見出し画像

近江 vs 海星 どこよりも詳しく見どころ解説

第104回 全国高校野球選手権大会
3回戦

近江(滋賀) vs 海星(長崎)

山田・宮原の好投手対決!
先制点を奪うのはどっちだ?

2回戦が始まる前、その発表は突然だった。

選手登録変更
近江 6 横田(内野手)  →  中村(内野手)
海星 15 吉田(投手) →  高野(投手)

理由は明らかにされていない。
新型コロナウィルスに関係する変更の可能性もあるし、別の理由かもしれない。
ただ事実としては「選手変更があった」という事だけだ。

両校ともに1名の選手変更があったが、現段階で「3回戦に戻ってくる」という情報は無い。よって2回戦同様のメンバーで3回戦を戦う事が予測される。

両校ともにもちろん痛手である。そしてあくまで「個人的な意見」としての認識だが、特に近江にとっては大打撃となる変更である。
センターラインを重視する近江にとってショート横田の広い守備範囲と1回戦で逆転のスリーベースを打った勝負強い打撃は大きな武器だ。

実情が不明なだけに何とも言いにくいが、両チームともに「複雑な思い」が交錯している可能性がある。最悪のケースにならない事を願うばかりだ。

ここまでの両チーム

近江は初戦で難敵の鳴門を8-2、2回戦では強打の鶴岡東を8-3で破り、3回戦に進出した。

何と言ってもエース山田陽翔の力投が光る。
2試合17イニングで5失点はしているものの、強力な鳴門・鶴岡東打線から奪三振25というのは驚異的と言えるだろう。しかもマークされ、研究される中での成績である。
一方、初戦の9回に左腕・星野がマウンドに上がり無失点に抑えたものの、1安打と1四球を許す結果でリリーフ陣にはやや不安が残る。

打線も2試合で23安打16得点と好調だ。
特に清谷、中瀬の2、3番は決して大振りせずコンパクトなスイングを徹底して安打を量産している。4番山田は変わらず引っ張りの傾向が見られ、力任せに外野に運んでいるがやはり力はある。ただチームの打線のキーマンである1番の津田に当たりが止まっている。近江としては津田が出塁すると一気に多彩な攻撃に繋げられる為、何としても津田の復調が待たれるところだ。

そして懸念点はショート横田の不在である。横田・津田の二遊間は近江ディフェンスの中心であり、山田の後という大切な打順を担ってきただけに離脱は痛い。2回戦では津田がショート、中瀬がセカンドにコンバートされていた。この先は1つのミスが致命傷になる戦いが待ち受けているだけに近江のベンチワークにも注目したい。

一方で海星は初戦で新潟・日本文理を11-0、2回戦で奈良・天理を4-2で破り3回戦に進出した。日本文理・田中、天理・南沢と好投手を攻略した打線は見事だった。

打線の中心は1番・川内と丸本、森、西村のクリーンナップだ。特に長崎大会で不調気味だった川内の復調が大きい。1、2回戦ともに初回に先制点をあげており、試合を優位に進めることが出来た点が勝因となったのではないかと感じる。好投手を相手に2試合連続の2桁安打の打線は強力だが、決して長打狙いのバッティングではなく繋がりが良いのが特徴で、打線に大きな隙は見当たらない。

海星は打線が強力だが、本来は守備からリズムを作るディフェンス型のチームと言えるだろう。その中でも中心は宮原、向井のWエースだ。初戦は宮原が完封、2回戦は8回途中まで向井が投げて宮原が試合を締めくくった。ともに完投能力がある好投手だが、タイプは少し違う。エースナンバーの宮原はどちらかというと球威で押すパワータイプ、向井は緩い変化球とノビのあるストレートで前後に揺さぶって打たせて取る投手だ。単純な順番で考えると、近江戦は背番号1の宮原が先発する可能性が高いと考える。
長崎大会5試合でエラー1つだった守備陣は甲子園でも安定感のある守備で投手を支えていると言えるだろう。

宮原・向井に次ぐ3番手投手として長崎大会で4イニングを投げた吉田投手の離脱は痛いところだが基本的には宮原・向井が主戦格のため、中2日で挑む3回戦では試合に大きく影響する変更とはならないと思われる。

この試合のポイント

おそらく先発するであろう、近江・山田投手の立ち上がりに注目したい。
甲子園での2試合で好投を見せてはいるが、立ち上がりに苦しむ傾向がみられる。海星は投手陣が強力なだけにここ2試合と同様に、初回に先制点を挙げて主導権を握りたい。近江としては序盤3イニングをゼロに抑えて相手ペースにならない展開に持ち込みたい。

山田は立ち上がりにどうしても甘い球が多くなることが多いため、コントロールには細心の注意を払う必要がある。
一方で海星としては狙い球をしっかり絞って、2回戦の鶴岡東打線のように山田投手がカウントを取りに来る甘い球を積極的に振ってプレッシャーを与えていきたいところだ。

具体的に言うと近江バッテリーは左打者には外角にツーシーム系のスプリット、右打者には外角のスライダーが多い配球となっている。この球を見極めることが出来たら、ストレートでカウントを稼ぎにくる傾向がみられるだけに、海星打線は出来る限りボール球に手を出さないようにしたい。

一方の近江打線はおそらく先発するであろう、海星・宮原に対して大振りにならずコンパクトなスイングを心掛けたい。特に宮原のインコースのストレートは非常に球威があるため、フライアウトになりやすいので注意したいところだ。宮原に気持ちよく投げさせないためにも、塁上からプレッシャーをかけて機動力を駆使したい。そのためには津田・清谷の1,2番の出塁がカギになりそうだ。

海星は主導権を握った試合は非常にうまく進めて勝利をおさめているが、昨秋の九州大会の有田工戦、そして長崎大会準々決勝の鹿町工戦のように先に先制点を許した試合では大苦戦している。

それだけに序盤の立ち上がりに注目したい一戦だ。

そして仮に2人の離脱者が「新型コロナ関係による離脱」であるとしたら、何としても感染が拡大せず両チームが甲子園で予定通り試合が出来ることを心から願うばかりである。

甲子園ラボ

この記事が参加している募集

スポーツ観戦記

高校野球を語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?