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2024年1月の記事一覧

こんな悲しい年明けには。【言葉を使う人へ】

こんな悲しい年明けには。【言葉を使う人へ】

(約900字)

ジブリ映画『千と千尋の神隠し』では、
データ放送に宮崎駿監督のメッセージがありました。

全文ではありませんが、以下は言葉に対する大切さを語っていると思い、掲載します。

言葉は力である。千尋の迷い込んだ世界では、言葉を発することはとり返しのつかない重さを持っている。湯婆婆が支配する湯屋では、「いやだ」「帰りたい」と一言でも口にしたら、魔女はたちまち千尋を放り出し、彼女は何処にも

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詩『青い色は』

詩『青い色は』

雨が降る
濡れた人しか分からない
冷たさがある

涙が流れる
泣いた人しか分からない
胸の内がある

雨が川となり
滝となって流れ落ち
深い淵となるように

これまで流した涙も
心の中に湛えられ
淵となっていくのだろうか

地図になく 
知る人もない淵の
深さを知るのは自分だけ

ぼくは願っている
雨が上がることを
雲が消え去る日を

いつか青空が広がり
見上げる時が来たなら
一歩 踏み出してみよ

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【エッセイ#35】魂を吸う魔物 -バッハ『無伴奏ヴァイオリン』の魅力

【エッセイ#35】魂を吸う魔物 -バッハ『無伴奏ヴァイオリン』の魅力

以前、メロディが時や場所を超えて変奏されることについて触れましたが、それを奏でる楽器や編曲もまた、音楽にとって重要です。楽器によってその曲の個性そのものが決まる場合もあります。

ヨハン・セバスティアン=バッハの編曲の多彩さは、驚くべきものがあります。大曲『マタイ受難曲』から、チェンバロ(ピアノ)の『平均律クラヴィア』まで、当時のあらゆる楽器で作曲されています。

しかし、同時に、どこか編曲す

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ノスタルジア 雨音と水音

ノスタルジア 雨音と水音

このジャニュアリー、アンドレイ・タルコフスキーの『ノスタルジア』の4K修復版が公開される。

『ノスタルジア』はタルコフスキーの中でも破格の美しさを放つ作品であり、イタリアに行き、亡命を果たす直前の映画である。1983年の作品だ。

タルコフスキーの映画ではいつも、水と火がビューティフルに撮られているが、今作もその例に漏れない。

雨音の藝術というものがある。いや、雨も音も藝術なのだ。水音、雨音、

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「頷きは息をさせる」(詩)

「頷きは息をさせる」(詩)

許さないと決めたこと
それは弱さだと詰られるけれど
私はそれをそのままお腹にいれたい

許す自身でありたい見栄と
許せない理由の最たる私自身
それは同じ地平に立っている

どうか 許すことに倣わないで

太陽の光と出逢っても
乾くことのない湿地はあり
そこにはたしかに豊かな命の巡りがあること

私は
許さないで居続ける私を
何一つ欠けさせることなく 
許したい

私がインストラクターに向かない理由

私がインストラクターに向かない理由

自分でも忘れがちなのですが、そういえば私はヨガの先生でもあるのだった、ということに時々思い至ります。

専門の学校で学んで国際資格も持っていますし、レッスンを担当した経験ももちろんあります。
けれどここしばらくは決まったクラスも持たないために、自分でも記憶が遠くなるのは当然かもしれません。

それでも時々であれ思い出すのは、ヨガのインストラクターだから、という前提で誰かから話を振られることがあるか

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たからものの在処👑

たからものの在処👑

   (約600字)

ーみんないい結果がほしいー

いい結果は高得点だったり、

たくさんの賛辞だったり、

高額な報酬かもしれない。

喉から手が出そうなソレは

本当は必要じゃないのかも。

目に見えない拍手が世の中には存在する。

可視化できているところにある幸福は
意外とアテにならない

必然とされているところに価値があるわけじゃない。

その何かを見つける旅をしていることが大事。

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「詩は花」(詩)

「詩は花」(詩)

詩は花だ
私に根を張り
遠い空へと咲く
風の兄へ微笑む
淡い月に甘やかされて
こそばゆい振動で
私に表す

世界はうつくしいこと
この愛はたゆたって
表面は照り返り
あなたという俤に
恋を重ねて染まる
白は白へ
光は光へ

花は詩であることを
時々忘れて涙する
その姿に空は振り返り
風は少し多く花弁に触れる
月は瞼を伏せて淵をぼやかす
私に滴るいたみが
深くに溜まり また種を生む

詩は花だ
鮮や

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冬大佐詩集

冬大佐詩集

映写機の光を浴びつつ
古い映画を見ているように
私はまた新しい陽の光を浴びつつ
出かけてゆくでしょう

結局
円をえがいて
墜落する鳥のように
暗室のような夜に
帰って来るために

日々
そうですから

新しいも
古いも
ないんですよ

フィルムの中の
セピア色の
出会いと別れの

永い永い繰り返し
だけなんですよ

でもなにか
原色の薔薇を
胸元にかざりたい
とは思ってます

新年よ
こんにちは

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