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リトル・マーメイドはもう少し美容に気を遣った方がいいのではないか

実写版『リトル・マーメイド』の配役に賛否両論があるようだが、正直そんなことどうでもいい。僕たちはもっとアリエルについて心配すべきことがあるではないか。

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アリエルといえばディズニープリンセスで有名な人魚姫である。そのトレードマークは赤くて長い髪。先日、金曜ロードショーでアニメの方の映画「リトル・マーメイド」が放送されているのを観たが、煌々と輝く髪色たるや、生粋のカープ女子である。カープ戦の球場で赤いユニフォームを着た女の子たちは今までたくさん見てきたが、赤い髪の毛に染まった女の子は見たことがない。これほどまでに気合いが入っているカープ女子はこの世界にアリエルしかいないだろう。

あるいはアリエルの胸当てに着目すると紫色である。紫色のスポーツチームといえばJリーグのサンフレッチェ広島である。安直に考えると、彼女は瀬戸内海に生息するのかもしれない。

アリエルが広島出身のカープ女子であることを仮定して先に進める。あの原色に近いブルベ冬にしか似合わぬ髪色は決してナチュラルにできるものではない。間違いなく人工物である。

遺伝か何かの自然由来であの髪色になるはずがないのだ。あるとすれば赤蟹のセバスチャンの親族から抽出した色であるような気がするが、ディズニーまたは童話の世界においてそこまで残虐なことを考えたくはない。

もしリトルマーメイドの世界が残虐な世界であるなら、X JAPANの「紅」はYOSHIKIがリトルマーメイドを観て作った曲であると言われても納得ができてしまう。

ほかにも広島の怖い人がよく言う、「瀬戸内海に沈めたるけぇ!」の出典、実はリトルマーメイドなんですと言われても頷いてしまうことだろう。

そんなことより彼女の髪色と同時に思うのは、あのサラサラとした髪質である。どうして海の中に長い間住んでいてかくも剥がれたキューティクル一つない髪の毛をしているのか。普通に考えて毛根から塩分にやられそうである。

なんだか、一生懸命トリートメントやらコンディショナーやらを塗布している地上の人類が馬鹿馬鹿しくなってくるではないか。そもそも海水というのは塩化ナトリウムを中心に構成されているのではなかったのか。リトルマーメイドの世界における海水の成分は大半が資生堂のfino(フィーノ)だったのか。まあそれなら合点がいく。

アリエルの類稀な髪質には世の女性たちが黙っていないことが容易に想像できる。しかしその髪質とは引き換えにというべきか、アリエルは大きな肌問題に着面することになる。

彼女が地上の王子に心惹かれ、地上と足への憧れを持ってしまったらそれで最期。タコみたいな魔女ことアースラに、美しい声を失うことと引き換えに足を手に入れ地上へ上がることが可能になったが、無くなったものは美しい声だけではない。なあアリエル、「何か」を忘れていないか。

地上というのは海とは違って乾燥しているのである。日差しも燦々と降り注ぐ中で何故、化粧水も乳液も、日焼け止めも塗らないのだ。実際にアリエルがスキンケアをするシーンなんてものはなかったはず。

これまでプルプルだった肌の水分は全て蒸発し、有害な紫外線UV-AとUV-Bによって彼女の肌はさらに疲弊することだろう。

アンデルセンの原作『人魚姫』では地上に上がった人魚は「歩くたびにナイフでえぐられるような痛み」が伴ったと記述してあるが、これは強烈な紫外線としか考えられない。これまで紫外線を経験したことのない彼女にとってみれば僕たちの感じる「突き刺すような紫外線」は「ナイフでえぐられるような紫外線」になるだろう。

アリエルが日焼けすると肌が赤くなるのか、黒くなるタイプなのかは分からないが、まあ生粋のカープファンだし言わずもがな赤くなるだろう。

顔が日焼けで赤らみ、髪色と同化しているアリエルなんて、ああ、観てられない……

僕はコスメにお金をそこまでかけない人間なので最低限の美容グッズしか揃えない。化粧水しかり、乳液しかり、やっすいものだ。日焼け止めだってAmazonで買いだめしている得量のニベアである。

そんな僕は彼女のことを考えるとSK-2を買ってあげたくなるし、日焼け止めだってアネッサあたりをプレゼントしたい。アネッサで満足しないならデパコスでもいい。

俺たちのディズニープリンセスの肌が守られるのであればこんな出費安いものだ。地上で生活するディズニープリンセスたちがアリエルを嘲笑う姿は見たくない。

アリエル、早く化粧水と乳液を手に!!

だが、そんな心配をしているのはおそらく全人口の中でもごく一部。アリエルの肌トラブルに着目する人間は『アンパンマン』を観て「食パンマンは何枚切りなのか」を気になりすぎて内容が入ってこなくなってしまうような人間であろう(私です)。

さすれば、アリエルの肌トラブルというのはあるように見せかけて実はもともと無かったのかもしれない。僕たちがスクリーンの前で見せられていたのは断片的な表層部分だけであり、僕たちの見えないところでSK-2をこれでもかと塗りたくり、アネッサの日焼け止めを顔の際までムラなく伸ばしているアリエルの姿があるかもしれない。

やはり、美女はの滲むような努力をしているのか……アリエルの髪色は鮮血の赤!なんて書こうと思ったが、努力している者を卑下したくないからやめておく。

[ディズニー] さがらポーチ

それに、彼女が美容に努力していなければこんなアリエルを全面に描いた化粧ポーチは販売されないだろう。IKKOさんの化粧品を好んで使う人間がいるように、美容界隈における憧れの対象は化粧品グッズになりうる。

しかし、このポーチを製作した、あるいは使っている人間が「アリエル、化粧品使っていない説」を支持している人間だったら……

とんでもないサイコパスである。いや、サイコというより嫌な奴だ。毎朝、アリエルの化粧ポーチから高級化粧品を取り出し、

「まあこのポーチに描かれているアリエルはスキンケアサボってるらしいけどね、私はもちろん今日もします。SK-2で

とドヤついた顔に化粧水を浸透させているはずだ。

アリエルよ、地上には変な人間が山ほどいることが分かっただろう。乾燥より紫外線より恐ろしいのはまさしく人間である。今からでも遅くはない、地上へ上がるのはやめておけ!

それが俺たちのディズニープリンセス、アリエルを守るための最善策である。

【追記】
過保護なアリエルの親父オヤジの気持ちがよく分かりました。あと、アースラに魔法をかけられる前にアリエルが「ああああー」とお馴染みの曲を歌うシーン、あそこは絶対に「それ行けカープ」を歌うべきだったと思う。瀬戸内海に住んでいる訳だし、現在とっても重要な交流戦の真っ只中だし。





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