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書くのが好きですと、まだ言えなくて。

もう今年もあとわずか。

おなじことを何度も繰り返す母のように

こんなふうに言ってしまうけど。

この間、とてもこころにずしんと重たい

雪がずしんと落ちるかのように腑に落ちた

noteに出会った。

みくりや佐代子さんの文章だった。

noteからデビューされて、わたしが説明する

までもなくもちろん書くことを生業と

されている方だ。

noteでの付き合い方が変わってきたことが

綴られていた。

交流会のような場所で、誰がライバルと意識

しているかと問われたり、深読みされたりした

ことに違和感を覚えつつも、noteに1年ほどいると

呑まれていったのだと綴られていた。

そして、文章だけじゃなくてその向こう側にある

評価を気にするようになっていったと。

いつも、評判のいいものを書かなければいけないと

いう焦燥感に満ちた文章を読みながら、わたしもnoteに

来た頃のことを思いだしていた。

noteに来た理由は実はいろいろあるけれど。

ひとつはわたしも競争に疲れていたから

だった。

とある場所でショートショートを書いていた。

毎月優秀作が選ばれて、そのレースを毎年8か月

リアルの仕事とは別にこなしてはいた。

3年は続けたかと思う。

最初は楽しくもあった。

ビギナーズラックがあったので、味をしめて

続けて行こうと目標にしていた。

最初は、月間で選ばれることに喜びも

あったけどそのレースの到達点がみえなく

なって。

一位の人は映画化されるというご褒美は

あったにせよ。

その1位になるためのレースはつらかった。

ある時一緒に走っているほかのみんなと

リアルで会うことがあった。

ずいぶん若い人たちと話す機会を得て、

いろいろなひとたちの話を聞いていた。

ちゃんとまっすぐ野心を持っていて、すごく

まっとうに、燃えていた。

そこにいた1番の人に思いをオブラートに

包みながらも、ぐしゃっとあらわな気持ちを

ぶつけていた。

まぁ、わたし負けませんよという宣言に

聞こえた。

これが若いということなのかと思いつつ、

たぶん気圧されたんだろう。

たいていのことには気圧されてしまう質な

ので、ほんとうにしょうがないと思いつつ。

競ってるぞ。

コンテストなのだから競ってるわけだけど。

みんなきそってるぞ。

きそっていますよとみんなせんげんしていた。

それをわたしはなんどもなんども聞きながら、

あめが夜からふりはじめたそこをあとにした。

幼稚園の時の椅子取りゲームも嫌っていた

わたしが競う場にいるぞってなんか

おかしいよって思いつつ。

あの日のことをみくりやさんの文章を

読みながら思いだしていた。

雨ぬれそうだからと、傘を差す。

晴雨兼用じゃないウグイス色の日傘だった

ことに気づいて、ほかのだれかには

差し出せなくて。

傘の隙間からぽつぽつとにじんでくる、雨粒を

からだとこころでうけとめながら、傘を持たない

人たちが走り抜ける背中を見送った。

いつかこころ晴れますように。

雨をよけてはしりながらも、かれらは駅までの

道のりまでも、競っているみたいに駆け抜けて

行ったその背中をぼんやりとみていた。

書くことが好きですからってみんな言っていた。

書くことが好きって、わたしあまり言ったこと

ないなって。

書く前はnoteでもそうだけれど、どきどきする。

このこと書いていいのかよくないのか。

もしかしたら誰かが深読みして傷つくかなとか。

じぶんで書きたいと思ったのは、昔の日記帳を

みればすぐわかるように、文字で埋め尽くされて

いる。

自分の心を整理するために書いていたのだから、

好きとか嫌いは関係なかったのかもしれない。

今日一日、心を落ち着かせよう。

声に出せなかった心の声を文字に託そうと

そんな感じで日々をすごしていた。

それは今noteでもおなじだなって思う。

じぶんが今よりももっと年齢をかさねた時に

書くことが好きだったねって言えるかな。

そんな思いでこの先もたぶん日々noteを

書いて行くような気がしている。

かなしみが ねじれる時の 音を知っている
長距離ランナーの 競い合う夜

素敵な画像はぱくたそさんから拝借しました。ありがとうございます。

細かな模様を描く美しい空ときれいに並ぶ色とりどりの傘のフリー素材 https://www.pakutaso.com/20210719182post-35540.html


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