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アート巡り

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美術展感想、アート書籍のことなど
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#美術展

MOT【シナジー、創造と生成のあいだ】

MOT【シナジー、創造と生成のあいだ】

東京都現代美術館で開催中の「MOT ANNUAL 2023 シナジー、創造と生成のあいだ」を観てきた。
「創造」と、近年社会的注目を集める「生成」のあいだを考察する、若手作家を中心としたグループ展である。
とても良かった。
乱暴に言ってしまえば、現代アートがネクラからネアカになってきた、あるいは暗いも明るいもないスタンダードなものになりつつあるのかもしれない。
もともとテクノロジーと親和性の高い

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キース・ヘリング展 鑑賞者もアーティスト

キース・ヘリング展 鑑賞者もアーティスト

六本木森アーツセンターギャラリーで開催中の「キース・ヘリング展」に行ってきた。

彼が活躍中だった1988年、私はニューヨーク旅行の折にソーホーのポップショップを訪ねている。ただ当時の私の認識では、キース・ヘリングは「ニューヨーク地下鉄発の、ポップなアート」でしかなかった。

彼が31歳で夭折してからさらに30年以上が過ぎた今、あらためて彼が駆け抜けたアートシーンを振り返ってみると、その誕生と活躍

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豊永凌平さんの展示 透明水彩のまろやかな光

豊永凌平さんの展示 透明水彩のまろやかな光

今日は、豊永凌平さんの展示を観に、目黒で開催中のグループ展へ伺ってきました。

豊永凌平さんを知ったのは数年前のTwitterでした。透明水彩で描かれた光と空気の表現、明るさ、センスの良さにすっかりファンになりました。

豊永さんのXとInstagram ↓

2019年の個展に伺ったときには、在廊されていたご本人ともお話させて頂き、ポストカードや作品集を購入しました。作品を購入すればよかったと、

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杉本博司「本歌取り東下り」松濤美術館

杉本博司「本歌取り東下り」松濤美術館

渋谷の松濤美術館で開催中の杉本博司「本歌取り東下り」展を観て来ました。
現代アートと呼んでいいのだと思います。
昔は、現代アートはさっぱりわかりませんでした。でもこれは観る経験を積むことで、だんだん掴めてきます。
娘が美大に入って、学祭等でヘンテコリンな作品に数多く触れたことは、良いアート鑑賞の訓練になったと思います。自由勝手であるようで、ありがちな表現があったり、人間が落ち入りやすい闇の普遍性な

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