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あなたの園はどのパターン? 保育所等が行う地域の子育て家庭への支援のカタチ

こんにちは。保育・教育編集部のHです。
今回は2月に刊行予定の『人口減少社会に向けた 保育所・認定こども園・幼稚園の子育て支援――地域とともに歩む22の実践事例』から、園が行う地域の子育て家庭への支援を考えてみたいと思います。

子育て支援って何?

まず初めに、よく保育業界で聞かれる「子育て支援」って何かを考えてみます。保育士養成校に通われている・いた保育者であれば、学生時代に「子育て支援」という科目を受講したかと思います。ここでいう「子育て支援」とは、まだ保育所や認定こども園、幼稚園に通っていない家庭への支援を指します。反対に、すでに自園に通っている家庭への支援は「保護者支援」とよばれ、区別されています。

園の子育て支援の方向性

保育所等は園に通ってくる園児の保育をするのが一般的かと思いますが、「子育て支援」も大切な役割です。その主な理由は以下のとおりです。

  • 子育て家庭は孤独になりやすい

  • 保護者の悩みやストレスを受け入れる

  • 自園をアピールして、いずれは園児になってもらう

  • 地域の子育て拠点としての役割

特に認定こども園は、定期的に子育て家庭の集いの場を設けることが義務づけられていることから、保育教諭の方々はその意識が高いかもしれません。
特に近年は急激な少子化により、園児募集が厳しいという声が全国的に聞かれます。自園の園児の保育だけでなく、地域にその機能を活かすことは、園の生き残りにもつながるとみられています。

ICTの活用で子育て家庭を支援

次に、先に挙げた書籍から、保護者支援・子育て支援の先駆的な取り組みを見てみましょう。
まずは近年急激に導入園が増えているICTの活用です。京都市にある京都教育大学附属幼稚園では、保護者との連絡用に連絡帳アプリを使い、園児の家庭での健康状態を登園前に把握します。コメントも記すことができるので、気になることなども共有しています。
情報の共有という視点では、オンラインの掲示板も日々の保育の様子を保護者が気軽に知ることができます。養護教諭による家庭で取り組みたい活動などは、情報を必要としている保護者には非常に有意義なものでしょう。
京都教育大学附属幼稚園のHPはこちら


要支援・要保護家庭への支援

次に紹介するのは、虐待などの不適切なかかわりのある家庭への保育所の取り組みです。
大阪市にある認定こども園聖愛園とあすなろは、同じ法人が運営する認定こども園ですが、不適切なかかわりのある家庭の子どもを、時間帯をずらして預かる連携を行っています(あすなろが夜間保育を担当)。
近年は虐待だけではなく、ひとり親家庭や不規則勤務の家庭への対応も増えているといいますが、さまざまなニーズに応える園の姿勢は、子育て家庭にとってありがたいものです。保護者のレスパイトにも一役買っているといいます。
法人内には地域子育てセンターもあり、園に通っていない家庭のニーズをくみ取り、必要なサービスにつなげる役割を担っています。
聖愛園・あすなろのHPはこちら


「マイ保育園制度」で乳児期の育ちを共有する

本書には22のさまざまな子育て支援の事例が紹介されていますが、ここでは入園前の子育て家庭の一時預かりを通した支援を紹介します。
保育所や幼稚園の一時預かりは全国的に多くみられますが、石川県白山市の認定こども園はくさんひかり園では、登録すると園庭開放や3回まで無料の一時預かりを利用することができます。その後も定期的な利用につながっていて、子育ての不安や子どもの育ちを園と家庭が共有するきっかけとなっているのです。
あわせてはくさんひかり園では、最初から親子分離による保育ではなく、0歳児は5日間、1・2歳児は3日間、保護者も一緒に園で過ごします(親子登園)。開始当初は仕事の都合などで難色を示す保護者もいたそうですが、現在は大半の保護者が入園直後の親子登園をしているといいます。
はくさんひかり園のHPはこちら


まだまだ紹介したいところですが、そのほかの実践はぜひ本書をお買い求めの上、お読みいただければと思います。

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