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お金について考える。あの時マンションを買っていたら今頃私は…人生の選択の難しさ

コロナ禍あたりから今に至るまで都内のマンション価格の高騰が目覚ましい、と思う。

マンションについて素人の私でも、近所に建つ新築マンションの価格を聞くと、何やらとんでもないことが起こっていると分かる。

今住んでいるマンションも、入居の頃に借り始めた人と今借り始める人で家賃は2倍に近い開きがあると聞く。今日は、ポストに入っている売却を誘引するチラシに書かれている「予算上限」額を見て目玉が飛び出た。だいぶ高くなってるんだなあ…。

今の住まいも入居から10年ほど経つということで、夫はマンションの住み替えの話を頻繁にしている。子どもの学校やら、いずれ来るかもしれない出勤体制のことやら考えるとなかなか舵取りが難しい案件だが、そもそも新築マンションは高人気で倍率が跳ね上がり、くじ運の世界ではないか?倍率は3年前と一桁違う印象だ。

これだけ価格が高騰し、皆マンションが買えなくなると思いきや、反対だ。お金がある人は買わなきゃ損な状態。家を買うなら地方より都会に、という流れもあると思う。しかし、かつて私の暮らしていたど田舎でさえ、戸建ての価格が今とても高いというので調べて腰を抜かした。

日本全国で家が、高い!?

そんな中、ふと11年前の出来事を思い出した。

30を過ぎ一生独身一直線だった私。
何かの記事をきっかけに、マンションのリノベーションに興味を持ち、都内某所のリノベーションの会社を訪れた。

そこでは、中古マンションの購入からリノベーションまでをワンストップでやってくれる。ローンをリノベーション込みで組めるのだ。自分の好きな場所で、好きな内装の家に住めるなんて夢のようだ。私は大いに夢見た。

たまたま、独身当時住んでいた場所は今の住居に近い。私はリノベーション会社の担当の方と、今の住まいにそう遠くないある売却希望者のマンションを見学した。

駅徒歩6分の1LDKプラスサービスルーム(窓のない小さな部屋)で、赤ちゃんが産まれたばかりの家族が住んでいた。一人暮らしはもちろん、DINKSと、歩かない赤ちゃんがいるうちなら住めそうな広さだった。

見学後、駅近のファミレスで担当の方とその物件の良いところやイマイチなところなどをおしゃべりしていた。そして最後に投げかけられた質問に私は凍り付いた。

「ご結婚の予定はありますか?」

…それ関係ある?

ひとりで住みたいところに住んじゃいかんのか?

私「ないです」
(なんか、悲しい)

担当「では、結婚予定のお付き合いはありますか?」

私「ないです」
(ええっ!?ちょっと、そんなこと聞くの失礼じゃない?!?!ってか、ますます、マンションに関係あんの?)

担当「おすすめは、結婚相手が決まってから物件を探すことです。私は結婚の予定が立ってから不動産は買いたいと思ってます、ゴニョゴニョ」

(ちょっとー、あんたの結婚なんて、どうでもよくないー?!私の住宅の話じゃないんかー?)

ファミレスを後にして、帰宅すると「今日の物件いかがでしたか?」とその担当からメールが来ていたが、私はプツンと糸が切れ交信が途絶えた。

今思えば、迷惑極まりない。
思い返してメールを検索し、メールに貼り付いていた物件案内を見る。

マンション名を検索してとんでもない事態に気づいた。

内見したマンション、直近の販売価格が2倍程に上がっているのである。

もし、あの時買っていたら…
そうだ、リノベーションなんかしなくてもいいからただ単に購入だけでもしていたら…
数年分の家賃が浮いてちょっとした冒険ができるくらいのお小遣いが手にできたかもしれない。

夫にそんな昔話をしてみた。
ちなみに、夫に出会ったのは2013年、結婚は2014年。あの失礼な担当の発言の翌年に私は結婚の目処が立ったのだ。

「え、そのマンション買っといてくれたらよかったのに!!!そこに2017年くらいまで住めたじゃん!!!そんで買っても貸してもよかったのに!だいたいさ、◯◯(私)の家に居候したとき狭くて狭くて大変で…ゴニョゴニョ」

…泣くしかない。
今なら思う。
あの物件は、買いだったのだろう。

人生の選択とは難しい。
特に「縁」がものを言う結婚や婚姻や転職などはよほど普段から知識を得たり人脈を構築して「勘」を磨いておかないと「何も選べないまま時だけが過ぎゆく」ことになろう。

しかし、チキンな私がリノベーションの会社に辿り着いた勇気だけは褒めたい。担当の提案を無視してリノベーションの夢を続行したり、他の業者さんに乗り換える強さがあったらよかった。今の私なら、きっとできる、と信じたい。

ところで、2012年なんて不動産価格は今に比べたらかなり低かったはずだ。不動産関係者は売りたい一心でないのか?あの担当の方は、なぜあんなに強気だったのか。

「オレ自分大好き」みたいなタイプだったのか、私がいくつあげた希望エリアの駅についても好みの持論を語っていたのも思い出したが、キミの好みは聞いてないよ!と今なら突っ込める。

30過ぎて結婚の予定もなく、彼氏もいないことを暴かれ、かつ、それゆえにやんわり住宅購入を止められ、ショックでショックで何も考えられなくなってしまった私。貯金も稼ぎもあって支払いできれば家を買って何が悪いのだろうか?

それにしても、マンション価格の変遷に驚くばかりである。

もし宝くじでも当たったら不動産が値下がりしたときにマンション買ってリノベーションしてやる!

やる気があるのかないのか分からない変なテンションだが、昔見た夢を思い出すのはいいものだ。どこからともなくトキメキが沸き起こり、ワクワクしてきた。

お金があったら何をしよう?

そんな空想が日々の疲れを癒してくれる。

もちろん、中古マンションのリノベーションは、チャンスがくれば次は逃さない所存。

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