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キース・ヘリング展 鑑賞者もアーティスト

六本木森アーツセンターギャラリーで開催中の「キース・ヘリング展」に行ってきた。

彼が活躍中だった1988年、私はニューヨーク旅行の折にソーホーのポップショップを訪ねている。ただ当時の私の認識では、キース・ヘリングは「ニューヨーク地下鉄発の、ポップなアート」でしかなかった。

彼が31歳で夭折してからさらに30年以上が過ぎた今、あらためて彼が駆け抜けたアートシーンを振り返ってみると、その誕生と活躍が場所や時代と切り離せない関係であることを強く感じながらも、その作品からは現在未来まで鮮度を失わないエネルギーがひしひしと伝わってくる。

強いメッセージ性、アートの役割への真摯な考察、性と生への狂おしい渇望が、痛々しいほど迫ってきた。

〈作品は最終コーナーを除き撮影可〉

《無題(サブウェイ・ドローイング)》
チョーク、紙、板

展示は彼の活動のスタート地点、地下鉄から始まる。
使われていない広告板に貼られた黒いマットな紙に、白いチョークでドローイングを描き始める。それはニューヨーカーたちの心を掴み、先見の明のある人物が破られたりする前に丁寧に剥がして保存してコレクションしたわけだ。
今こうして目の前でキース・ヘリングのチョークの跡を見られるとはなんという幸せだろう。

地下鉄を模した壁面に展示されている

彼の言葉も印象深い。

ある意味 鑑賞者もアーティストなんだ


日本とも深いつながりのあったキース・ヘリング。最終コーナーでは彼が硯を初めて使ったり、カタカナで自分の名前を表記したりしている展示があった。

夭折した作家には、今生きていたら、と思わずにはいられないが、たぶんきっとこんな、という想像など軽く超えていることだろう。


会場併設ショップでは、猿田彦珈琲とのコラボ「猿田彦珈琲シティブレンド」を購入。《イコンズ》の絵柄があしらわれたパッケージは、綺麗に開封して額装しようと目論んでいる。


追記 ) 猿田彦珈琲シティブレンドは苦味系で美味しかったです。



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