予算や人材不足など、スタートアップ企業が抱えるデザインへの課題──Canvaを提案して課題解決に挑む【インキュベイトファンド】
Canvaでは、スタートアップ・起業家向けにCanva有料プランを一年無償で提供する「Canvaスタートアッププログラム」を2021年に開始しました。
Canva Japanチーム主導で始動した本プログラムは、ベンチャーキャピタル(VC)などのスタートアップ支援機関・組織と連携することで、これまでに数多くのスタートアップ企業や起業家のデザイン業務効率化を支援してきました。
多くのスタートアップ支援機関や組織に支えられ、現在プログラムを通してCanvaを導入している企業数は、今では500社(*2022年9月現在)を超えています。
今回は、去年秋の開始時からプログラムにご参加いただき、数多くのスタートアップ企業にCanvaの魅力をご紹介いただいている、ベンチャーキャピタル「インキュベイトファンド」に、詳しくお話を伺いました。
今回お話を伺ったのは、インキュベイトファンドでコミュニティマネージャーを務める、杉本美晴さん。普段の業務でもCanvaをフル活用している杉本さんに、スタートアップ企業や起業家が抱えるデザインに対する課題、その課題解決にCanvaがどのように役立っているかなど、詳しくお話を伺いました。
創業前の段階から起業家と伴走して支援を行うベンチャーキャピタル
ーーインキュベイトファンドについて教えてください。
弊社は、キーメッセージとして「Zero to Impact」を掲げ、まだ社員もいないような創業前の段階から起業家に寄り添い、共に社会変革を目指している独立系のベンチャーキャピタルです。
シードやアーリーのフェーズでリードで投資を行い、スタートアップ企業を中心に投資をしています。投資する企業の業種に絞りなどは設けておらず、代表取締役の人柄重視で「応援したい」と思った企業に対して投資をしていくスタイルです。
ーーインキュベイトファンドさんの、ベンチャーキャピタル業界においての立ち位置、強みについて教えてください。
インキュベイトファンドでは、リードで投資し、ファーストラウンドのスタートアップ企業に投資をしており、まだ社員を採用していない代表取締役だけの段階からゼロイチで一緒に事業を創出していくことに強みを持っています。
コミュニティやHRの支援が手厚いことも他のVCにはない特徴だと思います。「More than a VC」と掲げている通り、投資した分を回収して終わりというわけではなく、一緒に事業を大きくしていこうという想いがあるため、大きくなるために必要なことは私を含めた専門部隊がサポートしています。
また、インド、ブラジル、東南アジア、シンガポールにも拠点を持っており、現地で根を張っている日本人GPが現地の起業家に投資をするというコンセプトで、海外にも視野を広げて活動しています。
さらに、従前から同志となり得るベンチャーキャピタリストとの連携や支援を重視し、LP出資を継続しており、2018年には国内初の特化型ファンド・オブ・ファンズとしてIFLPシリーズを立ち上げています。起業家と伴走する優秀なベンチャーキャピタリストの挑戦への支援、並びに、スタートアップと事業会社との連携にも力を入れ、日本のエコシステムの底上げと拡充に貢献していきたいと考えています。
VC連携プランの一つにCanvaを選んだ理由
ーーCanvaについて知ったきっかけを教えてください。
私がインキュベイトファンドに入社したときに、前任の者がすでにCanvaを使っていたのがきっかけでした。イベントのバナーなどをCanvaで作っていたこともあり、必然的に私もCanvaの使い方を覚えることになりました。
前職のときはCanvaについて聞いたことがなく、バナーや画像をつくるときはパワーポイントを使うことが多かったですね。
ーーCanvaスタートアップ支援プログラムに参加することになった経緯について教えてください。
インキュベイトファンドの取り組みとして、投資先に向けて「VC連携プラン」(ベンチャーキャピタルの投資先限定でパートナーのサービスがお得に利用できる特別プラン)を提供しているのですが、そのプランの連携先を増やしたいという話になりました。
そのときに、投資先に「どういうサービスがお得に使えたら便利ですか(VC連携して欲しいですか)?」という質問をしたところ、その回答の一つに出てきたのがCanvaでした。
私自身がCanvaを使っていたこともありましたし、以前から「VC連携プランの中にCanvaがあるといいよね」と話をしていたこともあって、Canvaと連携ができたらいいなと考えていました。
そんな時に、ツイッターで「Canvaスタートアップ支援プログラム」が始まったという情報を見かけました。プログラムは去年(2021年)の秋に始まったと思うのですが、開始と同時にすぐに応募したのを覚えています。
予算や人材不足でも、デザインを諦めたくないスタートアップ企業や起業家を支援する
ーースタートアップ企業や起業家の間では、デザインに対してどのような課題がありますか?
