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地獄のオガワ、働き方改革にモノ申す/金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』第2話

第2話も小ネタ満載だった。

(以下、ドラマの内容を含みます)

「おばさん、宜保愛子なの?」
「宜保愛子じゃないっ!」
吉田羊さん、この役ぴったり。

「ムッチでーーす」(マッチでーーす)

そしてあるある令和。
「紙、ムリなんで」
「シフトなんで、あがります」
「なんでもかんでも一人で抱え込んだりしないで」

働き方改革のシワ寄せをくらっている人はたくさんいる。仕事復帰したものの、イマドキの職場環境に馴染めず困惑する渚。そんな彼女に、勤めていた頃「それは教えてもらっていませんし、“やって”と言われていないので私の仕事じゃないです」と、入社半年の子に言われたときの自分を重ねていた。ドリフでたらいが落ちてくる、あれと同じ衝撃を受けたね。

シフトに定時退社、そして「僕にできることがあったら何でも言ってね」の呪縛。そうなのよ、その人に何ができるかをこちらが考えなければならない手間がひとつ増える。 “気遣ってるつもりモンスター”は、「これをやろうか?」「これならできるけど」という提案を、まずしない。仕事を頼めば渋られるし、できなければやり方を教える時間が必要になる。

「あんたが今してほしいことが、俺にできること」と答えた小川が、渚にとって颯爽と現われたヒーローなのは当然である。

キレまくる仲里依紗ちゃん最高。

「令和に88歳の自分がいるはずじゃ?」という小川の想像がそこで終わらず、後半の「米寿の夜」に繋がるくだりに爆笑。歌い上げる小川の中に、尾崎だけじゃなく破壊(グループ魂)を見たけど気のせい?  そこに、柿澤さんの正論夫が「同調圧力」を巧みに入れてくる流れも面白かった。ついて行けるか不安に感じていたミュージカルシーンがなかなか出てこず、気づけば「まだなの?」と期待している自分にも笑ってしまった。

とにかく細かいネタが豊富すぎる。絶対まだ何か見落としている。

話は飛ぶけど、前半の「ニ・ト・リ?」にも笑ってしまった。浦島太郎状態を表現するのに、ニトリを選ぶ制作陣のセンスが好き。

***

ところで、性的同意について「部屋に上げたら同意でしょ?」と、小川が言い放つシーンがある。少し前、1981年放送のドラマ『想い出づくり。』がTVerで配信されているのを発見して懐かしくなり、再視聴中なのでジャストタイミング。山田太一さんが手がけたドラマとしては、『ふぞろいの林檎たち』よりもこちらの方が記憶に残っている。

当時の女性の適齢期は24歳。女性3人が、結婚に憧れつつも人生に疑問を持ち、葛藤する姿が描かれている。そのきっかけとなる男を柴田恭兵さんが演じているのだが、これが相当なクズ男。古手川さん演じるロマンスカーの車内販売員に惚れてつきまとう。しかしそんな男に彼女は魅かれるという展開で、アパートにやって来た彼を部屋に上げてしまうのだ。

残る2人の女性(田中裕子さんと森昌子さん)も、一人は既婚上司に惚れられて、もう一人は断ったはずの見合い相手にしつこく迫られる。3人の相手がほぼス〇ーカー男で、当時の恋愛観が「こんなんだった?昭和??」と、なかなかの衝撃である。小川の感覚は、確かに昭和には生きていたのだと思う。

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さて、この回で一番笑ったのは、なんと言っても「八嶋智人」。名前の使われ方だけでもかなり面白いのに、終盤の流れが腹を抱えて笑うレベルで秀逸だった。ちなみに二番目に笑ったのは宜保愛子トーク。

そして一番驚いたのは、バック・トゥ・ザ・フューチャーの伏線回収。あのメガネの井上くん!?  と、視聴2周目で気づく。やだ、これ気づいたの自分だけじゃない?と思ったら、友人一同視聴1周目で気づいていた(笑)。

それにしても、今回は天井から戻ってくるパターンとは、地獄のオガワの世界はどこまでも極端である。それでも小川父娘の順応力はすごいな。

次回予告には山本耕史さんの姿がちらり。果たして、小日向さんとジルベールが、同じ画面に入ることはあるだろうか(そこじゃない)。あと、頭中将もいたよね。

次回も楽しみにしている。


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