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鶴岡東 vs 近江 どこよりも詳しく見どころ解説

第104回 全国高校野球選手権大会
大会7日目 第3試合
鶴岡東(山形)vs 近江(滋賀)

重量打線の前に立ちはだかる大エース

初戦の勝ち上がり

鶴岡東は初戦・盈進(広島)と対戦。
初回から4点を奪って優位に試合を進め、ホームランも3本。結果的には12-7と壮絶な打撃戦を制した。何といっても2番・土屋の2本のホームランと4番・前田のホームランという長打力が際立ち、山形大会でチーム打率.411という強力打線の力を見せつけた。
一方で山形大会5試合で2失点という自慢の投手陣は、本来の投球ができず苦しい展開となった。右サイドスローのエース小林、リリーフで出た右腕・渡辺ともに盈進打線に捕まり、計13安打を浴びて7失点という結果。
点差こそ5点開いたが、ピンチであと1本出ていれば全く違う結果にもなっていたであろう内容だった。本来は非常に安定している両投手だけに、2回戦に向けてどう立て直すかがカギとなるだろう。

近江は鳴門(徳島)と対戦。
前評判の高いチーム同士の注目の一戦を制した。
この試合は序盤に2点を失ったものの鳴門の好投手冨田に球数を投げさせ、中盤に逆転して突き放すという近江の試合巧者ぶりが発揮された。終わってみれば好投手・冨田に14安打を浴びせた打線の好調さが目立った。
津田・山田が目立つ存在ではあるが、小柄な2番・清谷のコンパクトなつなぎのバッティングが印象的だった。
エース山田は立ち上がりに失点したものの、8回を投げ被安打4、13三振を奪う力投を見せた。ストレートには球威があり、前半ほとんど投げなかったツーシーム気味のスプリットを中盤以降使い始めてからは、鳴門の強力打線に付け入るスキを与えなかった。難敵を相手にして会心の試合運びだったと言えるだろう。

1回戦を快勝した両チーム、ただし両チームとも守備面で課題が残った。
鶴岡東はエラー2つ、ともに送球エラーだ。送球エラーと捕球エラーは意味合いが変わってくる。悪送球は相手にプラスワンベースの進塁を許してしまうだけに、一気に流れが変わってしまう恐れがある。
近江の3エラーはすべて内野手の捕球ミス。もともとは守備の良い津田・横田・中瀬ではあるが2回の失点は2つの失策が重なったものだった。
ともに本来は守備の良いチームだけに、2回戦はどう改善されているかにも注目したい。

この試合のポイント

何と言っても近江の剛腕・山田と鶴岡東の強力打線の対決が見ものだ。

近江・山田は疲労がない状態で戦うと、おそらく今大会で1番難攻不落の投手だろう。ただ試合序盤は球が高めに来るケースが多く見受けられる。序盤スライダーでストライクが取れない時、簡単に甘いストレートでストライクを取りに来る傾向があるだけに、鶴岡東としてはそこを叩きたい。
その為にはボールになるスライダーに手を出さない事が重要だ。
よって一番のポイントは「鶴岡東打線のスライダーの見極め」となる。
山田の変化球のキレは今さら言うまでもなく鋭いので、簡単に「見極め」と言っても難しいミッションではある。ただこの難易度の高いミッションをこなせなければ、鶴岡東の強力打線をもってしても攻略は難しいだろう。

また鶴岡東にとってもう一つのポイントは「近江打線を最小失点で抑えられるか」である。疲労が少ない段階で山田から大量得点はなかなか難しい。それだけに鶴岡東としては初戦のように四死球とエラーで走者を溜めて余計な失点を与える展開は何としても避けなければいけない。打撃力が看板のチームではあるが、1点を大事に取りに行きロースコアの接戦に持ち込みたいところだ。

逆に近江は滋賀大会でも時折、大振りになりフライアウトが増える傾向がある。今年の近江は決して長打で圧倒するチームではない。初戦のようにコンパクトなスイングを心掛けて「線」になってつなぐ意識を持たないと、鶴岡東投手陣の術中にハマってしまうだろう。過去の甲子園大会でも会心のゲームの次の試合でエアポケットにハマったように敗北したチームは多数存在する。
鳴門の好投手・冨田を攻略した自信が油断を生み、大振りでフライを打ち上げ、打ち崩せないまま気づいたら試合終盤だったという展開は避けなければならない。

今大会で最も注目度の高い近江・山田が勝ち進むのか、それとも鶴岡東がストップをかけるのか。今大会の展開を占う上でも細かい部分まで注目したい一戦である。

甲子園ラボ

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