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C16 道すがらナゾのキノコを獲る

ドラッグストアでは少し馴染み客になり、住んでいる家のちょっと個性のある煮炊き用のコンロのクセもわかってきました。農場への近道も発見しました。大きなリンゴの木の林を突っ切り、ブラックチェリーの見事な大木がズラリと並ぶ林を通ると、あっという間にドラッグストアの前に出ます。そこから家までは5分もかかりません。しかも思いもよらぬ収穫もありました。リンゴの林を抜けるときにふと木の根元を見ると何かしら白いものが見えました。何だろうと近づいてみると、それは白いキノコ、なんと自生のマッシュルームだったのです。

それまでマッシュルームと言えば缶詰か小さなパック詰めのものしか知りませんでしたが、これが自然に生えているのを見つけたのです。キノコは毒を持つものもありますが、その姿格好がまさしくマッシュルームそのままでした。私は手ごろな大きさのものを4、5個採ってカバンに入れました。ふと上を見上げると、小ぶりのリンゴも赤くなっているではありませんか。しばらく考えた後、これだけ沢山あるんだから味見ということで2、3個採ってもバチはあたらないだろうと判断して失敬しました。後日、農場の農夫の人たちも適当に採って帰っていたので、まあ職員特典ということなのでしょう。

さて、マッシュルームの話に戻ります。どのように料理しようかと我が家までの道すがら考えました。やっぱり焼くのが無難かなと決めかねて、なんとなく日本から持ってきたポケットタイプの日英辞書で調べてみると、マッシュルームは「西洋マツタケ」と翻訳されていました。では自炊用に買ってきたお米でマッシュルームご飯に決定です。早速、準備しました。まずお米を研ぎます。日本のお米とは違って長粒種、いわゆるロングライスなので、少し水加減は多めにします。そこにドラッグストアで買ったしょう油で塩加減を調整しました。なんとイギリスの田舎でもしょう油が売ってあるのを見たときは感動しました。しかも日本製です。日本のセールスマンは世界中で日本製品を売り込んでいてすごいなぁと感謝して、手を合わせて買いました。

貴重なしょう油なので必要最小限の量を加え、足りない分はイギリスの塩で調整しました。日英同盟です。そこに2、3mmの厚さにスライスしたマッシュルームを入れました。本当にマッシュルームだろうかという不安は若干ありましたが、今まで培ってきた野生の勘を信じることにしました。蓋をロックして準備完了です。


補足情報:リンゴ農園に自生するマッシュルームについて

リンゴ農園に自生するマッシュルームは、一般的に Agaricus bisporus という種類のキノコです。このマッシュルームは、温帯地域の農地や牧草地でよく見られ、特に有機物が豊富な土壌で育ちます。リンゴ農園のような場所では、落ち葉やリンゴの残骸が分解されて肥沃な土壌を作り出し、マッシュルームにとって理想的な環境が整っています。

自生するマッシュルームは、新鮮で香りが良く、一般的な市販品よりも風味が豊かです。ただし、キノコの識別には注意が必要です。食用のマッシュルームと有毒なキノコは見た目が似ている場合があるため、十分な知識がない場合は専門家に確認することが重要です。リンゴ農園で自生するマッシュルームを安全に楽しむためには、地元の農夫やキノコの専門家に教えを乞うと良いでしょう。

また、マッシュルームを採取する際には、環境への影響を考慮して適切に行うことが大切です。過剰な採取は生態系に悪影響を及ぼす可能性があるため、必要な分だけを採取し、自然のサイクルを尊重することが求められます。

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