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大人へ絵本memo ~想い出って作るんじゃなくて出来るものよね~

何かの始まりに
「想い出を作りましょう」って
言う人が増えた気がする。

その言葉に
寂しさを感じるのは
私だけでしょうか。


・・・  ・・・  ・・・・
今までの人生
嫌なことは何にもなかった。

嘘でしょ。

嘘です。

けど
通ってきた道は全て
経験したのが幸せ

薄っぺらでもちっぽけでも
「今となっては想い出ね」って
スマシテ言える。

だけれども
子どもたちには
「想い出作って」って
言いたくないかな。

大人は
大人になる道を知っているから
つい言いたくなるのかもしれないけれども

想い出を意識した時点で

取り繕った自分しか

残せない気がするんだよ。

『ああ・たいくつだ!』
ピーター・スピア(作)松川 真弓(訳)
1989年 評論社

ふたりは
「ああ、たいくつだ!」と言いながら すごい物を作り始めるよ。
それは退屈から生まれたんだよ。間違いなく。


・・・  ・・・  ・・
中学生。
行事に参加するよりも
暇だといいながら集って 人のいない土手で
夕日を浴びながら遊ぶのが好きだった。
何も無い場所に
ただラジカセを置いて歌っていた。
運河の水面を見つめるだけで
私の人格は出来上がっていく。

大袈裟な出来事が
今の自分を作っているのでは
決してないと
今ならわかる。

その頃に
「これも想い出になるんだよ」
「もっと良い想い出を作ろう」
なんて大人に言われていたら、、、
嫌だっただろうな。

それはまさにこんなこと

時は無限の繋がりで
終わりを思いもしないね

想い出がいっぱい

そう。終わりを思っていないの。
だから終わりが来たときにビックリして泣いちゃうんだよ。

永遠に続くと思っているんだから

終わりがあるってことを
そんなに熱心に伝えないで

手に届く宇宙は限りなく澄んで
君を包んでいた

想い出がいっぱい

この感触を味わいたいんだから。


後悔や涙を包み込んで
煌めいているのが想い出だとしたら
唯一その言葉を発するのは
後ろを振り返った時にしたい


大人が想い出を振り返るときに
記憶の断片をなぞる絵本

『なつのいちにち』
はた こうしろう(作)
2004年 偕成社

あの頃の匂いや感覚は
ふっと蘇れば良い。
覚えていようとがんばらなくても
きっと忘れない景色。


『ぼくらのむしとり』
柴田 愛子(作)伊藤 秀男(画)
2005年 ポプラ社

虫を観察した経験は
命と向き合った証。
今では後悔することも
きっと子どもの頃はある。


未熟で幼稚だったけれど
今まで生きてきた自分の姿は
思い返せば愛しい。


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