CHAPTER9.成約

「汚い場所で綺麗なものは作れない」
人生で初めて厨房のアルバイトをやっていた時に
そこの先輩コックが言っていた。
当時は刺さらなかったが今はごもっともだと思います。

飲食店で清潔感はとても大事(飲食に限った話ではないが)
整頓されていないと動きづらくなるし、汚れていると衛生面も心配になる。
一歩間違うと大事故になりかねない。
注意していても食を扱うのは怖くなるときがある。

料理上手は掃除も上手。
できる料理人は掃除の仕方も熟知しており、
ひたすら鍋を擦るだけの人は料理も保守的なタイプが多い印象。
何事にも向上心をもって試行錯誤している結果なのかもしれない。
この汚れにはあの洗剤がいい、焦げはこうやったほうが落ちやすい等と
やたらと詳しい。

厨房が綺麗なレストランはきっと美味しい。
実際、美味しかったお店は厨房も綺麗だった。
この基準はグルメサイトの項目にぜひ追加してみてほしい。
全ての店がオープンキッチンで中が見れるというわけはないが、
一種の精度としては割と信頼できる。

手洗いは初日にどこでもレクチャーされるだろう。
身だしなみも各社のハウスルールが定められていることでしょう。
衛生上、意識を高めるためにも必要なマニュアルだ。
ちなみに一日中、動きっぱなしでもコックコートをまったく汚さない人がいるので見習いたい。僕はまだ途中で着替えたりして対処しています。

グリストラップという油やゴミが排水管へ直接流れないようにするための阻集器があるのですが、これの掃除をやるやらないで揉めることが「飲食店あるある」。揉めている間にとっとと終わらせましょう。
掃除はすぐに結果が出るから個人的には好きです。


さて、新しい物件探しに結局2か月かかってしまったが、ようやく目途がついた。融資の方は一度決定していたものを辞退し、新たな物件で事業計画を書き直して公庫へ申し込み面談する必要があった。しかし一度、審査が通っていた実績があったお陰で今回はすぐに決定の連絡がきた。

そしてついに物件成約までたどり着いた。
鍵を受け取り、出入りできるようになってからもやることは山積みだ。
大雑把に箇条書きにしても、
内装、工事、設備関係、インフラ、仕入れ先選定、備品買い出し、
メニュー試作、人事、広告、各種届け出、シミュレーション、
プレオープン、そして開店という流れになる。

これまでとは比べ物にならないほど忙しくなるだろう。

でも

きっと面白い。

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