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私のコーヒー時間。仕事時間を作り出すのに必死。共働き子育て夫婦で血みどろのリソース争奪戦。

noteであたたかい家族の記事を読むたびに自分の妻力、母力、嫁力のなさに気付いてどよんとしてしまう。

妻力を高めるには?
母力を高めるには?
嫁力を高めるには?

あと何周か人生やり直さないとならないかも。

先週金曜日は、4月の最終営業日だった。
来週は、日本は後半がゴールデンウィークだし、私の仕事仲間が多く属する中華圏の国は全般も祝日だと言う。
つまり、先週金曜日までにやっておかなければやらないことが多くあったということだ。

もともと、この4月は、上の子が小学校にあがる俗に言う小1の壁で窮地に追い込まれるとわかっていた。下の子も、1歳児クラスにあがり、春はどうしても感染症が増えると予想され、我が家には、空前絶後のカオス注意報が出ていた。

そして、案の定、いや、それ以上にカオスだった。詳細は割愛するが、唯一救われたのは下の子が大きな病気もなく保育園にほぼ毎日通えたことだった。

そうはいっても、しんどかった。

子どもに関することで心配ごとが多くそれ自体に心の容量を使い切ってしまい、物理的にもかなり時間を割いて仕事がほとんど進まなかった。仕事自体も大変な時期だった。

これまで、ある程度、自分の中にある「仕事の基準」みたいなものがあったが、質量両面において大幅に基準を割り込んでしまった。目の前の仕事ですらやり切るのがしんどいなんて、キャリア史上初めてのことだった。

子どもの命と家族がかかっている状況では、仕事が犠牲になるのは仕方のない面もある。

仕事がずば抜けてできる、子どもが元気で優秀、親のお金や労力を使える、などの条件がルービックキューブよろしく一面カチッと揃った人だけキャリアというサーキットを爆走できる。私のルービックキューブはバラバラなまま止まってしまうのだろうか。

無性に悔しかった。

でも、なにが?

こんなとき、矛先が向くのは夫。

私は裁量労働制でフルリモート(偉い人が来日するときのみ出社)で、日中多くを家族に捧げてはみ出た仕事は睡眠時間を削る。

子どもに風邪をうつされたり、鼻水の一歳児が寝苦しくしてたり、少々繊細な上の子が不安で寝付けなかったり、既に睡眠不足で仕事のために更に睡眠を削れない時もある。便利家電を駆使しても手作業の家事もあまたある。

夫は時間ぴったりに働き出社もある労務環境。どうしても、負担は私に偏る。
勤務形態と職種が違うだけ。
夫を責めても仕方のないことだとわかっているけど私は追い詰められていた。

そして、月末の金曜、ついにコップの水があふれてしまった。

夫にひどくあたってから下の子の保育園送りをお願いし、上の子を小学校に送った。

その日やらなければならない仕事が、どう考えても終わらない計算だった。

子どもが元気なら他にはなにもいらないとあんなに心に固く思ったのに。子どもの健康不安に寄り添い、少し成長したと思った自分がまた未熟なただのうだつの上がらないサラリーマンに逆戻りしたようで悲しくなった。

昭和のお父さんたちは仕事だけしていればよかったのか。うらやましいな。昭和のお母さんも、子どもが何人いても家事育児を分担できず、さぞかし大変だったろうな。

上の子を送って帰りながら、これから夫婦同じ屋根の下リモートワークをするのが憂鬱に思えた。

近づく家。

正確には、昼頃までに家の仕事がひとつあり、午後に上の子を小学校に迎え行き、そのあと軽い風邪の下の子を小児科に連れて行く。その間夫はずっと仕事が出来るのか、と恨めしくなる。

さて、家に帰る前に怒りを鎮めて冷静にならなければ。

私は家の近くの某コーヒーチェーン店に寄った。

コーヒー豆と、ブレンドとカフェラテを買って帰った。久しぶりに週末に豆をひいてコーヒーを淹れたくなった。

「はい、これ」
可愛げもなく夫にブレンドを手渡した。
仲直りのしるしとしってかしらずか、夫は「お疲れ様」と言う。
その通り、疲れている。
疲れたよー。疲れてるんだ。

仕事などもう辞めてしまいたいと思っても、何度でも立ち上がれるのはたいそうな覚悟や、信念や理想があるわけではない。
そこにはたった一杯のコーヒーがあるだけ。

カフェラテを飲みながら仕事につく。

自然と、仕事がするすると始まってくれる。
どんなに形勢が悪くても一流の棋士は次の一手に全力を尽くすだけ。
凡人の私も、ただ、一歩前に足を出すだけ。

もちろん、夜に仕事がつっかえたけど、コーヒーを買って帰ってよかったと思う。
私にも、夫にも。

ひと息いれよう。

気まずい家にコーヒーを買って帰るという、このルーチン。

これから何度繰り返すだろうか?

コーヒーチェーン店が家の近くにあってよかった。

ふと、思い出すと、その店には見慣れたチャリが停まっていた。上の子を保育園に送った帰りには、その子どもの席が前後についたチャリに乗ったママとすれ違ったものだ。あのママにもコーヒーにまつわるルーチンがあるのだろう。

今日もこの街の中に、コーヒーで心を整える人がいる。

また新しい月からがんばろう。
人はいつでも、新しい自分になれるのだから。

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