見出し画像

枕草子の誕生と、まひろ&道長の区切り/大河ドラマ『光る君へ』第21回

久方ぶりの感想となってしまった。

(以下、史実とドラマの内容を含みます)

あれよあれよと政治のトップに躍り出た道長が、相変わらず三郎のままでほっとしたような、危なっかしいような。姉の詮子あきこと妻の倫子探偵という強力タッグがあれば、安泰かもしれない。それにしても倫子探偵、女院さまにも強烈ツッコミを入れるとは、さすが最強の妻。私も道長と同様に、「はやくこの場の空気を切り替えてほしい」と思ってしまった。

為時の代わりにまひろが書いた文を、好きな女子おなごの字だと発見した道長くん。

「オレには分かる!」(ああ、直道お兄ちゃん……泣    違う!)

これまで、どれだけあの漢詩を繰り返し読んだのだろうか。倫子がその文を盗み見していることに気づかずに。背後から覗く彼女にもまったく気づいていなかった。いつか絶対ボロが出るぞ、道長くん。彼は、まひろのこととなると三郎度合いがひどくなるので、突然ぽろっとバレるのだろうなあ。

ここ数回は、中宮定子の激情と伊周これちかの醜態に釘づけだった。帝と家族の間で苦悩していた定子の絶望。すべてが「無」の表情だった。光が消えた彼女の憂い顔の儚いこと。出家はあまりにあっけなかった。身も心も中宮さまに捧げて仕えてきたききょうが、「推しの卒業」を受け入れられないのも無理はない。ききょうに頼まれて二条邸に潜り込んでいたまひろは、歴史の目撃者になってしまった(幼稚園のお遊戯のような恰好だけど)。その話をおもしろそうに聞く宣孝はもはや為時にではなく、まひろに会いたくて屋敷に来ている様子。この2人が後に夫婦になるという史実に向かって、違和感なく関係性をスライドさせている。

歴史に疎い私でも、「春はあけぼの」という書き出しは知っている。だが、こんなにも打ちひしがれた状態から生まれたものかもしれないということは、考えたことがなかった。「絶望の淵にいる定子ひとりのためだけに書かれたもの」という解釈で演出された『枕草子』の誕生には、胸を打たれた。

ところで、このタイミングでのご懐妊はどうなるのだろう。これもまた歴史に詳しくないので分からないけど、出家後に皇子を産んだ場合、立場的には?

定子をこんな目に遭わせた直接的な発端は、伊周・隆家兄弟。こんな大事になっても超軽いノリの隆家(ある意味ポジティブで潔い)と、臨機応変に対応できないボンボンの伊周(ある意味素直)という描き方の対比が面白い。典型的な跡継ぎとそうでない者の育てられ方。3歳児のようにダダをこねる伊周の醜態を、三浦翔平さんが感情的に単細胞的に演じていて最後まで見入ってしまった。

次回からは越前編。いよいよ『最愛』コンビが絡むのか!と想像しながら後半を観ていたら、まひろが道長に文を書き始めた。え、また廃屋敷で会うの?

道長はすぐにやって来る。倫子探偵をうまく巻いてきたのか心配……。宣孝との会話から、まひろは道長が伊周を陥れたのかが気になっていた。それを問うと、道長はあっさりと認める。やっていなくても、自らが招いたこと。自分の無力さを感じている様子を見て、まひろは安堵する。三郎はそんなことはしていないと分かったと。出会いからずっと、いつの日も、いつの日も互いのことを思いながら過ごしてきた2人の以心伝心。なのに、どうしてあのときは決別してしまったのか。

ところが、ここからまさかの告白タイム。まひろは、10年越しの後悔と本心を伝える。ようやく素直に自分の気持ちを言えた2人。「ザ・卒業」といった雰囲気だったけれど、あの日一度きりだと思っていたら!まひろ!! たぶん、この後2人きりの時間を過ごした、よね? ほほほほほ。

百舌彦と乙丸が、「やれやれ。ご主人さまたちは一体どうしたいのだろうか」とブツブツ言っているのが目に浮かぶ。

まひろは、新しい暮らしに自分の道を見出したい思いが強く、道長とのことにひと区切りつけたかったのかも。道長はそうじゃないかもしれないけど。だって、だって、次は大ちゃん(松下洸平さん)と絶対恋仲になるパターンじゃんね、これ。そしてどういうわけか、と言ったら失礼かもしれないが、その後宣孝と夫婦になるんだよね? 松下さんが演じる謎めいた周明との間に何かがあって、その結果、宣孝と夫婦になるってことよね?(しつこい 笑)これは私の想像に過ぎないが。そのとき道長はどんな顔をするだろう。そのあたりの物語は、梅雨末期ごろかな。


道長から託された命を、為時は越前で全うすることができるのか。宋人との出会いが、その後のまひろにどのような影響を与えるのか。次回以降も目が離せない。

記事を読んでくださり、ありがとうございます。世の中のすき間で生きているので、励みになります! サポートは、ドラマ&映画の感想を書くために使わせていただきます。