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平安をなめていたかもしれない/NHK大河ドラマ『光る君へ』

今年のNHK大河ドラマ『光る君へ』の放送が始まった。視聴を終えて最初に浮かんだことばは、上記のタイトルである。

(以下、ドラマの内容と史実に触れる部分があります)

まだ幼い主人公・まひろ(紫式部)が三郎(藤原道長)に出会うシーンを微笑ましく見ていた時間が、一気に吹っ飛んだ。あのラストは、間違いなく2人の関係に影を落とす。特にまひろの心には、大きな闇が生まれたのではないだろうか。

藤原一族の歴史をあまり知らないので、視聴を終えて三郎の次兄・藤原道兼について史実を辿ってみた。おやおや? これは創作しがいのある生涯ではないか。私自身は大河ドラマ=史実を織り交ぜたエンタメだと思って楽しんでいる派なので創作は気にならないのだが、初回をご覧になって「史実ではない」と、すでにお怒りの方もいらっしゃるようだ。

さて、道兼役の玉置玲央さんといえば、昨年の『大奥season2』での黒木の記憶が新しい。個人的には『ちょこっと京都に住んでみた。』や『おかえりモネ』のイメージもある。しかし今回の大河では、危うさ漂うバイオレンス男の似合うこと、似合うこと。放送開始前の予告から、不穏な佇まいで登場していた道兼。てっきりミスリードだと想像していたら、とんでもなかった。父・兼家にとって、彼は単なる「駒」なのか。家族の愛情に飢えているように見える道兼が、どのように動くのか。すでに退場の仕方も気になっている。今後も注視したい人物だ。

それにしても、久しぶりの国仲涼子さん登場が(偶然、年末の井之頭五郎との共演もお見かけしたけれど)うれしかった勢としては、ショックが大きすぎる。先日、放送前の大河ドラマについて「ドロドロ展開に期待しよう」なんて軽く書いたけれど、その範疇を超えてきた。掴みの初回は重要だと実感。『鎌倉殿の13人』も、初回ラストで完全に心をわしづかみにされたことを思い出した。

劇中では、小鳥が籠から逃げてしまう場面が登場。これが源氏物語のある場面を連想させることから、まひろが自らの経験や周囲のできごとを反映させて物語を紡いでいくことがうかがえる。今後も源氏物語に出てきたエピソードが、彼女の物語に登場するのだろう。生霊になる六条御息所も呪詛を彷彿とさせるし、この時代のドロドロ展開が待ち受けていそう。もう一度源氏物語を読みなおした方が、ドラマを楽しめると思う。ちなみに私の知っている源氏物語は、高校生の時に読み倒した『あさきゆめみし』オンリー。この漫画の功績は大きい(笑)。一度文字のみで読んでみようと本を探したのだが、たくさんあり過ぎてどれが読みやすいのか分からなかった。もしおすすめがあったら教えてほしい。

姉と2人で、京都の「源氏物語ミュージアム」と紫式部の邸宅跡「廬山寺」を訪れたのは10年以上前のこと。紫式部が大河ドラマの主人公になろうとは、当時は想像すらしていなかった。実在の人物とはいえ、自分の中ではファンタジーな存在なのかもしれない。

第2回から、まひろは吉高さん、三郎は柄本さんに。幼少期を演じる子どもたち、毎度どこから連れて来るの?ってほど奇跡的に大人バージョンの面影があるのですごい。あと、三郎の父・兼家と、まひろの父・為時の友人である宣孝(全員藤原)って、和田家じゃん!と別のドラマが脳内に浮かぶ。ついでに言うと、私の好きな野呂佳代ちゃんが一瞬登場。出演が初回のみなのか知りたい。


次回以降も、出世争いや帝をめぐって女同士の戦いが顕著になっていくのかしら。ごめん、平安中期なめてたよ。

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