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杉本博司「本歌取り東下り」松濤美術館
渋谷の松濤美術館で開催中の杉本博司「本歌取り東下り」展を観て来ました。
現代アートと呼んでいいのだと思います。
昔は、現代アートはさっぱりわかりませんでした。でもこれは観る経験を積むことで、だんだん掴めてきます。
娘が美大に入って、学祭等でヘンテコリンな作品に数多く触れたことは、良いアート鑑賞の訓練になったと思います。自由勝手であるようで、ありがちな表現があったり、人間が落ち入りやすい闇の普遍性などのベースがあり、そこに作家の思想やテクニックが肉付けされていく。
今日、行く前はもっと不可解な感じなのかと予想していましたが、とても素直にどれも「順」なイメージで受け止められました。作家の抱えるテーマにとても共感できました。
写真撮影可だったので、たくさん撮ってきました。
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印画紙に、現像液を浸した筆で揮毫した作品。コロナ禍の約3年間、ニューヨークのスタジオに行けなくて使用期限が切れてしまった印画紙の活用を模索して、そのコロナ禍中に習得した書のテクニックを活かして作品を生み出すという、コロナ禍さえも無駄にせず有意義にしてしまう作家魂の逞しさを感じました。
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いろはうたの四十六文字。暗室の中で書かれた文字。私は「ろ」が好きでした。
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わざと野晒しにして劣化させた作品。この錆感が時間と潮風を感じさせます。
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人類の「意識の起源」「言語の起源」「アートの起源」についての考察。このあたり私自身も最近考えていることなので、こういう展示が嬉しかったです。
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室町時代に描かれたと考えられる絵巻。狂言的な、権威をこき下ろして笑う話絵集。私はこれが一番ウケたので写真に撮ってきました。
和尚に「落ちているものを拾うな、ただ踏みつけろ」と言われた小法師は、落馬した和尚を踏みつける。
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ジャック=ファビアン・ゴーティエ・ダゴティ
こういう絵は普段は苦手なのですが、あえて写真に撮ったのは全くアートと関係なく、私が首の筋肉が常に突っ張ってるから首の中がどうなってるのかみたいという本当に実用的な目的でした。こんな現実が挟まってくるのはハプニング。
白井晟一設計による松濤美術館は建物自体も魅力的です。
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名建築と呼ばれるものには今までも訪れていますが、今回初めて「建築に感動するポイント」を掴んだ気がします。人がそこに立った時に見えるもの、聴こえるもの、感じるものを計算して設計されている心地良さ、だと思います。
松濤美術館にまた来たいです。
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