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福祉士養成課程とメンタルヘルス:実習というリスク

▼福祉士養成課程では毎年必ず、中退や留年といったドロップアウト事例が発生します。そして、これからむかえる夏休みの実習中と実習終了後は、ドロップアウトが生じやすい時期なのです。

▼もし、こころの病気のある学生さんがこの記事をお読みでしたら、実習のリスクをあらかじめご承知いただくと同時に、そのリスクに対して極度に緊張しすぎない極度に悩みすぎないようにもしていただければと思います😌😌😌

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▼実習は、普段の学校生活とは環境が激変するイベントです。しかも、それが数週間続きますので、学生さんには大きな精神的負荷がかかります。教員の側も、とくにはじめての実習は学生さんが挫折しやすいハイリスクな期間としてとらえています。多くの学生さんは、初実習が済んでしまえば、それ以降の実習はわりあい平穏にこなしていかれるような気がします。

▼さて、こころの病気のある学生さんは、もし実習する上で困難がありましたら、(できるだけ早めに)担任教員や実習巡回教員に対して支援を積極的に求めていただければと思います。

▼いまの福祉士養成課程の先生方は、実習中に学生さんの精神的負担をできるだけ減らすことは、当然の義務として支援を惜しまないでしょう。個々の学校によって、また個々の先生方によって許容範囲は異なるでしょうが、おおむね、以下のような配慮は可能ではないでしょうか。

①当該学生さんが特に信頼している実習巡回教員を割り当てることは可能。
②公共交通機関の利用が困難な場合、自宅に近い実習施設を割り当てることは可能(学校指定の実習施設の範囲内)。
③公共交通機関の利用が困難な場合の送迎は、教員が授業時間外、他施設の巡回時間外であれば可能(施設側の許可が必要)。
④極度の緊張など、実習施設適応にやや時間がかかる場合などは、実習巡回を増やすことが可能(施設側の許可が必要)。
⑤実習直前や実習中の早朝、夜間の個別電話対応は可能(教員の私的な携帯電話はNGだが、学校が教員に持たせている携帯電話はOK)。
⑥当該学生さんが希望する場合、症状や要配慮事項をあらかじめ実習施設の実習指導者さんにできるだけ正確に伝えることは可能。

▼これら5つのうち、①③④⑤⑥は学校や教員の裁量または努力で実現可能かと思います。②に関しては、実習施設は所管官庁に届け出をした施設でなければなりませんので、ご自宅の近隣にある福祉施設でポンと実習を入れてもらうようなことは残念ながらできません💦

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▼一方、こころの病気のある学生さんのさまざまなニーズのうち、教員がフォロー、代弁できないのは(やはり)実習場面におけるコミュニケーションです。

▼福祉士養成課程の実習は、日誌がうまく書けないとか、介護技術がつたないとか、知識がないとか、そのような理由で停止になることはまずありません。実習停止でいちばん多いのは、利用者に対して主体的にかかわることができない、利用者さんや従事者さんとの円滑なコミュニケーションができない、口数が極端に少ない、利用者さんを知ろうとしないなど、もっぱらコミュニケーションをめぐる理由です。

▼コミュニケーションという要件は、あくまでも現状は介護実践やソーシャルワーク実践の「妥協できない一線」であると考えます。実践現場でコミュニケーションを度外視すると、介護事故や医療事故、苦情事案につながるからです。

▼「あくまでも現状は」という制限をつけて申し上げたのは、今後、介護ロボットのようなものが身体介護の主流となった場合に、将来の介護福祉士は介護行為を行う主体ではなくロボットのモニター役となるかもしれないからです。その是非やあり方は、実践現場の方々と利用者さんがお考えになってくださいませ(そのような時代が来ると、介護福祉士国家資格の存在意義もなくなるでしょう)。

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▼実習中のコミュニケーションになんら問題のない学生さんであっても、強いストレスから心身の調子を崩されたりすることもおありかと思います。その場合は、早急に実習巡回教員に連絡をしていただき(早ければ早いほど、教員も確実な善後策を講じることができます)、もし休養が必要でしたら、休養を遠慮なさらないようにしてくださいませ😌

▼実習には、実習施設との相性のようなものがあります。ある実習施設さんでの実習はサッパリだったけど、別の実習施設さんで実習するとエクセレント、という例が結構あります。とくに、はじめての実習でつまずかれた場合は、挫折であるかもしれないけれど、それがすべてではないことを助言申し上げておきます。なお、万が一その実習が中止、停止になっても、ふつうは再実習をしていただきます。

▼まかり間違えても、学校を辞めるなどの極端な選択をなさらないように。これは、危機的な状況下では得てして結論を急ぎがちで、かつ、その自己決定が結果的に誤りであることが多いからです。

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▼学生さんだけでなく、仲間や同業者、身内などを広くみると、こころの病気が風邪のように簡単に治るものではないことが理解できます。こころの病気のある学生さんの場合、ご病気に加えて実習というストレッサーが加わるわけで、ドロップアウトのリスクはやや高くなりがちです。

▼ですので、学生さんにはご病気と実習以外のネガティブな要素をできるだけ少なくするよう心がけていただければと思います。たとえば、無用なストレスを避ける、生活リズムを整える、ご自身に合った気晴らしをする、など、あくまでもご自身ができる範囲で環境を整えてみてくださいませ😊

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▼さいごに、気休めになるかどうかはわかりませんが、実習中、従事者さんや利用者さんからのちょっとしたポジティブコメントが、学生さんの自信や成長につながっているようです。

▼はじめての実習が自信につながりますように💪💪💪

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