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23. 友達の無断外泊に協力したら笑うセールスマンが家に来て、危うく養子に出されそうになった話

サブタイトル
妹に『皆んなそれぞれ勝手に生きていくから、他人のことは気にしなくていいよ。』と言われるに至った話④

M子の無断外泊がばれて、我が家は早朝5時から家族会議が始まった。
私は自分が外泊していたわけでもないし、M子が勝手に予定変更したので、正直私が責められるのはおかしいと思って何を言われても不貞腐れていた。
父親がM子に一通り怒った後、M子の親に連絡して迎えに来てもらう事になった。
親の迎えを待っている間に、私たちの今後の人生を大きく左右する人物が現れたのだ。

早朝5時の呼び出しにもかかわらず朝から元気にやって来た怪しいオッサン。
顔も目もぎらついて、ニコニコと言うか、ニヤニヤしながら我が家に入ってきた。
お前誰だし。私は思った。
その人は、
【地元〇〇をもっと良くする会 
会長 上田 〇〇】
と書いた名刺を私に渡してきた。
怪しい!怪しいにもほどがある!!
まずなんだよ、地元をもっと良くする会って。

見た目は笑うセールスマンの実写版。
怪しさと胡散臭さでプンプンしていて、私は親がこの実写版を何故自宅に呼び寄せたのか
全く理解が出来なかなかった。
〇〇をもっと良くする会会長の上田は、不貞腐れている私に、
『無断外泊はよくないよねぇ。』と話しかけてきた。
いやいや、よくないのは100歩譲ってそうだけどさ、あんた何なの?
呼ばれたからって朝5時に知らん人んち来て、初対面の娘にどの面下げて説教してんだっつーの。
お前のほうがよっぽど非常識だろ。
普通来ないでしょ。
事情も知らずに!
急にどのポジションだよ!

私はあふれ出る馬事雑言を一通り心の中で浴びつけて、上田の話を冷静に聞いていた。
その様子に満足したのか、30分くらい滞在し演説して、では、と上田は帰っていった。
父親はありがたいお言葉でも頂いたかのように、お礼を何度も述べ、丁重に笑うセールスマンを見送ったのだった。

そのあとM子の母親が車で迎えに来て、うちの両親に平謝りしM子も叱られに帰っていった。
部外者がいなくなり、私と両親の3人が残された。
まだまだ怒りが収まらない父は、私に思いもよらない事を言ってのけた。

『お前は養子に行かすからな。今から誓約書を書け!』

はい?
なんで、どういう話の流れでそんな事になんの?意味わかんないんだけど。

朝5時に叩き起こされ、散々怒鳴られた上に上田の登場で眠気と疲れのピークを迎えた私の脳みそは思考停止した。

まさか翌朝8時に養子に出す宣言をされるなんて、昨日M子が泊まりに来た時点では全く予想していなかった。
M子の野郎。。。

私はM子への怒りを感じた。
確かに協力はしたけど、どちらかと言うと私も被害者だ。
本当、勘弁してくれ。

そして父親はコピー用紙を持ってくると、父親が言った内容を紙に書くように私に指示した。

『私〇〇〇〇は、里親制度に則り、養子縁組を組むことを了承しました。』

私、、、
〇〇〇〇は、、、、

私は言われた内容を書いているうちに、悔しくて悲しくて涙が止まらなくなってしまった。
こんなことで、簡単に里親に出すと言ってくる両親に対する失望と、今回は本気なんだなと
じわじわと実感し、悲しかった。
そんなに私はどうでもいい、ちっぽけな存在なのか。。。
まるで現実に起きている事と思えず、悪い夢でも見てるかの様な気分になった。

以前にも、親とケンカになった時に、出ていけ!養子に出す!と言われたことは何度かあった。中1の時は2週間家出させられたり、離れで寝ろ、と追い出されたりしたこともあった。でも、今回は今までと本気度が違う感じがして怖くて怖くてたまらなくなった。私は無力感に呆然とし、いつの間にか涙も止まってしまって、ただ一点をぼーっと見つめて座っていたのだった。

つづく

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