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【2023 夏 高校野球】準々決勝の見どころはここだ!

2023年 夏の甲子園
第105回全国高校野球選手権大会

準々決勝のみどころ

大会でも最も面白いと言われるのが準々決勝。
1日で4試合が行われ、その日の登場校から必ず優勝校が出る。
そして各チームここまで勝ち進むと甲子園にも慣れ、そのうえ日程による消耗が比較的少ない為、好ゲームが期待できる。
これが準々決勝が最も面白いと言われる理由である。

今回は普段よりライトに全試合の見どころを解説しようと思う。

①沖縄尚学(沖縄)vs  慶応(神奈川)

「好投手vs強力打線」

第1試合は春夏連続出場となる名門校同士の対戦となった。

この試合の見どころは何と言っても
沖縄尚学の好投手・東恩納 vs 慶応の強力打線
となる。

沖縄尚学のエース東恩納は沖縄大会を無失点で勝ち上がり、甲子園でも初戦でいなべ総合に完封勝ち。次戦の創成館戦の終盤8回に失った1点がこの夏最初の失点という安定感ぶりだ。

今大会では1、2回戦とも8安打を許しているものの失点は1というデータがある。また2試合で複数安打を許したイニングは3イニングのみ。
これらは東恩納が走者を出してからギアを上げている証明であると言える。

対する慶應は強力打線が売りのチームだ。
渡辺、加藤、延末の強力な中軸に注目が集まるが、このチームの1番の武器は上位から下位まで切れ目のない点。
中でも注目したいのが1番の丸田。
シュアな打撃に加えて走力もあり、チームにリズムを生み出す理想的なトップバッターだ。

沖縄尚学バッテリーはいつも通りギアを抑えた状態で丸田の出塁を許すと、苦しい展開になる。
特に慶應は試合序盤から積極的に攻撃を仕掛けてくる。東恩納の立ち上がりのコントロールが、この試合の1番のポイントになるだろう。

慶應としては、沖縄尚学バッテリーに気持ち良く投げさせないよう心掛けたい。特に東恩納のスライダーは非常にキレがあり、本調子だと攻略は難しい。それだけに塁上から揺さぶり、東恩納のストレートの割合を増やしたいところだ。

慶應の詳細な説明は広陵戦の記事をご覧ください

②土浦日大(茨城) vs 八戸学院光星(青森)

「最後に残るサウスポーエースはどっちだ」

準々決勝の第2試合は初のベスト8進出を果たした土浦日大と、2000年代に入ってから6度もベスト8の経験がある八戸学院光星の対戦となった。

今大会ベスト8に残ったチームで、サウスポーエースはこの両チームのみ。その観点から見ると、この試合はやはり両チームの投手の出来が勝敗に大きく影響すると考えられる。

土浦日大はエース左腕・藤本と右腕の伊藤、小森の3投手の継投で勝ち進んできた。
特にサウスポーエースの藤本は今大会17イニングを投げて被安打14、与四死球1と圧倒的な安定感を見せている。左からの130キロ台後半のストレートはキレが抜群だが、何よりコントロールの良さが際立つ好投手だ。

八戸学院光星は洗平、岡本の2年生サウスポーのWエースがマウンドを守る。初戦は背番号1の洗平が明桜を完封、次戦では岡本から洗平へのリレーで強打の文星芸大付を振り切った。
ともに140キロを越えるストレートが武器の将来が楽しみな本格派左腕だ。

両校ともに打線も好調だが、個々の長打力ではやや八戸学院光星が上回るか。

それだけに土浦日大としては専大松戸戦と同様に、打ち上げず低い打球を心掛け、得意の連打が出る展開に持ち込みたい。

一方で八戸学院光星は3番中澤の前に走者を出す展開にしたい。またショートを守る中澤のグラブ捌きの柔らかい守備にも注目だ。

八戸学院光星の詳細な記事はこちらをご覧ください

③神村学園(鹿児島) vs おかやま山陽(岡山)

