見出し画像

商人と職人のこれからの関係と再生

各地で出会った地場産業と連携してきて感じたことは「商人の弱体化」です。

これまでの商品づくりは各産地で分業型の中で職人たちをまとめ、商品を開発、流通、そして新たな仕事を確保してきた「問屋」と呼ばれる商人の存在でした。

画像1

ただ、ほとんどの問屋は陶器なら食器業界、木工なら家具業界と、専業商流に特化してきました。そしてその業界が熱く熟してくると問屋間で競争が生まれます。そうすると問屋たちは企画で勝負する方向ではなく、元請けからの価格を下げる意向に対応できず職人の工賃を減らす方向で対応してきてしまったと聞きました。

1社が値を下げる、他も下げる、しまいには国内業者が生産拠点そのものを国外へ変えてしまった。地元から商売をまとめていた会社がいなくなり、商人も減ってきた、その繰り返しでどんどん国内の生産者が弱っていった。組合は価格調整のカルテル機能しなかったのだろうか。

ちと脱線しますが、未だに思うのですが何故各地にあるそういった各業種の組合で価格を守るような流れは組めなかったのか。業界が苦しむ前に手を打つべきことは組合のそもそも機能すべき要件だったのではないのか。霞が関に陳情に行くまえにやれることがあったはずだと思います。それが今じゃ展示会に出るための互助集団化しているようにさえ見える。そんな組合の状況見て若い職人たちが入ろうと思うわけがない。

そんな流れで国内の生産業はどんどん弱体化し1200億円もあった国内の陶磁器産業の売り上げは今じゃ300億円ちょっと。下請けと言われる職人や生産者は今度は自分たちで販売流通まで手がけねばならない事態になりました。

職人要素で構成されてきた工房は、製造だけではなく、商人の要素も持たねばならなくなり、個人規模の工房や工場では新しいものを作れと言われつつ、営業も販売も頑張らないといけない状況に突入してきています。これ良いのか?

問屋がものづくりに必要な工場や職人を座組みして商いにしてきたのですが、今は各地でその機能が難しくなってきているように感じます。改めて今の世に合った新しい問屋や商人の形=次世代の問屋のスタイルを構築していく時が来ているのではないかなと思うのです。

問屋と呼ばれた職業は本来は今で言うところのプロデューサーとしての役割を担ってきたはずが、今では商品を右から左へ動かすだけの存在を揶揄するような職種にになってきているようにすら感じます。

もっと商人と職人が寄り添えるような、これまでのモノづくりにあった、強くタッグを組んでいた時代のように地域のヒトやコトやモノにきちんと向き合って持続させていく存在へと変わることはできないのでしょうか?

今の商人サイドから生まれないならクリエイティブ産業の僕らからもっと今の時代に求められる新しい問屋像を描いていくべきではないのかと言う想いを持って本業のデザイン仕事をしつつ自社商品をキッカケに僕らは地道に動いてきました。

これまでの道のりは(今もですが)紆余曲折しまくりで皆さんには恥ずかしい経営手腕ですが、僕らのようなクリエイティブ業界の仕事は製造、販売してこられた業界からの仕事で成り立ってきたと感じてます。

大手メーカーやサービス産業からロゴやカタログやパッケージ等請け負ってきた私達の業界は大手の商品が売れなくなれば仕事が減少しますし、大手の1メーカーが海外メーカーにM&A,されてしまいますともはやその会社からの仕事自体もなくなってしまいます。これから製造者が更に減少することで、クリエイティブ側でも厳しい状況が比例して加速するかもしれません。

僕が以前勤務していた会社もリーマンショック後にテレビが売れなくなる自体になり某家電メーカーブランドの広告のデザイン制作で売上の1/3をになっていた状況はエコポイントを境にピタッと発注が止まりました。50名の社員たちはリストラされることに。。。。

次の需要が減れば製造業もクリエイティブ産業も合わせて、地域に限らず産業は衰退の一途をたどってしまいます。それだけ製造業のこれからのあり方は我々の業界にも大きく強く影響していくかと思われます。

