しのしの

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最近の記事

『ヘルシンキ 生活の練習』を育休中に読んだらすごく心に残ったという話。

文化人類学に関心を持ち始めてから、人類学系の本を紹介するTwitterアカウントをいくつかフォローしていて、そこで知った本。 2人の幼な子を持つ社会学者がフィンランドでの暮らしを丁寧に綴っている。 「生活の練習」っていうのが素敵じゃないですか。 ヘルシンキっていう遥か遠い都市名と、生活の練習っていうストイックな表現の組み合わせにそそられて、Twitterのタイムラインに発見してから1分後にはAmazonで買ってました。 そしていきなり結論だけど、とてもおもしろかった! い

    • “推し研究者”を探そう

      投稿頻度は激減していますが、 文化人類学への興味は変わらず燃えています。 ということで、 先日とあるトークイベントにリアル参加してきました。 最近メディアでもよく名前を見る文化人類学者どうしの対談で、 テーマが「ビジネス×文化人類学」ということで、 まさに!な感じだったので、 久々にワクワクして都会に出てゆきました。 で、面白かったのは、 そのイベント自体もすごく有意義だったんですけども、 イベント後に、その登壇者のひとりの方と あれやこれやあって知り合うことができて、

      • 転職したら文化人類学にハマった話。

        自分が文化人類学に心惹かれたきっかけを紐解くと いくつか頭に思い浮かぶのだけど、 ひとつ明らかなのは、やはり転職だ。 昨年の秋、10年以上勤めた会社を辞めて転職した。 伝統的(と言ってもいいはず)日本企業から 完全に欧米式の組織である外資系企業へ。 前職の会社は人も仕事も大好きだったので、 半年以上むちゃくちゃ悩んだのだけど、 最後に背中を押したのは、異なる組織文化への好奇心だった。 10年以上ひとつの組織に居続けたことによる停滞感や 主に「働き方」に関する前職の人々の考

        • 文化人類学=手法なの?

          この数週間、毎日文化人類学の本を読んでいるのですが、 結局まだよくわかってないのが、 文化人類学って、何を探求する学問なの?ってこと。 学問って、どんな学問でもなんらか固有のテーマというか、 明らかにしたいことがある気がするんですよね。 (学問修めたことないので、ほんとにそうかはわからんのだけど) 物理学は、この世の万物を動かす法則を解き明かす。 生物学は、地球に生きる生命について知り尽くす。 法学は、人間が良く生きるためのルールのあり方を探求する。 建築学は、まだ見ぬ新

        『ヘルシンキ 生活の練習』を育休中に読んだらすごく心に残ったという話。

          移動する/させられる人生

          発信の継続ができなくなってきているぞ。なぜだろう。ルーティン化したい! 人類学のテーマの中でも「移動」に関心があるのではないか、と自己分析して、本屋でタイトル買いしたこの本について。 結論、すごくおもしろくて。 自分がもっと見てみたい・深く知りたい世界ってこういうことなんじゃないかって思った。 この本の帯にはこう書いてある。 戦争や開発によってもともとの住処を追われた人々。 はるか遠い異国まで家事労働者として出稼ぎをする人々。 遊牧や漁撈が生業で、そもそも国境という概

          移動する/させられる人生

          10個思い出す

          今日は良い日だった。 好きなガラス作家のグラスが届いたので、買ってあった黒エビスを注いで、ゆったりと時間をかけて飲んでいる。 奥さんが買ってくれた新しいスリッパが意外と心地よい。 前職の後輩にちょっとした質問をしたら、丁寧に答えてくれた。 TEAMS上のテキストでグループ内のやりとりしかしたことがない同僚がいるのだが、今日初めて直接チャットをする機会があって、そしたら意外と人間味のある返信がきた(あくまでまだテキストだけど)。意外と大きなお子さんがいることもわかった。

          10個思い出す

          「森の小さな〈ハンター〉たち」を読んで見えてきた個人的なこと

          2週間前に買ったこの本を、やっと最後まで読みました。 亀井さんという研究者が書いた、カメルーンの森に住む「バカ族」の子どもの民族誌。 手に取った理由は、文化人類学の具体論にそろそろ触れてみたかったから。これまで「文化人類学ってのはざっくり言うとこんな感じでね・・・」という総論ばかり読んできたので、そろそろ具体に触れたい欲が湧いてきたのです。 結論、読んでみてよかったなと。面白かったし、何より自分の関心に気づくきっかけになった気がする。 気づきその① 文化人類学者というあ

          「森の小さな〈ハンター〉たち」を読んで見えてきた個人的なこと

          大人のルール、子どもの本能

          ここ数年、「子どもの文化」に興味がある。というか、もはやもう一度子どもになりたい。もう少し正確に言うと、子どものように、大人の世界を生きていきたい。 ・・・いきなりアホ丸出しな入り方をしてしまったけれど、「子どもになりたい」ってのは、ここ数年抱いている本音なのです。なんていうか、あらゆる”大人的なこと”に疲れてしまった自分がいる。いや、「疲れた」とか書くとネガティブだな。”子ども的なこと”や”子どもの日々の営み(文化)”の方が、人間として本質的なんじゃないか?って思い始めて

          大人のルール、子どもの本能

          文化人類学のイベントに初参加してみた話。

          保育園が休園したり、家族が続々と体調を崩したりの影響で、Outputが滞っています。ほんとにもう早くコロナ収まってほしい! そんななか、ひょんなことからこんなオンラインセミナーの存在を知りまして、昨日参加してみた。まさに、現代の文脈での人類学に関心を持っている自分にとってはぴったりのテーマ。 メッシュワークさんというのは、文化人類学者の比嘉夏子さんと、民間企業で人類学を実践する水上優さんが主宰するユニット。「人類学をインストールするチーム」って、最高ですね。 講演は想像し

          文化人類学のイベントに初参加してみた話。

          教育制度を持たない社会で、なぜ子どもたちは”自然と”教育されていくんだろう? 教育制度が充実した会社で、なぜ自分はなかなか教育されないのだろう?

