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【連載】残された人生は大学卒業まで!? #172 生きている手触り

 今日、新曲のレコーディングが終わった。

 あとはミキシング・エンジニアのミックスを待つだけだ。

 かれこれレコーディングも三年目になり、手際も慣れたものだけど、喉だけはその日の調子に左右されてしまう。

 毎日喉のストレッチ、体のストレッチは欠かさずしているものの、その日の出せる声ばっかりは決まっていない。

 その日のレコーディングがほぼワンテイクで終わる時もあれば、2時間やっても終わらない時もある。

 ボーカルを務める自分としてはあんまり褒められたもんじゃない。

 自粛期間になって、なかなか歌を歌う機会が減ってしまった。カラオケにはいけないし、いつも声を出していたスタジオも自粛の影響を受けて入室が禁止されている。家では隣の人や近隣の皆さんに迷惑になるから大きな声なんて出せない。

 絶えず自分の声のギャンブルと戦っている。そんな感じだ。


 そんな中でも、今日はうまく録れた日だった。

 メンバーにも初めて見せる歌詞で、とても緊張したが、私の解釈をよく汲み取ってくれた。

 私自身もとても情景の浮かぶ歌詞だったため、スッと歌に落とし込むことができた。


 歌のレコーディングをするときは、なんだか自分の子供というか、二度と消えない自分たちがいた証拠のようなものを刻み付けているような感覚になる。

 だからこそ妥協はできないし、満足いくまで繰り返す。

 これを楽しみに待ってくれているリスナーに期待を持って聴いてもらうために、その期待を裏切らないためにも。


 この世に生まれた自分の片鱗は、とても少ない。

 人々の記憶にはあっても、形に残っている場合はとても少ない。

 どこかで買ったものは所詮どこかで買ったもの止まり。

 そんな中でこういう自分がいた!ということを形で残せることはとてもすばらしい。

 このnoteも、歌も、歌詞も、メロディーも。

 自分がいなくなっても輝いてくれとは言わないが、自分が今ここにいることを確かに感じられることはとても美しい。

 あなたが私の前にいることがどれだけ美しいかわかるであろうか。

 いつかわかるといいな。


 BU(◎)DOH

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