「絶好調の左打線に挑む、右腕カルテット」

ともに夏の甲子園で初めての準々決勝進出となった。

総合力を見ると、打線でやや神村学園が上回るか。

ここまで3試合で39安打31得点と圧倒的な打力を見せつけてきた神村学園打線を、おかやま山陽の4人の右投手がどう抑えるか

これが最大のポイントになるだろう。

神村学園打線はその振りの鋭さに注目が集まるが、実は39安打中の30本がセンターから逆方向とコンパクトなスイングが徹底されているのが最大の特徴だ。1番のキャプテン今岡、4番の2年生正林が打線のキーマンだ。ともにバットコントロールが上手い上に長打力も備える強打者である。

ただ神村学園が甲子園で対戦した投手は右投手ばかりだった。左投手は0回2/3イニングで降板した市和歌山の川本投手のみ。左打者7人の神村学園打線が左の好投手と対戦するとどうなるのか興味があるのだが、おかやま山陽は井川、西野、三浦、三宅というエース格の「右」投手4人の継投で勝負を挑む。

おかやま山陽はここまでの3試合全て異なる投手が先発している。単純に順番で行くと、甲子園では先発は無いものの岡山大会の準々決勝で先発した背番号11の三浦になるが、そう簡単な話ではないだろう。

誰が先発することになっても継投は間違いない。
おかやま山陽としては、4人の右投手で神村学園打線を4点以内に抑えたい。その為には、怖がらずに打者のインコースを突いていく必要がある。

神村学園はこの3試合、相手の四死球を大量得点に繋げてきた。おかやま山陽は投手が不調だとみると交代できる投手力がある。今までと同様に四死球が奪えるかどうかにも注目したい。

神村学園の詳細な説明は北海戦の記事をご覧ください

④仙台育英(宮城) vs 花巻東(岩手)

「150キロ3本柱 vs 世代最強スラッガー」

高橋・湯田・仁田という史上最高クラスの投手3本柱を持つ仙台育英。
対する花巻東には、歴代最多本塁打を放っている佐々木麟太郎が君臨する。
スター候補が揃い踏みする楽しみな一戦だ。

仙台育英投手陣はMAX150キロと言われる3投手を中心とした継投で勝ち上がってきた。
この試合は花巻東の1〜3番が左ということもあり、筆者はサウスポーの仁田か2年生の田中が先発ではないかと考えている。今大会の須江監督の傾向を見ると、終盤エース髙橋へのリレーになるのではないだろうか。

一方の花巻東の自慢は強力な中軸だ。
佐々木麟太郎、エース北條、キャプテン千葉のクリーンアップの打球の速さは今大会No.1だろう。
中でも中心はやはり佐々木麟太郎。期待度の高さから今大会の成績は物足りなく感じるかもしれないが、それでも12打数6安打である。スイングスピードを見るとやはり格の違いを感じる。

総合力では仙台育英がやや上回る。

花巻東は智弁学園戦で左腕葛西への横手投げ指令という奇策を見せたが、左投手は葛西1人のみ。

本来であれば左の好打者が多い仙台育英を相手に使いたかった手であるが、120球を投げたばかりである葛西の先発は無いだろう。
北條、小松どちらかの本格派右腕が登板すると思われる。

どちらも好投手だが、仙台育英打線を完全に抑えるのは難しい。ある程度の失点は覚悟しているだろう。それだけに花巻東打線が仙台育英から何点取れるか、が勝負のポイントとなる。

その為には何といっても、流れを一気に引き込む一本が必要となる。

それゆえに、3番の佐々木麟太郎が強力な仙台育英投手陣から長打を打てるか、に注目だ。
もしホームランが出れば、球場のボルテージが上がり、一気に花巻東に流れを呼び込むことが出来るかもしれない。

仙台育英投手陣としては佐々木麟太郎に対して、3回戦で智弁学園の1年生投手の楢林が見せたような「内を意識させての外角勝負」で抑えこみたいところだ。

今大会最後のナイトゲーム。
東北を代表する両校の、力と力の名勝負を心から楽しみたい。

仙台育英の詳細な記事も以前書いてますので良かったらご覧くださいね

甲子園ラボ






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