デザインに対する課題は、職種やポジションによって変わってくるとは思うのですが、大きく分けて3つあるのかなと思っています。
1つ目が、スタートアップ企業だと、プレスリリースを出すときやイベントを開催するときにデザイン業務が発生します。でも、広報担当者さんは1人または兼業しているケースが多いこともあって、画像やデザインにこだわりたくても、そこまで時間や手間をかけられないという課題があります。
そんな時に、デザイナーさんに依頼できればいいのですが、社内にデザインを専門としている人がいない、もしくはデザイナーさんに発注するお金がないという壁があります。予算と人材がないというのが課題の2つ目ですね。
あと、最近よくニーズとして聞くのが、3つ目である「VCに分かりやすくピッチブック※を作りたい」という課題です。ピッチブックはパワーポイントで作る人が多いのですが、個人的には「もっとこうしたら伝わりやすいのに!」と思うピッチブックもあって、起業家の方にとってもデザインという面で分かりやすく、見やすくしたいというお声を聞くことが多くなりました。
※ピッチブック:スタートアップ企業が資金調達をするときに、投資家向けに必要な情報を効果的に伝えるために視覚的に補足するピッチ資料のこと。
ーーピッチブックのデザインに関しては、3月のインキュベイトファンドさん主催のイベントで、「Canvaで魅せる!簡単ピッチブックのデザイン術」と題してウェビナーを実施しましたね。
そうですね。実は、イベントの数週間前に、投資先から「ピッチブックをCanvaで作る方法が知りたいです」という話をいただいて、ピッチブックをテーマにウェビナーをすることになりました。
そもそも、Canvaでピッチブックが作れるということを知らない人も多くて。ピッチブック自体の構成も大事ですが、デザインのところまでこだわれない人も多いので、Canvaで簡単に作ってもらえたらいいなと思いました。
ーーウェビナーの後は、参加者からどのような声が寄せられましたか?
イベント後にアンケートをとったのですが、「これまでパワーポイントを使っていたけどCanvaに切り替えようかな」「Canvaでここまでできると思わなかった」などの感想が寄せられましたね。
特に、セミナーに登壇してくださった植山(Canvaカントリーマネージャー)さんが、Canvaでプレゼンテーションをしていたのですが、ショートカットを押してタイマーや拍手などの演出をしていて。それを見て衝撃的だったというコメントもありました。
総じて「Canvaを使ってここまでできるんだ」という発見があったみたいです。私たちとしても、ピッチブックを分かりやすく作ってもらいたいというのと、Canva上でプレゼンができるということも伝えたかったので、このテーマにして良かったなと思います。
バナー画像からSNS動画まで、あらゆるデザインをCanvaで作成している
ーーCanvaのスタートアッププログラムにご参加いただき、実際に投資先にCanvaをご紹介いただいたと思うのですが、Canvaの導入を希望する企業さまからは、どのような導入目的や理由をよく聞きますか?
投資先にCanvaを最初に紹介したときは、一気に25社くらいからCanva導入の希望がありました。その投資先のプレスリリースを見てみると、基本Canvaで作っているところが多く、すでにCanvaを知っている企業が導入を希望していたという印象です。
やはり導入目的は、プレスリリースの見出し画像やイベントのバナー画像をCanvaでもっと作りたいというのが一番大きいのではと思います。
中には、ランディングページの画像やロゴをCanvaで作っている人もいますし、インスタグラムなどのSNS広告もCanvaで作っているというところもあります。
ーー杉本さんも普段の業務でCanvaを活用いただいているとのことですが、具体的にどのように活用されていますか?
基本的には、SNSの動画とイベントバナーを作るときにCanvaを使っています。特に、起業家向けイベントのバナーをCanvaで作っていることが多いですね。弊社のチームメンバーの顔写真を使うことが多いので、Canvaのフォルダーに入れていつでも使えるようにしています。
SNSの広告動画もCanvaのアニメーションを使って作っています。あと、企業ロゴを並べるときも、ロゴの大きさを揃えるために、まずCanvaで四角形の画像にしてページに掲載しています。四角形の画像にすることで、一つひとつのロゴの大きさが揃うので便利です。
ホームページの一部の画像も、Canvaで作っています。色々なところにCanvaで作ったデザインがありますね。
ーー今日は、プログラム参加時を振り返って、貴重なお話をたくさんお聞かせくださりありがとうございました。最後に、杉本さん自身の今後の展望についてお聞かせください。
私自身は、VCのコミュニティマネージャーとして、コミュニティの皆さんとのコミュニケーションを通じて、投資先がやりたいこと、投資先の成長を支援するための仕事をしています。
VCでのコミュニティマネージャーに対する需要は増えてきているのですが、スタートアップ界におけるコミュニティの重要性はまだ認知されていないと感じています。実際にコミュニティを任されても何をしていいのか分からないという人も多いと聞きます。
そういった方々に向けて、コミュニティマネージャーとしての知見や経験を何らかの形で還元できればいいなと思っています。還元することで、VCのコミュニティマネージャーの方々が様々な方面で活躍することで、VCだけでなくスタートアップ界でのコミュニティマネージャーの職種が価値あるものになるのではと思っています。
個人としては、VCのコミュニティマネージャーとしての枠を超えて、スタートアップが目指している世界を実現できるようなことができたらいいなと思っています。コミュニティマネージャーの仕事を通して得た人とのつながりや、自分の企画力や実行力というスキルを活かして、スタートアップが実現したいことを本当に実現させる、そんな関わり方ができたらいいなと考えています。
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VCとしての枠を超えてスタートアップ企業を支援していきたいと語ってくださった杉本さん。起業家の課題やニーズを察知し、起業家のビジョン実現に向けて伴走したいという温かくも強い想いに触れることができました。
Canvaでは、スタートアップ支援プログラムへの応募を常時受け付けています。現状では、スタートアップ企業が直接応募することはできず、VCなどスタートアップ支援機関・組織に限定させていただいております。
スタートアップ企業や起業家で、本プログラムの特典を受け取りたい方は、下記のページに掲載されている「パートナー支援企業」を通して受け取ることができますので、ぜひお問い合わせください。
詳しくは、Canvaスタートアップ支援プログラムページをご覧ください。