そうなると日本のこの先の経済課題は製造業だけの問題ではなくなってしまいます。売ることの関係性も大切になってきていると感じます。

「作りました」「売ります」という既存の流通だけではなく、職人(作り手)と商人(売り手)との関係再生も進めていかないと、今後は今以上に厳しくなるのではないかと懸念されます。

その点でクリエイティブ産業に従事する自分たちからも、こういった課題へ何かできないのだろうか、どうすればもっと良くなる兆しが見えるのか、各地の生産者と会うたびにその気持ちは強くなってきました。

中小企業が多い日本で製造業とクリエイティブ産業が「商いのバトン」を渡しあえる、持続可能な製造業とデザインのきちんとした関係を考え、焦りつつも更なる行動をしていかねばならないと感じています。

地域の中で職人や生産者と新たな商売を座組もできる新しい問屋が必要だと思います。仕組みを変えていく存在を商人側からも変えていけないか。

新しい問屋=ニュー問屋

新たな問屋のビジネスモデルを日本各地で作っていくことできるような気がします。ただ、この状況下でそれぞれお互いの関係を見直すして伸ばすには時間はかかりそうですが地域に埋もれている優良な企業や商売はまだまだあります。

地域で商売で機能していないところもまだまだたくさんあります。その土地以外から購入されている物品や素材や技術はまだまだあります。

新たなスモールビジネスへの展開や、それに伴った技術の向上、お互いを伸ばしあえる次の開拓への執着をしていかなければ先は明るくない。

地域のヒトやコトやモノにきちんと向き合って持続させていく存在。どうやって産んでいけばよいのか。ヒトの面についてもこれまでもデザイナーを育成する機関は沢山あり、職人の育成する専門校もある。

が、デザインや工芸や工場の技術を世の中に流通させることを教える学校無い。近い存在もこれまで聞いたことがない。設計者が世に沢山増えてきても、そういう要素を持ち、世の中へ活かす人材が現場に沢山育ってきていないことも大きな課題であると思います。

形や見え方がが美しくても流通していかなければ製造から流通へきちんと循環し、持続していかなない。ニュー問屋に近い存在としては今はプロデューサーと言われる人材も都市部を始めとして増えつつあります。

ところがその殆どが個人事業者であるケースが多い。せめて中規模の人数でないと商流に対してプレゼンテーションはできても物流なども事務的なことを大きくは機能していないのも現実だと思います。デザイナーだけの事務所だと厳しい。

そして国のプロジェクトなど比較的大きめな事業に関しての与信あるレベルのプロデュース会社はまだまだ少ない。なので産地の仕事には予算的にほとんど従事することが無い広告代理店や東京の企画会社がここぞとばかりに入札してくる。で予算が無くなると同時にその土地から離れる。ソツは無いが愛は無い仕事。

大きな会社の産地プロデュース全てがそうだとは言わないけれど、僕が見ている限りそういう流れに感じ地ことに出会う事が多い。でも僕らのような企業規模ではクールジャパンはあの規模の会社しか随意契約されることは無い。

そして新しい商流を作る問屋やプロデューサーを必要とされているはずなのに日本各地の依頼主側にはこういう関節的なアプローチをするデザインやクリエイティブ事業者への仕事への費用観念、仕事への認識が少ないのか地方へ行くほどに関節事業者の労働に対する仕事への意識や費用への意識は低い。

ニュー問屋(地域商社)がきちんと機能していくにはまだまだ時間がかかるなと。

僕らの事業体ももっと信頼される仕組みと組織編成をしていかないと支えて伴奏していくことは難しい。編成するためには費用もいるし顧客も必要になる。どちらが先かわかりませんが商人と職人の関係再生はまだまだこれから。共有すべき情報はTVで丸裸になったので皆さんどうぞ取り組みの参考にしてくださいませ。

そして商人と職人の関係を変えていくための地域を強くする仕組みを金融機関の人材を連携できる方法がないのか考えまくって色々動いてますがなかなか壁は高いです。金融界は僕に言わせると伝統工芸の一種のようです。

でもこの壁に穴を開けて見ようとあちこちからつついてます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?