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Diracの一般相対論を読む

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Diracの"General theory of relativity"を読んでノートを作っていく。
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#ディラック

"General theory of relativity"(Dirac)を読む15

"General theory of relativity"(Dirac)を読む15

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Chapter15は”Einstein's law of gravitaion”.アインシュタインの重力理論の話である。これまでは、測地線方程式の話を除いて、数学的な準備を行ってきたが、いよいよここからは物理的な話に入っていく。ちなみに、これまでの数学の話は19世紀には整備され、任意の次元の曲がった時空に応用される話だった。

時空の次元は、

$$
g^{\mu}_{

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む14

"General theory of relativity"(Dirac)を読む14

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Chapter14は``Ricci tensor”。ようやく一般相対性理論を理解するための数学的準備が終わる。

$${R_{\mu\nu\rho\sigma}}$$の2つの添字を縮約する。反対称な添字で縮約を取ると、結果は0になる。一方、その他の添字の場合、式(11.4)、(11.7)、(11.8)という対称性のため、結果は符号の違いを除いて同じとなる。

今、最初と最後の

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む13

"General theory of relativity"(Dirac)を読む13

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Chapter13は"The Bianci relations"。ビアンキ恒等式について取り扱う。

テンソルが2つのベクトル$${A_{\mu},B_{\tau}}$$の積で表される場合を考える。このとき、2階の共変微分は以下の様になる。

$$
\begin{aligned}
\left(A_\mu B_\tau\right)_{: \rho: \sigma} & =\

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む12

"General theory of relativity"(Dirac)を読む12

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Chapter 12は"The condition for flat space"ということで平坦な時空の条件について。

時空が平坦なら、斜交座標を選ぶことができ、また計量テンソル$${g_{\mu\nu}}$$を定数に取ることができる。すると、計量テンソルの時間微分からなるクリストッフェル記号は0になり、さらに曲率テンソルも0になる。すなわち、平坦な時空の場合、曲率テン

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む11

"General theory of relativity"(Dirac)を読む11

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前回は、曲がった時空での微分である共変微分を導入した。chapter 11は"The curvature tensor"という見出しである。

そもそも、何故、共変微分を考える必要があるかというと、時空の歪みを考慮する必要があったわけだからだが、そもそも時空の歪みをどうやって定量的に表すか?それを今回見ていく。

2つの量の積の共変微分に対して、式(10.8)が成り立つのを

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む10

"General theory of relativity"(Dirac)を読む10

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Chapter 10はcovariant differentiation、共変微分について。

$${S}$$がスカラーの時、その微分$${S_{,\nu}}$$は共変ベクトルになるのは、Chapter 3で見た。では、ベクトル場$${A_\mu}$$の微分はどうか?$${A_{\mu,\nu}}$$はテンソルになるのか?

$${A_{\mu}}$$から$${A_{\mu

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む9

"General theory of relativity"(Dirac)を読む9

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Chapter9は始点と終点を固定した経路で、経路をわずかに変化させた場合の測地線について考える。

図の様に始点と終点を固定した状態の経路(ただしヌルではない)において、$${\int ds}$$は始点と終点を固定した状態で経路が微小変化しても保存する。以下、これを見ていく。

それぞれの点が座標$${z^{\mu}}$$で表される経路を考える。この経路が軌道に沿って$${

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む8

"General theory of relativity"(Dirac)を読む8

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chapter7ではクリストッフェル記号を導入して、曲がった時空での平行移動を与えた。chapter8ではgeodesics(測地線)、曲がった空間での軌道を取り上げる。

ある座標$${z^{\mu}}$$を考え、軌道に沿って運動する場合を考える。この時、その軌道の変化じゃパラメータ$${\tau}$$を用いて、$${dz^{\mu}/d\tau=u^{\mu}}$$と表

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む7

"General theory of relativity"(Dirac)を読む7

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前回、曲がった空間での平行移動について紹介した。

曲がった空間での平行移動は次の形で与えられる。

$$
d A_\nu=A^\mu y_{, \mu}^n y_{n, \nu, \sigma} d x^\sigma\tag{6.7}
$$

Chapter7では、Chirstoffel symbolを導入し、曲がった空間での平行移動をよりフォーマルな形で書き直す。

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む2

"General theory of relativity"(Dirac)を読む2

Chapter2 "Oblique axes"

"Oblique axes"って何やねん?と思って調べたら、斜交座標系という意味だった。このchapterでは、一般相対論に入る前に斜交座標系に関するformalismについて議論する。

斜交座標系への座標変換を考えると、式(1.1)で出てきた$${dx^{\prime\mu}}$$は新しい座標系での$${dx^{\mu}}$$の線形関数になるだ

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"General theory of relativity"(Dirac)を読む1

"General theory of relativity"(Dirac)を読む1

ディラック方程式で有名な20世紀の天才物理学者の一人であるディラックがフロリダ大学で起こった一般相対性理論の講義をまとめたのがテキストとして発売されている。この一般相対性理論のテキストは原書だとわずか70ページしか無く、コンパクトに一般相対性理論をまとめた内容として有名である。

日本語版でも発売されている。

この名著をゆるゆると読んでいき、メモを作成していく。

まずは、Chapter1「Sp

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