#アメリカ
『アトランティスのこころ』 スティーヴン・キング
1960年から現代までのアメリカを、いくつかの人生に乗せて描いた長編大作。読書の高揚感をかき立てる、上下巻組の大型本だ。
物語の幕開けは1960年、コネティカット州郊外の住宅地。11歳の少年ボビーは、母親と二人でつましく暮らしている。
ボビーには毎日つるんで遊ぶ気の合う友人がいて、恋人になりそうな女の子もいる。目下の関心事は、どうしても欲しい自転車を購入するために、お金を貯めること。
そしてもう
『ニッケル・ボーイズ』 コルソン・ホワイトヘッド
この小説はフィクションだが、実際の出来事がベースになっている。フロリダ州にかつてあったドジアー男子学校での凄惨な虐待と死の隠蔽である。
小説は、その少年院(作中では「ニッケル校」)での虐待を生き延びた一人の黒人男性の現在から始まり、過去の出来事が語られていく。
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アメリカ南部に暮らすエルウッドは、頭の良い生真面目な少年だった。
時代はまさに公民権運動が盛り上がりを見せていた60年代