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企業領域キャリアコンサルタント(支援職者)による組織介入型支援の考え方

企業領域キャリアコンサルタントとは

キャリアコンサルタントと聞くと、どのような人をイメージするでしょうか?きっと、対話スキルにより、相談者のお話を伺い内省を促す、いわゆるお悩み相談のイメージが強いのではないでしょうか。また、企業領域においては、社員の方の行動変容支援やキャリア形成支援(面談、研修、ワークショップ)などを行なうイメージがあるのではないでしょうか。

私は、企業領域における支援職者として上記も行ないますが、基本的なスタンスとしては、組織介入型支援の形を取っています。そのため、発注者(経営者様や人事担当者様など)により定められた支援対象者だけではなく、支援対象者を取り巻く様々な立場や役割の方々からもお話を伺った上で施策の設計や運営をします。

組織介入型支援職者がやること

そこで注目してきたのが、上司‐部下の関係性です。支援職者が培っている日常の関わりや効果的な対話スキルをご支援で活用することができます。上司‐部下という2者の「間」を支援する。結果的にエンゲージメントが向上します。

また、エンゲージメントを向上させるために重要なのが、従業員体験(EX:Employee experience)です。このEXを組織施策として、人事施策として、いかに価値向上させられるか。EX向上→エンゲージメント向上→個人のパフォーマンス向上→組織パフォーマンス向上→心理的安全性の醸成→社員リテンション→EX向上・・・・(繰り返し)という企業組織での社員と組織のパフォーマンスがあがることにつながります。

EX(Employee experience)に必要なこと

では、EXを向上させるためには何が必要でしょうか。それは、企業理念と組織目標、現場メンバーの目標と日常的に取る行動(仕事や業務)の認知かそれぞれ一貫されていること。つまり、企業理念実現のために自分が今取り組んでいる仕事には意味がある、という自覚をもちながら日々過ごすことです。

ここに経営と現場メンバーとの間に大きなギャップがあると、組織としてのパフォーマンスが思うように伸びないだけでなく、心身不調者を生み出す原因にもなります。ただ、企業規模が数十人になってくると組織化が進み、経営と現場メンバーがダイレクトにやり取りする機会が減少するでしょう。そいして、そこにはいくつか挟まってくるが出てきます。

・経営と現場組織(チーム)との場
・現場組織(チーム)とマネジメント層との場
・マネジメント層とメンバーとの場

経営とメンバーとの間には、少なくとも組織(チーム)とマネージャー(上司)という存在が挟まっており、それぞれに関係性が発生します。そのため、距離を遠く感じ、ギャップも大きくなる。マネジメント層(上司)や人事担当者様は、「会社がどこに向かっているのかわからない」「どうなるんだろう、自分の会社は…」などというメンバーの声を耳にすることはありませんか?

では、そのギャップを埋めるにはどうすればよいでしょうか。そこに、私のような組織介入型支援職者や人事担当者様(特に戦略人事やHRBPの役割を担う方)の出番があることに、最近、あらためて気がつきました。

私が支援職者として組織介入型支援を行なう場合、それぞれの2者の「間」関係(エンゲージメント)に着目します。そのため、現場支援に落とし込む際に最も多くリソースを割くのは、マネジメント層とメンバーとの関係の質に焦点を当てた日常の関わりや対話、育成型マネジメント習得支援、マネジメント層への併走支援です。しかし、それを実行するまでには、上流の「間」に注目しヒアリングや対話を行ないます。マネジメント層に関わる前に現場責任者(執行役員や事業部長など)、さらにその前に発注者となる経営者様や人事担当者様に。

ギャップを埋めるために必要なのは、ストーリーを紡ぐこと

それぞれの立場の方々には、それぞれが考える理念や想い、役割期待があります。それを順番に把握することを重ね、まるでミルフィールのように現場施策に反映をさせ、複数の場で生まれるギャップを小さくしていく。それぞれの2者「間」の場と場が分断されていることが多いので、各「間」に介入することでその分断をつなげ紡ぐ。それをつなぐものがストーリー。企業組織の理念ストーリーと社員個人のライフキャリアストーリーを紡いでいく。そのストーリーをナラティブで引き出すのが私たちのような支援職者。この存在が、社員定着はもちろん、自社組織でわくわく働きいきいき生きる個人を育む重要なポイントだと考えています。

◆組織介入型支援の流れ(ざっくり概要)
Step1.発注者(経営者様や人事担当者様)に対して
・MVVや経営・組織課題と、それに伴う人事課題をヒアリング
Step2. 執行者(執行役員、事業部長など)
・MVVや経営・組織課題と、現場での成果や動きのギャップを確認
Step3.マネジメント層(上司)
・組織から求められることや成果に対するギャップ確認
・メンバーへのマネジメント課題(育成型マネジメントスキル、日常の関わり、対話など)
Step.4メンバー(部下)
・上司からの役割期待と成果に対するギャップ確認
・日常の行動変容支援
※上記Step1~4に関する施策を設計し併走して運営することで、人事担当者様やマネジメント層の方のご支援をします。

キャリアコンサルタントもHRBPや戦略人事に!?

先日、CULTIBASE様でHRBPに関するお話を伺う機会がありました。企業としての人事施策などに関して、経営と執行、執行とマネジメント層、マネジメント層とメンバー、それぞれの間にある「場」で情報の聞き出しながら課題を見出し、意思決定方針の検証を行う。そして、それをチェンジエージェントとして併走支援する。下図のように、各「場」に介入することで、全体としての人事施策を機能させる役割。それぞれの横ぐしとなり、企業の背骨となる存在がHRBPである、という話題でした。

プレゼンテーション1

このお話を伺い、私が企業領域で組織介入型支援として行なってきたことと「まさに被る!」と、衝撃的な気づきを得ました。率直に言うと、「そんなたいそうなことをしていたのか!?」と。確かに言われてみればそうです。そして、支援職者、キャリアコンサルタントとしての新たな可能性を見出すことができた気もします。

支援職者、キャリアコンサルタントなどが身につけている、関わりや対話などの対人支援スキルを活かすことで、企業領域においてHRBPや戦略人事とも呼ばれる存在としても役割が果たすことができますし、その役割を担われている人事担当者様のご支援もできます。

組織介入型支援職者による対組織支援は、各「場」の間をつなぐ関係性を向上させるため、それぞれのストーリーを引き出し、紡ぎ、企業に組織としての背骨をつくることにもなります。だから、企業領域において、支援職者やキャリアコンサルタントとして、わくわく働きいきいき生きる人や組織を増やすために必要とされる場面や役割は絶対あるはずです。悩みを抱える個人や組織、企業をよく見て、よく知り、よく聞き出し、様々なチャレンジをすることで、支援職者としての可能性を見出したり、支援の幅を広げたりできる方が増えるといいな、と最近は感じています。


わくわく働きいきいき生きる人と組織の環境と関係をつくる
Life Career Voyage

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