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狭霧 織花
2024年7月21日 15:31
真っ白なノートを見つめてどれくらいの時間がたっただろうか。いくら見つめても、そう、穴が開くほど見つめても、ノートに何か浮かぶことはない。 長期休暇でいちばん嫌いな宿題が、最後の難関となって立ちふさがっている。 誰だよ、こんな課題考えたの。 ふてくされて唇をとがらせても、誰も答えてはくれない。もちろん課題が終わるはずもない。 仲の良い同級生は、もう手をつけていたり、なんならすでに終わってい
2024年7月18日 12:12
むしがでた、と騒いでいるルームメイトがあまりにうるさくて、騒ぐ背中を蹴り飛ばしたら枕が飛んできた。 そのまま軽い乱闘になったところを寮長に止められて、三日間のおかず一品減らしますの罰を受けることになった。 育ち盛りの健康男子におかずが一品減るのはたいへんなことだ。考えるだけでもお腹は空くし、事実としてすぐにおかずは取り上げられてしまったため、もの悲しい気持ちで授業を受けている。おかずの代わり
2024年7月7日 13:28
黒い森、とその場所は呼ばれていた。暗く、緑の繁る木々は、うっそうとしており日の光が届かないあまりに葉の色は暗く、黒いものが多くなり、同時に森そのものも同様となっていった。 昼日中においても夜のように暗いので、人々は森に入ることはなく、そのまま黒い森と呼ばれて恐れられるようになった。 そうするうち、誰かが言い出したのだ。「黒い森には魔女がいる。足を踏み入れれば獣をけしかけてくる、恐ろしい魔女