見出し画像

抜け殻【140字小説】

階段を上ると、娘の部屋が見える。
主のいないその部屋は、娘が巣立ったときのまま時間が止まっている。

使いっぱなしのヘアアイロン。
後ろに引かれた椅子。
乱雑に置かれた化粧品と鏡。
開いたままのカーテン。
くしゃくしゃの布団。

そこにあの娘はいない。
なのに居るように感じる。

まるで抜け殻のように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?