          読む時間取れてないくせに、またこんな本を買ってしまいました。 高い。3740円。ふう。 でも、たまたま気になっていた調べていた著者で、それが近所の本屋でたまたま並んでいたから、なにかの縁だと思って買ってしもた。 この本は、アフリカ・カメルーンに住むBaka族のコミュニティに入り、そこの子どもたちを対象にフィールドワークを行った際の記録だ。まだ冒頭しか読んでいないが、「子ども」を対象にした民族誌というのはそこまで多くないらしい。 わたしが興味を持ったのは、このフィールドワ

          教育制度を持たない社会で、なぜ子どもたちは”自然と”教育されていくんだろう? 教育制度が充実した会社で、なぜ自分はなかなか教育されないのだろう?

          どこまで行っても”n=1”

          一瞬にして継続が途切れました! が、今回のわたくしは違う。凹まない!何事もなかったようにしれっと続ける。 近い将来きちんと文化人類学を学ぶはず。と想定(妄想)して、いま関連書籍を読むたびに心にぽつらぽつらと浮かぶいろいろな疑問を、ちょこちょこ書き出していこうと思います。 まず今回のひとつめは、「文化人類学って何で学問として成立してるの?」っていうこと。いきなりなんかデカい問いだけど・・・。 概論・各論いろいろと読む中で毎回疑問に思うのが、文化人類学のひとつのベースである

          どこまで行っても”n=1”

          インプット文化とアウトプット文化

          最近衝撃を受けたことのひとつに、「英語は『読める』『聴ける』よりも『話せる』が先」という英会話のトレーニングの方法論がある。ざっくり言えば、 英語には日本語にはない「音の連結・同化」がある。 これが非ネイティブには非常に難しくて、自分で意識しながら話してみないと、理解どころか判別すらできない。 だから、英文としていくら読み・聴いてもリスニング能力は一定以上は向上しないし、その裏返しとしてスピーキングも向上しない。日本人がいつまで経っても英語を話せるようにならないのはこの

          インプット文化とアウトプット文化

          朝4時台にジョギングする文化

          諸事情により、だいぶ早朝から外出しています。 本を忘れてきてしまったので、何か気になっていることを言葉化しておこう。 いま文化人類学の概論的なものをちょこちょこ読む中で、ザ・文化人類学というか、いまの自分の住む世界=ある程度都市的なライフスタイルから遠く離れた世界のことを対象にしたテキストは、あまり惹かれない自分を感じている。そういうのはもはや考古学に近い印象で、それはそれで面白いし楽しめるのだが、ちょっと自分と距離を感じてしまう。内的なモチベーションが出てこないっていうか

          朝4時台にジョギングする文化

          反射神経がないのよ。しっかり消化しないと動けないから。

          今日は遅くまで仕事をしていて、読書日記を書こうと思ったいたのだけどそもそも本を読めんかった。どうしたものか・・・とTwitterを眺めていたら、こんな記事に出会った。少し辛いお話だけど、これも文化の話だ。 詳しい状況はよくわからないがひどい話で、この鈴木さんとパートナーさんの気持ちを想像するといたたまれない。学内で声を上げただけでもすごい。 自分が気になったのは、「異文化の中で起こる問題」が発生した際に求められる反射神経のことだ。この手の話っていつもそうなんだ。現場で、瞬

          反射神経がないのよ。しっかり消化しないと動けないから。

          「文化人類学入門」、ちょっとだけ読んだよ

          今日はこの本についてサラッと。 見た目、タイトルからして、ザ・入門書っていう感じです。ビジネスうんぬんではない、いわゆるイメージ通りの文化人類学が概観されている印象。まだ読んでる途中なのですが、この手の入門書には必ず紹介されている島があって。パプアニューギニアの「トロブリアンド諸島」っていう島なんですけど。 文化人類学の父と言われるマリノフスキーが参与観察(どっぷり長期に渡って伊文化の中で生活して観察すること)という手法を編み出した場所で、ここから文化人類学の歴史が始まっ

          「文化人類学入門」、ちょっとだけ読んだよ

          浜辺にグッとくる

          これまでと話題が変わるんですけども、わたくし移住したいんです。それも、海辺の街に。 今日、娘を連れて神奈川県の三浦海岸に行ってきたんです。発作的に海を見たくなって。有名な河津桜が見頃で空も快晴で、もうハンパなく観光客が多くて、いやもうほんと疲れたんだけど。行きたかったお寿司屋さん、129組待ちだったよ。おかしくない? 桜とマグロへの日本人の執念、ヤバ過ぎるよ。 いきなり話逸れたけどそれはどうでもよくて。幸いにして海岸はそんなに混んでなくて、犬の散歩をしてる家族がいたり、な

          浜辺にグッとくる