時間~20時間、心理面のトレーニングは全くしないか2~3分と答えた人が圧倒的に多いそうです。

これって「現在」でも同じような結果がでるのではないかと思います。「心理面は勝敗を決定づける要因になりうるにも関わらず、心理面のトレーニングはほとんどされていない。」という事実にワインバーグ博士は警鐘を鳴らしていました。

いや~~~これは耳が痛かった(選手としても指導者としても)。でも、、、大事だと思っているのに、なぜ心理面のトレーニングしないのか。ワインバーグ博士は要因が二つあると言っています。

 ①心理的能力は先天的なものと考えられている
 ②心理面のトレーニングの仕方を知らない

そうそうそう。その通り!!
ワインバーグ博士は「心理的能力は学習可能な技術」であること、その技術の習得には、身体面と同様、日々のトレーニングの積み重ねが必要であることを強調しています。そして、コーチや選手が心理面のスキルアップする方法や考え方を学ぶ機会が少ないことも問題に挙げていました。だからこの本で心理面の重要性の理解と、トレーニング方法をまとめて明示してくれたんですね。


ベストなパフォーマンスを発揮するための「心理状態」と必要な「心理的スキル」


 まずどんな心理面のトレーニングをするべきなのか?これを考えるには、どこを目指すべきかがわからないと、スタートできませんね。自分の実力を十分に発揮できる理想の心理状態は、この8つ↓↓↓の要素が揃うことだと言われています。

 ①自信がある
 ②集中力が高い
 ③身体的なリラックス
 ④無理のない自然な努力
 ⑤心配がなく、落ち着いている
 ⑥自動的
 ⑦コントロール(自制心)できる
 ⑧楽しさ(意欲)

で、

これらの心理状態を引き起こしたり、維持したりする方法やスキルを学習すればするほど、自分の力を発揮することが可能になる。

んです。

じゃあ、①~⑧の心理状態を引き起こすために鍛えるべき心理的スキルとは?この6個↓↓↓です。

 ①不安の克服スキル 
 ②集中力向上のためのスキル
 ③セルフトークの改善スキル
 ④イメージ想起スキル
 ⑤自信をつけるスキル
 ⑥目標設定スキル

  これらの心理的スキルを学習するには多大な努力が必要とされていますが、トレーニングして向上させられる「スキル」なんです。そして、この本にはそれぞれのスキルを高める方法が詳しく書かれているのです。ありがたすぎる。

 その中で私が特に気になった、「②集中力向上のためのスキル」と「③セルフトーク改善スキル」について概要を少し説明します。


集中力を高めるスキルを身につけるトレーニング


 集中力を高めたいなら、「注意をコントロールすること」を学習する必要があります。方法はいくつかあります特に練習時からコート上ではこんなトレーニングをすることが効果的だといわれています。

①視線のコントロール
ポイント間に、自分が余計なことを考えないように視線をコントロールする(例:ミスした後、ガットを見る)

②ボールの縫い目を見る 
 単純にボールを見ると考えるより、縫い目を見るとしたほうが良く見えるし、余計なことを考えなくなり、注視できるようになる。

③1ポイントずつプレーする(未来や過去のことを考えずに)
トッププレーヤーが「自分の最高のプレーについて」語る時にあげる特徴。

④悪条件で練習する
試合で起こりうる悪条件を事前に体験していくことで、対処できるようになる。(例:わざと後ろを歩く、わざと大きな音を出す)

⑤キューワードをつくる
特定の反応を引き出すきっかけとなるような簡単な言葉を作る(例:「手首を固定する」「一回落ち着け」)。特定の反応に注意を向けるきっかけを作る効果がある。

⑥良い悪いの判断をせずに、情報として役立てる
良し悪しの判断をする思考や自分のショットに対する感情は、プレーに悪影響を及ぼす。起こったことは観察して、次に役立てる情報にする。

<例>
×ダブルフォルトを3回した→なんでこんなに入らないんだ。こんなんじゃ勝てない。
〇ダブルフォルトを3回した→トスが低い→次はトスを高く上げよう

⑦ショットの決心を途中で変えずに打つ
打つ直前に、ショットの打ち方・狙いを変えるとミスに繋がる。決断を変えない。


 これがトレーニングなの?って思う方もいるかもしれませんが、これは毎日意識して練習していないと身につかないです。トレーニング必要です。私も選手の頃を振り返ると、普段の練習では、競技の技術的な部分を意識してボールを打っていましたが、ここに挙げた⑦つを意識して練習は全くしていませんでした。

 心理的スキルのトレーニングをしていないから、大事な場面で、周りを気にしてしまったり、先の結果に不安に思ってしまったり、考えすぎたりして、いいプレーができなかったのか、、、と猛烈な悔しさが(-"-)

 悔しさがあるから、「いま頑張っているみなさんには知ってもらいたい!!」って本気で思うんです!!!

 熱くなってきたところで、「③セルフトーク改善スキル」についても勢いで書こうかと思っていましたが、セルフトークのスキルはめちゃめちゃ大事なのに、選手の時私はその言葉さえ知らなかった。。。ので、丁寧にお伝えしたいので次の投稿に回します!


<参考>
・ロバート・S. ワインバーグ(1992)テニスのメンタルトレーニング
・Robert S. Weinberg(1987)The Mental Advantage: Developing Your Psychological Skills in Tennis

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